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<ファンタジーワールド>  作者: seno
It is a fantasy world
4/14

「子鬼の巣窟」ですか

朝、目が覚めるとまず初めに感じたのは熱だった、主に顔がとても暖かい、


次に、目が覚めたのに前が真っ暗とはどういうことだろう?


原因を探る為に手を顔の辺りに持っていくと、もふっ、とした感触が有ったのでスノウが顔を覆っているのだろう、理由は分からないけども、


「スノウ、僕の顔から降りてくれない?」


「にゃっ!」


猫に言葉が通じるのはアビリティの影響なのか、高性能なAIに依るものなのか分からないが、可愛いのでOKとしよう、


今日はメッセージが届いていないようなので、待ち合わせに遅れることは無さそうだ、よかったぁ、昨のは怖かったもんな。


そうと決まれば即行動、さっさと食堂に向かおう、


そうして一階に降りた時、店のお…姉さんに呼び止められた


「なぁ、あんた、数日間泊まる積もりなら先払いしてもらって、宿をとっておけるよ」


確かに今まとめて払っておいた方が後々楽だろう、ならばまずは…


「十日分お願い出来ますか?」


「あぁ、分かったよ、なら500Gだよ」


これで残りは5080G、まだまだ余裕はあるな、これなら新しいアビリティと装備を買えるだろう。


「あら、今日は早いわね」


清算している間にミツキが下りてきていた、だがお・・・姉さんはミツキに声を掛けないようだ。ということはもしかして・・・?


「ねえ、ミツキはもう数日分のお金を払ってあるの?」


「当たり前じゃない、最初の日に10日分頼んであるわよ」


当たり前のことなのか?・・・もしかして普通に思いつくことだったのだろうか、


「それより朝ごはんよ、朝ごはん」


なんて食い意地の張った女だ、


「にゃっ」


スノウ、お腹減ったのか?ならこのキャットフードを贈呈しよう。


「・・・」


なんかミツキがこっち見てる・・・?


「なんで、猫缶?」


知らないし、ここはスルーしておこう。


「スノウも食べ始めたから僕らも食べよう?」


「ちょ、疑問に答えなさいよ」


「知らないものは知らないんだよ?」


「素直に知らないって最初から言いなさいよ」


そう言ったらなんか殴られそうな気がしたとは言えないのだろう、自分のことだけど。

ま、今は朝食を終えることに専念しよう。





「今日も草原狩り?」


「そうね、当分は草原狩りでいいと思うわよ」


「でもさ、昨日もいったけど、少し奥に進んで人型のモンスターとも交戦してみない?」


「そうよね・・・ならさ、私は装備を整えたいから一時間後に門に集合でどう?」


「僕も色々買いたい物とかもあるから丁度良かったよ」


「そう、なら時間を見計らってメッセ送るから見逃さないでよ?」


「もちろんさ」





「スノウ、これはどう思う?」


「にゃぁ」


「そっか、ならこれはやめとこうか」


「にゃっ」


今はアビリティ屋に来ています、昨日スノウが自分でドロップを売却したことから考えてスノウにもアビリティやらアイテムやらを買ってあげられるんじゃないかと思ったんだが、どうも正解のようだ、とはいえ何かアビリティを買ったとしても、持てるのはどちらか一方のようなので、よく考えなければならないが・・・


おっ、これなんてどうだろう?今まで使わなかった笛が使えるかもしれない・・・


「ステータス上昇の演奏」アビリティ


まんまだけど、なんか訳の分からない「興奮の演奏」なんかよりはましだと思う。もちろん使ってみればちゃんとした効果があるのかもしれないが、


意外とこのアビリティは安く、1000G、買ったとしても4080G、なら全然余裕だな、買おう。


「おや、その技能を身につけるなら笛アビリティもあると良いが買うかね?」


ふむ、やはり必要なのか・・・いや、待てよ?


「ちょっと待っててください」


「よいよい、ワシも暇なのでなぁ」


一旦店の外に出て・・・笛を装備してみると・・・


ぽーん


「ビンゴ!」


つい、声が出てしまう。これは恥ずかしい、通行人は幸いにも居ないようだし、そんな恥ずかしくも無いはずなのだが・・・


まぁ、何はともあれ「笛」アビリティを入手したし、店に戻って買うことにするか。


「「ステータス上昇の演奏」のアビリティ下さい!」


「ほほ、笛アビリティを身に着けたようじゃの・・・ならば問題は無い、1000Gじゃ」


「これでお願いします」


「よし、確かに」


これで演奏アビリティは手に入ったハズ、今は捕獲アビリティはいらないだろうから、付けかえておこう。


次は・・・防具かな?




