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<ファンタジーワールド>  作者: seno
It is a fantasy world
5/14

「流行」ですか

暗闇の中に僕は居た。

顔に熱を感じ、全てが真っ暗、それどころか、頭には重量さえ感じている。

このパターンは二度目、

こんなことはもうない、そう考えたのはいつだっただろうか?


「スノウ、起きて」


ふにゃ、なんて可愛らしい声と共に、顔の丁度上半分を覆うように寝ていたスノウが動き出す。


「ああもう、スノウは可愛いな」


「にゃっ!」


誇らしげにその4本の足でしっかりと僕のお腹の上にたつモコモコとしたその姿は人形のようだ。


僕なんかよりよっぽど強いけどね。


<ミツキさんからメッセージが来ています。見ますか?>


グッドなタイミングだ。少しワクワクしながらメッセージを見るが、


<今日はやらなければいけないことが出来たので、そちらはそちらで行動してください>


う~ん、少し残念。ダンジョンの本格攻略が始まるのかと思ったんだが、昨日分かれた後になんかあったんだろう、と当たりをつけて、自分の行動予定を立ててみる。


・・・スノウとの狩りしか思いつかない僕はもうこの世界に慣れすぎじゃないんだろうか?


でも、それでいいんじゃないか?ダンジョンに入るなら今よりももっと強くなっておくに越したことは無いだろう。


「スノウ、今日は僕と二人で狩りに行こう」


「にゃふ」


ああ、本当に可愛い






「いらっしゃいませー」


先ほど狩りに行くといっておきながら来たのは、道具屋、渋いおっちゃんを最初の日以外見ない道具屋だ。


「今日は売却に来ました」


「分かりましたー」


ゴブリンのドロップはいくつかあるようだが、ほとんどはゴブリンの耳(単価35G)に、壊れかけの武器(単価10G)の二つのようだ、ここは全て売ってしまうことにする。


総計は6750Gだった。結構な収穫だ。これだけあれば武器は間違いなく買えるだろう。


「あの、お客様はテイマー系の方ですよね?」


お?店員が声を掛けてきたときは大概良いことが起きるぞ!


「そうだけど・・・?」


「良かった!なら、捕獲用の餌を買いませんか?昨日の夜にたまたま入荷しまして、今ある分しかない上に次いつ入荷できるか分からない物なんですよ」


「買った!」


「ならお一つ1500Gになります」


高いな、やっぱり特別だからなのか?とはいえ、ここまで言われてるんだ、買わない手はないだろう


「なら二つくれない?」


「分かりました。それではその金額分差し引いた3750Gをお渡ししますね」


「はい、確かに受け取りました」


よし、これでまた二匹までならテイムの可能性があるぞ。


だが今は武器だ!、誰がなんと言おうと・・・武器だ!


・・・ムチって売ってるかな?






結論から言えば売ってました。だけども、今使っている革のムチは200Gで買えるようだ。その上位種だと思われる鉄のムチは2000G、これなら余裕で買えるので、即買いだ!


残りの金額は3230か・・・アビリティ屋いこう!





「ほほほ、よく来たの。」


「新しいアビリティとかありませんか?」


「お主には昨日と同じものしか売れぬよ。」


「そう・・・ですか」


「じゃが、そこの猫には新しい可能性があるぞい。一応見てみるかの?」


「お願いします」




派生系属性魔法「雪」




強そうだし、名前にも合ってる、だが問題として・・・必要金額が5000G・・・だと!?


くっ、諦めるか・・・


「スノウ!、ゴブリン狩りに行こう!」


諦められませんでした。






「うりゃぁっっ!」


「にゃっ!」


「~~~♪」


「にゃにゃにゃー!」


「ふっ!はっ!よっ!ととと、」


これで15か、やっぱり火力が若干足りない気がするものの、僕たちだけで狩りを行うようなら、僕が足止めしてスノウが砲台、という形が一番いいようだ、特にゴブリンなんて鉄のムチの前では3発で沈む上に、一度に5匹ほど現れて、まとめて攻撃できるので大分相性はいいようだ。昨日と同じようにスノウに優先的に弓持ちを狙ってもらえば危険は全然ないからね!







