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第一話 罪人

「君は自分を罪人(つみびと)って呼ぶんだね」


 青年は右手に持つ食料が入った紙袋を少年に渡しながら少年に尋ねた。


「なんでだ?」


 青年は右手を前に突き出すと、呼吸を整えて右手に意識を集中させた。

 すると右手の手のひらから少し浮いて(こぶし)程の大きさの水玉が出来上がった。


「そもそと僕らが迫害されているのは、ザッカス国のザーケンス教の魔術を使用する者を異端者とする考えが元なんだよ」

「ザーケンス教はなんで魔術師を異端者にしたんだ?」

「この世の物は神の創造物、火とか水とかね、そう考えるのがザーケンス教で、それを自分の手で創造してしまう魔術師達は異端者としたんだ」

「それで?」

「反対に、同じくザッカス国で生まれたケルミカ教は魔術師の存在を逆に捉えた」


 カレンは浮かばしていた水玉を適当に飛ばして話を続けた。


「神の創造物を創り出せる魔術師は、神の使者だと読んだんだ、だけど一般的な考えとして広まったのはザーケンス教の方だった」

「なんで?」

「そもそも、ザーケンス教の信徒のほとんどはディーズと呼ばれる身分が一番低い民衆がほとんど、それに対してケルミカ教の信徒のほとんどは貴族なんだよ」

「それとザーケンス教の考えの一般化がどう関係するんだ?」

「ディーズはあくまでも身分が低いだけで、迫害されてるわけじゃない、だから魔術師達を迫害して一つの心の支えにしてるんだよ」

「自分達より低い身分をつくって、自分達がまだ底辺じゃないっていう安心感を得てるって訳か」

「つまりそうだね」


 少年は小さく2回頷くと、あっ、と小さく声をあげた。


「ん?」

「俺の家だ」


 そこにあったのは、錆びた鉄や木やぼろ布が組合わさって出来たテントの様なものだった。

 これをテントと呼ぶには、あまりに粗末すぎる。


「これが……君の家?」

「そうだよ、ボロボロで悪かったな」


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