「ねぇスノウ、これなんてどう?」


「にゃぁ?」


猫に防具の見た目のよさを聞いても分からないか、そりゃそうだ。

むしろ僕はなんで聞いたんだろう?きっと多分恐らくスノウの可愛さを見るためだったのだろう。


ここでかったのはレザーアーマー(800Gなり)、布のマント(500G、安いのかな?)、獣士の帽子(1300G)の三つ、計2600G、残りは1480G、武器は今度でいいだろう。


<ミツキさんからメッセージが来ています。見ますか?>


YES。


<そろそろ一時間よ。いつもの門に集合ね。出来るだけはやく来てくれない?見てほしいものが有るの。>


見てほしいもの?なんだろうか、今居るのは防具屋で、門には比較的近い、というか、装備やらを扱った店は基本的に門に近い。


と、速く行くことにしよう。




「ミツキ、見て貰いたいものって?」


「目の前よ、目の前」


「ん?」


あ・・・


「人が居るね。それもかなり大勢。」


「そうね、このままではいけないと思った人たちが動き出したのかもね。さすがに最初の500Gだけでは無理があるだろうし。」


「う~ん、スライムが出る範囲は大体人が埋め尽くしてるなぁ。数で押す作戦かな?」


「きっとそうね、これだけの人数なら交代性でやったり、そもそも遠距離で囲んだりすれば危険は少ないだろうしね」


「これだと、今日はいきなり奥に進むしかないね。」


「そうね、いきなりやたら強くなるなんてことはないだろうし・・・進みましょ」


「了解」





小さな背丈に、ぼろぼろの布切れをまとい、様々な武器を持ち、醜い顔には牙を持つ、それがゴブリンの特徴だろう、今目の前にいるのはそんな存在だ。スライムとのモンスター的な違いはアクティブかノンアクティブ、つまり自発的に襲ってくるかこないか、ゴブリンは前者、スライムは後者だ。


「おわっ、あぶなっ!」


「気をつけて!今は数は少ないけど、どんどん沸いてるし、弓を持った個体も居るわ!私は弓を持ったのを優先的に狙うからあんたは私を守りなさい!」


「わかりましたっ!お姫様っ!」


「なっ、ふざけてないでさっさと叩く!」


ちょっと可愛いかもしれない、お姫様なんて言われて動揺するあたりは・・・


「にゃにゃにゃぁー」


スノウは相変わらずゴブリン相手でもノーダメージで無双状態、爪では有効打足りえないようだが、数発しっかりと当てて倒している。そういう自分はムチを片手で振り回してゴブリンを近づけないようにするので精一杯だ。


「アンタ!、その笛使わないんだったらしまってムチを両手で持って振り回しなさい!」


「いや、今から使うよ!」


笛を口に当て、ステータス上昇の演奏を頭の中で・・・念じる!


「~~~♪」


片手は動かないが、体は動く、これならゴブリンをとめることは出来そうだ、


「~♪」


よし、終わった、と同時に体が熱くなり、ムチを振るう腕がとても軽く感じる。

これならイケる!、笛を腰のベルトに置き、ムチを縦横無尽に振り回す、


「一体を狙うんじゃなく、より広く、より多くに当てる!」


「よし、粗方弓もちは片付けたわよ!後、詠唱が早くなってるんだけど、アンタなんかした!?」


「あぁ、ステータス上昇の演奏をしたさ!・・・フッ!」


口を動かしながらも、体は止めない、どうもゴブリンは仲間を呼ぶ習性があるのか一向に減っている様子は見えない、奥のほうからどんどんやってきている。


「ねえ!」


それなりに距離があるので、こっちも向こうも大声だ、


「なに?!」


「このまんま、ゴブリンを押し込んでみない!?」


「分かった!スノウも聞いたな?」


「にゃあー」


「よし、行こう!」


と、ゴブリンをある程度押し込んだところで体の調子が元に戻る、正確に測っては居ないが恐らく20分ぐらいは持ったんじゃないだろうか、そんな長く持続するなら大分強力なアビリティな気がする。






それから笛を吹いて強化→ムチで無双、爪で無双、霊魔法の連射で押し込む→強化きれる、少し停滞する→

強化、といった流れでどんどん押し込んでいった、出てくるのはゴブリンばかりで、弓持ちにさえ気をつければダメージなんて食らわないし、弓持ちは出た途端、霊魔法で狙い撃たれるので全く危険なし、そうして大分押し込んでいった後、盛り上がった土の塊のようなものが見えてきた、どうもそこからゴブリンは沸いているようだ、近づけば近づくほどゴブリンは増えていく、だんだん厳しくなっては居るがダメージは負っていないので問題は無い、


「あの土の塊まで行こう!」


「juhi・・・ハッ!ええ、そうね!」


「にゃ!」


近づいて見ればそれは本当に土の塊だった、ただし正面には穴が開いていて、そこからゴブリンが沸いているが、


「中に無理やり入ってみるよ!行こう、スノウ!」


「ええ、援護はまかせなさい!」


「にゃふ!」


正面の二匹のゴブリンをムチで叩いておきながらも横を走りぬけ、穴の中に潜り込む!





