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1日
リアは、ただひたすら歩いた。
広大と呼ぶには足りないほど広い草原は、不気味なことに生き物が1匹もいない。
人はおろか、動物も、虫も、何もない。
ただただ、風が吹くだけの静かな草原だった。
やがて陽は落ち、夜になった。
すると、いくら進んでも何もなかった草原に点々と光が現れ始めた。
「……」
リアは吸い込まれる様に、小さな明かりの方へ歩みを進めた。
ついに村を見つけた。
しかし喜びは無かった。
ただ、疲れた。
機械なのに疲れるなんておかしな話だと思うだろうが、疲れるものは疲れる。
村には静寂が漂い、遠くから見た光の正体は松明の炎だった。
外出している住民はあまりいなかった、しかしそれは好都合であった。
誰かにバレないよう家の横にある倉庫のような小さな建物の前に立つと、リアはつぶやくように言った。
「許可無しだから家主には悪いが今日はここで休ませてもらいますか」
ゆっくり戸を開き、できるだけ物音を立てぬよう静かに行動し、壁に背を預け眠った。
こうして、リアの1日は幕を閉じた