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星屑の魔法学校 第7章

空が、裂けていた。


今までとは比べものにならないほど巨大な亀裂。


そこから降りてくる“存在”に、誰もが息を呑む。


「……何、あれ」


ユイの声が震える。


ただ立っているだけなのに、空気が重い。


呼吸すら苦しい。


「やっと会えた」


低く、響く声。


その存在は、ゆっくりと地上に降り立った。


「“星の魔法”の継承者」


そして、視線がユイに向けられる。


「……来るな」


レオンが一歩前に出る。


ユイを庇うように。


「ほう」


その存在は、興味深そうに目を細める。


「“虚空の継承者”か」


「……っ」


レオンの体が強張る。


「ちょうどいい」


冷たい笑み。


「二つとも、ここで手に入る」


次の瞬間——


ドォォォォォン!!!


圧倒的な力が解き放たれた。


「くっ……!」


レオンが膝をつく。


ユイも、立っているのがやっとだった。


(強すぎる……)


今までの敵とは、次元が違う。


「レオン……」


「……ユイ」


苦しそうに、でもはっきりと。


「逃げろ」


「え……?」


「今すぐ、この場を離れろ」


「無理だよ!」


ユイは首を振る。


「一緒に戦うって——」


「ダメだ!!」


レオンが叫ぶ。


その声に、ユイの動きが止まる。


「今回の相手は違う」


息を切らしながら。


「俺たちでも……勝てない」


「でも——」


「ユイ!!」


その声は、今までで一番必死だった。


「お前だけは、生きろ」


時間が止まる。


「……なんで」


ユイの目に涙が溢れる。


「一緒にいるって言ったのに……」


レオンは、ゆっくりと立ち上がった。


ふらつきながらも、前へ出る。


「だからだよ」


背を向けたまま。


「一緒にいたいから——生きてほしい」


その言葉は、あまりにもまっすぐで。


あまりにも残酷だった。


敵が、ゆっくりと手を上げる。


「話は終わりか?」


レオンは振り返る。


その目は、決意で満ちていた。


「ユイ」


「……」


「約束しろ」


「え……?」


「必ず、また会う」


涙が止まらない。


「……会えるの?」


「会うんだよ」


レオンは、少しだけ笑った。


「その時は——」


一歩、近づく。


ユイの頬に触れる。


「ちゃんと、迎えに行く」


「……っ」


「だから」


そのまま、優しく額を合わせて——


「その時、結婚してくれ」


一瞬、言葉の意味が理解できなかった。


「……え?」


涙でぐしゃぐしゃのまま、ユイが見上げる。


レオンは、照れたように笑った。


でも、その目は真剣だった。


「返事は、今じゃなくていい」


「生きて、また会えた時に聞く」


ユイは、震える手でレオンの服を掴む。


「……絶対だよ」


小さな声。


「絶対、生きてて」


「当たり前だ」


「約束だから」


レオンは、ユイの手をそっと外した。


「行け」


その言葉と同時に。


レオンの魔力が爆発する。


ドォォォォォン!!!


黒い力が広がり、敵の動きを一瞬止める。


「今だ!!」


ユイは——


走った。


振り返らないように。


泣きながら。


でも——


心の中で、何度も叫ぶ。


(絶対、会う)


(絶対、また——)


後ろでは、激しい戦いの音が響いていた。


そして。


その音が、ふっと消えた時——


ユイの中で、何かが静かに決まった。


「……待ってる」


涙を拭いて、空を見上げる。


「だから、絶対来て」


星が、強く輝いた。


それは——


二人の約束を、見守るように。



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