中に入ってみると、すぐそこにゴブリンがいるなんてことはなく、入ってすぐに感じたのは暗さ、その次に真っ黒なスクリーンに赤い点が浮かんでいるものが自分からみて左上に展開され、一番上には・・・


ダンジョン「子鬼の巣窟」


なるほど、コレは・・・面白そうだ!

とはいえ、ミツキとスノウは外で頑張っているので一旦出ることにする。



出てすぐにゴブリンが居た、至近距離に、もう棍棒を振り上げてる、避けれんな、これは・・・


「かふっ!」


痛い・・・ダンジョンとフィールドは別物ということか・・・すぐに霊魔法が飛んできてゴブリンは倒れたものの、痛みは残っている。


「アンタ大丈夫!?」


「もちろん大丈夫、これでも頑丈さが取り柄でね・・・フフッ」


そんなことはないけど、ここで弱気にさせる訳にもいかない、


「そ、そう、な、なら良いんだけどね?」


なぜ、僕は憐れまれている?・・・まさか!


「僕はMじゃない!」


「え、そ、そんなこと思ってないわよ・・・ほんとよ?」


思ってやがる・・・仕方ない話題を転換して忘れてもらおう、


「それよりもここを離れて町に向かおう!中と外では沸き方が別らしい!」


「そう、後で中の事は聞かせてもらうわよ!」


「わかってるから今は此処を離れよう!」




まぁ、押し込むより後退するほうが簡単だったと言っておこう、拍子抜けするぐらいにはアッサリだった。やっぱり、笛の強化が便利だ、僕のムチでモンスターたちは怯むし、その間にミツキとスノウが決めてくれるので僕はひたすら振り回すだけだしね。ただ、時間だけはかかってしまったが、多分1時間ぐらいかな?





「それで、中はどうだったの?」


門に着いて早々そんなことをミツキは聞いてきた。町に近づくにつれゴブリンの一度に襲ってくる数も減っていったので後半は余裕があったのだから別に聞いてきてもよかったのだが、それでも警戒を崩さないあたり、彼女の人間性が伺える。


「中に入ってすぐのところには何も居なかったから引きかえしてきたんだけど」


「そう、何もなかったの?」


「実際にはもっと奥に通じてそうだから何とも言えないけどね。まぁ入って早々ゴブリンに教われるなんて事はなかったよ」


「そう、なら次はもっと奥にいってみましょ?」


「うん、もちろんだよ」


「あ、そうだ、大事な事を伝えるの忘れてた」


忘れてたっていうか驚かせたくて最後に言うのだけどね!


「なによ?」


「入ったらさ、スクリーンが展開されてね?その僕らのステータス画面での名前部分が・・・」


「もったいぶらないで早く言いなさいよ!」


「まぁまぁ、その名前部分がさ、なんと!ダンジョン「子鬼の巣窟」だっ」


「ダンジョン!?」


「・・・たんだよね」


最後まで言わせてほしかった。とだけ言っておく


「よ、予想以上の食いつきだね」


「当たり前じゃないの!これぞ王道って感じじゃない!」


「そういうものなのか。なら明日本格的に攻略してみない?」


「さっきも言ったけどもちろんだよ!」


正直、ミツキ程のテンションではないが、僕も興奮しているのだ。なんたってダンジョンだしね!どんなお宝があるんだろう、ワクワクするなぁ!


そんな興奮と共に、お互いに早く寝ることにして、さっさと宿に向かった。




宿に戻り、スノウにキャットフードを与え、自分も夕飯を食べる頃には真っ暗だったので、ドロップ品は明日売ることにして、寝ることにする、今日はベッドだ。もちろんスノウを装備しているけどね。


これからは一日の最後にステータスを確認することにした、何故ならそれ以外であんまりゆっくりと見ている時間は無いからね。


~キヤト~


クラス ビーストテイマー+1


アビリティ6/6 ムチlv2 笛lv1 命令lv1 体力増加lv1 テイムビースト強化-ビーストテイマーlv2 ステータス上昇の演奏lv1


~スノウ~


クラス ホワイトキャット+1


アビリティ6/6 爪lv2 睡眠lv3 疾走lv2 氷魔法lv1 危険回避lv2 休憩lv2


「スノウは強くて可愛くて最高の仲間だね!」


ほんとに強い気がする。自分なんかよりよっぽど。


「にゃっ」


「じゃあお休み、スノウ」


あぁ、スノウは暖かくもあるんだな・・・ぐぅ

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