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比較的最近更新した短編のまとめ場所

壊れた悪女は空気に話しかける

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2026/04/21



 世界を滅茶苦茶にした悪女がいた。

 その悪女は、断罪され、牢屋に閉じ込められた。


 世界の中でも、環境が特に悪いという牢獄の、その一室に。


 そのため、悪女はすぐに心を壊した。


 牢屋に収容される前にさんざんいたぶられ、罰を受けてきたため、その影響もあっただろう。


 精神を病んだ悪女は、光のない瞳で空気に話しかけるようになった。


 その会話の内容は、他愛もないものばかりだ。


「おはよう」

「おやすみ」

「いただきます」

「ごちそうさま」

「いってきます」

「ただいま」


 耳にした看守の口からは、それらは悪女らしくない、ごく普通の少女の言葉に聞こえたという。


 しかし一定の周期で始まりと終わりを繰り返しており、終わりに近づくにつれて、言葉の内容は暗くなるという。


「おはよう。なんてそんな言葉を聞いてくれるものはいないわね」

「おやすみ。だなんて、きっと言っても無駄だわ」

「いただきます。今日はあるのね」

「ごちそうさま。食べられるものは少なかったけど、あるだけましだわ」

「いってきます。きっとみんな帰ってこなければいいと思っているはず」

「ただいま。なんだ帰ってきたのか……って落胆の表情を隠しもしないのね」


 悪女は確かに悪女だった。


 罪を犯し、多くの者達を困らせた。


 歴史書にのるほどで、多くの人が知っている。


「どうして誰もわたくしを見てくれないの? わたくしを見て、誰でもいいから」


 しかし、その理由をしるものは、特別な牢屋を見張る看守以外はいない。



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