一日中ゴブリンを倒し続けていたのか、昼飯はスノウは食べたけど、僕は食べてないので結構ハラペコだ。

ドロップ売却も、アビリティを買うのも明日でいいだろう、そう思い宿に向かったのは30分前、そして門が見えてきたのは5分ほど前、そして今、ミツキを見かけた。


ローブ姿だけで判断したので本当にミツキか分からないが、シャーマン特有だと思われる黒と緑が基調のローブはミツキしか知らないので恐らくミツキだろう。


で、そのミツキなのだが少し変だ。何が変なのかといえば、さっきから路地裏へとどんどん入っていっている。そんなに汚くはないものの、こんな入り組んだ場所になんかあるのだろうか?


声を掛ける暇もなくミツキはどんどん進んでいくし、もし声が掛けれたとしても好奇心につられて敢えてついていくだろう。


このゲーム内で友人と出遭った。なんてことはない、いや、もしかしたら本当に極低確率でありえるのかもしれないが、それならこんな路地裏を通る必要はないはず。


ならば何故・・・?


「そこの若人よ。」


!!!


後ろを振り返ればいかにも魔女です、といったような老婆(声で判断したが)が俯いていた。



「この世界はたった一人のためのもの。人々はそのおもちゃでしかなく、また魔性もおもちゃの中の一つでしかない。人が更に更にこの世界の奥へ進むのなら、いつか、大きな世界自身に出会うじゃろう。この世界はたった一人のためのもの、この世界はたった一人のためのもの・・・この世界に昔から伝わる御伽噺じゃよ」


???


何が言いたいんだろう?



「主にはこの御伽噺の内容が理解できてないようじゃな。昨日ここに来たいつも行動を共にしておったお主の相棒はこの御伽噺を聞いた途端にワシに掴み寄ってきたのじゃが。」

それは、ミツキのことなのか?


…!!体が動かない?


「済まんが身体の動きは止めさせて貰ってるよ、昨日みたいなことは避けたいのでね」


声すら発することが出来ないんだけど、?


「大丈夫じゃ、心を読むぐらい雑作も無いわ」


やはり有ったのか、読心術…!


「おや、驚かないのかの?」


ふっ、もう宿のおばちゃんとの戦いで分かってるのさ。


…ヒィッ、なんでこんな何も無いところで風を感じるの?


「それは気の性というものじゃよ」


あれ、そうなのか。まぁこのザ・占い師みたいな人が言ってるんだからそう間違いもないハズ


「間違いも何もこの町で読心術を使えるのはワシだけじゃよ」


ご丁寧にどうも。


「かまわんよ。」


「おぉ、そうじゃ、お主の相方に伝えて欲しいことがあるんじゃよ」


「もちろん、直接会っての・・・」


「いいか?今から言うことをしっかり伝えるんじゃ」


「子鬼の巣窟には歴史がある、じゃ」


「よろしく頼むぞい。」


・・・どういうことだ?話が全く見えない。さっきの御伽噺といい、今日は謎が多すぎる。さっさと帰ろう。


「うむ、理解はせずともよいからの。ただ伝えておくれ」


「そうじゃ、お主にこの技法を授けよう。ワシには要らぬからの。」


ザ・占い師さんがこちらに手をかざすと同時に・・・


<アビリティ「獣道」を獲得しました>


「使った事はないから効果は知らぬぞ、まぁ有って困るもんでもあるまい?」


そりゃそうだ。着けなければいいだけだし。どうもありがとうございます。


「ふむ、礼には及ばんよ。そろそろ体の麻痺が消える頃じゃの。どれ、ワシがお主らをいつも使っている宿前に飛ばしてやろう。」


「にゃ」


「いい子じゃの・・・よし」


「跳べ!」


視界の暗転。





一瞬だった。この感覚は久しぶりで少し戸惑った。

ミツキには明日会うだろうからそのときに伝えればいいだろう。

というわけで・・・


「ご飯だね、スノウ」


「にゃっ!」




ああ~美味しかった。スノウもベッドに寝転がってるし今日は早めに寝よう。


「お休み、スノウ」


「にゃぁ!」


ちゃんとベッドに寝てるよ?描写するなら端っこにだけど。


スノウの重みを寝転がってから数秒で感じた。・・・それはいいんだけど、スノウ。


「僕の顔の上は定位置なの?」


「にゃっ!」


そっか、なら仕方ないね。


「にゃ」


スノウまで!?最近は読心術が流行ってるんだね・・・なんて事を考えながら僕は眠りに落ちていった・・・あ、そうだ、ドロップ売ってないや。明日でいっか。


明日こそ雪魔法買おうね、スノウ


「にゃ」


やっ・・・ぱり・・・か・・・


「ぐぅ」

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