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星屑の魔法学校 第2章

その夜。


学園全体が、どこかざわついていた。


「……ねえ、なんか変じゃない?」


ユイが小声で言うと、隣を歩くレオンは少しだけ顔をしかめた。


「ああ。結界が揺れてる」


「結界……?」


「この学園を守ってる魔法だよ。普通はこんな風に乱れたりしない」


その時——


ゴォォォォン……


重たい音が空に響いた。


空中に浮かぶ魔法陣のひとつが、歪む。


「来たか……!」レオンの声が低くなる。


次の瞬間。


空が裂けた。


黒い亀裂の中から現れたのは——


「……なに、あれ」


巨大な影。


翼を持つ、禍々しい魔物だった。


「“虚空獣ヴォイドビースト”…!」


レオンが舌打ちする。


「なんでこんなとこに……!」


警報が鳴り響く。


生徒たちは避難を始め、教師たちは魔法陣を展開して応戦する。


「ユイ、こっち!」


レオンが手を引く。


でも——


ユイは動けなかった。


あの魔物から、目が離せない。


(……怖いのに)


(なんで……)


胸の奥が、ざわざわする。


まるで——


「呼ばれてるみたい……」


「ユイ!?」


次の瞬間。


虚空獣が咆哮を上げた。


ドォォォォン!!


衝撃波で、周囲の塔が揺れる。


「くそっ……!」


レオンがユイを庇う。


「ここは危ない、離れるぞ!」


でも——


ユイの中で、あの“光”がまた溢れ出した。


「……レオン」


「なに?」


「私……行かなきゃ」


「は!?バカ言うな!」


レオンは強く腕を引いた。


「相手は化け物だぞ!お前が敵う相手じゃ——」


「違う」


ユイは、はっきりと言った。


「私の力で、止められる気がする」


「……っ」


その目は、迷っていなかった。


一瞬の沈黙。


そして——


レオンは深く息を吐いた。


「……絶対、無茶すんなよ」


「うん」


「危なくなったら、すぐ逃げろ」


「うん」


「俺が、必ず助ける」


その言葉に、ユイは小さく笑った。


「知ってる」


ユイは一歩、前に出る。


空を見上げると、虚空獣の目がこちらを捉えた。


ドクン——


心臓が強く鳴る。


(怖い……でも)


(逃げたくない)


手を伸ばす。


「——星よ」


その瞬間。


ユイの体が光に包まれた。


無数の星の粒が舞い上がり、空に巨大な魔法陣を描く。


「……すごい」


レオンが息を呑む。


虚空獣が突っ込んでくる。


でも——


ユイは動かなかった。


「——還れ」


静かな声だった。


次の瞬間。


光が爆発する。


ドォォォォォン!!!


星の光が一直線に伸び、虚空獣を包み込んだ。


咆哮が、悲鳴に変わる。


そして——


パリン……


ガラスが砕けるように、魔物の体が消えていった。


静寂。


空の亀裂も、ゆっくりと閉じていく。


ユイは、その場に崩れ落ちた。


「ユイ!」


レオンが駆け寄る。


「大丈夫か!?」


「……ちょっと、疲れたかも」


弱く笑うユイ。


レオンは、その体をそっと抱き寄せた。


「無茶しすぎだ……バカ」


「でも……守れたよ」


「ああ」


レオンは静かに頷いた。


「……すごかった」


その時。


遠くの塔の上で、それを見ている影があった。


「やはり、“星の魔法”……」


フードを深くかぶった人物。


その目は、冷たく光っていた。


「計画を、早める必要があるな」


ユイの力は、学園を救った。


でもそれは同時に——


大きな運命を動かしてしまった。


そして。


この日を境に——


ユイは“狙われる存在”になる。




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