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星屑の魔法学校 第5章

「……ここ、どこ」


目を覚ましたユイの視界に広がっていたのは、白い天井だった。


窓のない部屋。


静かすぎる空間。


「起きたか」


聞き慣れた声に振り向くと、レオンが壁にもたれて立っていた。


「レオン……!」


ユイはほっとしたように起き上がる。


「よかった……」


「……何が?」


「ちゃんと、ここにいる」


その言葉に、レオンは少しだけ目を伏せた。


二人がいるのは、学園の地下にある“隔離区画”。


強力な結界で囲まれ、外とは完全に遮断された場所だった。


「出られないの?」


「無理だな」


レオンは淡々と言う。


「俺たちの魔力を封じる術式が張られてる」


「そっか……」


ユイは膝を抱えた。


沈黙。


時計の音すらない空間で、時間の感覚が曖昧になる。


「……なあ」


レオンがぽつりと呟いた。


「怖くないのか」


「え?」


「俺と一緒で」


「……どういう意味?」


レオンは少しだけ笑った。


でも、それはどこか寂しそうだった。


「俺、“虚空側”だって言っただろ」


「うん」


「つまり、本来はお前の敵だ」


「……」


「それでも、ここにいていいのかよ」


ユイは、しばらく黙っていた。


そして——


ゆっくりと立ち上がる。


「レオン」


「……」


「こっち向いて」


レオンは少しだけ迷ってから、視線を向けた。


その瞬間——


ぎゅっ


「……え」


ユイが、抱きしめた。


「ちょ、ユイ……!?」


「逃げないって、決めたから」


小さな声。


でも、はっきりしていた。


「レオンがどんな人でも」


「……」


「私は、一緒にいたい」


レオンの思考が止まる。


心臓の音が、やけに大きく聞こえる。


「……ほんと、お前って」


かすれた声。


「危機感なさすぎ」


「えぇ!?」


「普通、もっと警戒するだろ」


「だって……」


少しだけ顔を上げて、


「レオン、優しいもん」


その一言に——


レオンの中で、何かが崩れた。


「……もう無理」


「え?」


次の瞬間。


レオンが、ユイの腕を引いた。


トンッ


壁に押し当てられる。


「レ、レオン……!?」


距離が近い。


近すぎる。


「それ以上、そういうこと言うな」


低い声。


でも、どこか苦しそうだった。


「……抑えきれなくなる」


「え……」


ユイの頬が一気に赤くなる。


沈黙。


二人の距離は、あと少しで触れそうで——


でも、その時。


ピシッ


何かが軋む音がした。


「……?」


レオンが眉をひそめる。


「結界が……」


次の瞬間——


ドォォォォン!!!


隔離区画の壁が、外側から吹き飛んだ。


煙の中から現れたのは——


「あーあ、やっぱりここか」


軽い声。


フードをかぶった男。


第三章で現れた人物だった。


「やっと見つけた、“星の器”」


「……っ!」


ユイが息を呑む。


「こんなとこに閉じ込めるなんて、ひどいよなぁ?」


男は笑いながら近づいてくる。


「でも安心しろ」


その目が、ユイを捉える。


「すぐに楽にしてやる」


「下がれ、ユイ」


レオンが前に出る。


「またお前か」


「よぉ、裏切り者」


男は楽しそうに笑う。


「今回は本気でいくぞ」


その瞬間。


部屋全体に黒い魔力が広がった。


「結界ごと壊す気か……!」


レオンが舌打ちする。


「ユイ、俺の後ろに——」


「ううん」


ユイは首を振った。


「一緒に戦う」


「……!」


二人は視線を合わせる。


言葉はいらなかった。


「いくぞ」


「うん」


魔力がぶつかる。


狭い空間の中で、激しい戦闘が始まる。


でも——


その戦いの裏で。


さらに大きな存在が、動き出していた。


「……ついに見つけた」


学園の外。


闇の中に立つ、ひとつの影。


「“星の魔法”——そして、“虚空の継承者”」


低い声が響く。


「両方とも、手に入れる」


物語は、さらに加速する。



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