八話 派閥が出来ました
八話 派閥が出来ました
その後、エクスカリパーを仲間に加え、四人となった。当初のサイズの敵味方の区分けがほぼ当てはまっていた、案外バカに出来ないなと要は思う。
黒星は拳銃型ライターで木炭に火をつけた。サイズはそれをワクワクした顔で見守っている。
見られているのを嫌ったのか、黒星は次の指示を出した。
「エスパーダから皿と箸をもらってきてくれ」
「私ばっか働かされてる」
サイズが不満を口にした。
「仕方ねぇな」
黒星はアックスとシールドに声を掛けた。
「お前達行ってこい。肉は自分で焼かなくても皿や箸は使うだろ」
「分かった。アックス行こう」
二人はエスパーダの元へ来た。
「箸と皿を借りに来た」
エスパーダは黙って、紙皿と割り箸を差し出した。
「安物かよ。腐っても貴族と社長だぞ」
「私の食器は少ないの。パーティー出来るほど持ってないのよ。イヤなら私に食器を貢ぎなさい」
「確かに」
「納得するな、シールド」
「ある物でなんとかするのが、王道だ。今から買うには時間とコストがかかる」
シールドが受け取った皿や箸をアックスに渡して、下がらせる。入れ替わりにマダムとスミス姉妹がやってきた。
「要さんに話があるのだが」
シールドは落ち着いていたが、他の連中は焦っていた。
「私達は要さんに焼いて欲しいのです!」
「僕等は肉が食べたいんだ」
「野菜は食いたくない」
「要、効いてた?」
「うん、今野菜焼いてる」
スミス姉妹は絶望していた。
「そんな」
「こっちもダメなのか」
「師匠に詫びを入れれば?」
「今さら無理です。イデオロギーの違いで」
「私達は風呂に焼いてもらう事を選んだんです」
「むしろ黒星師匠のほうがプロですよ」
思わずマダムにツッコんだ。
「それでも要さんのほうが良いんですの」
カウンターで嬉しい事を言われ、要は続けられない。
「野菜を食べた後に肉を食べましょう」
代わりにエスパーダがマダムに促した。彼女はマダムが苦手なので、遠慮がちだった。
「私達は焼肉を食べに来たというのに」
マダムは不満タラタラである。
「母さん、我慢しよう。人間も野菜を食べるんだから」
「仕方ないわね。要さん、お任せするわ」
要は小人達の肉を焼いてあげる事が確定した。だがちょっぴりテンションが上がっていた。