五話 要を守ります
五話 要を守ります
黒星が持ってきた七輪を置いて、エクスカリパーが炭を用意する。肩に乗ったスミス姉妹に目を奪われていたが、手ぶらで来たわけではなかったのだ。
「助かる。揃いも揃って働こうというやつが少ないからな」
主にサイズとスミス姉妹を見ている。スミス姉妹はあからさまに顔を背け、口笛を吹いている。サイズはエクスカリパーに「どうやるの?」と聞くが、見ているだけだった。
「積極性は見習うが、邪魔しないでくれ」
「はーい」
サイズは落ち込んでいた。が、すぐに奮起して能に近付いた。
「能、お肉切って」
「敵であるサイズには野菜しかあげないよん」
切った玉ねぎ押し付けてきた。サイズは涙を流しながら、講義した。
「ひどい。就に言いつけてやる」
「就もこっち側だよん。焼肉の間は敵だってサイズも納得してたよね?」
「要ーっ!」
サイズは要に泣きつく事にした。だがだめ。エスパーダが立ちはだかる。
「要には調理に集中してほしいから、誰も近付けないようにしてるの」
「そんな、エスパーダまで……」
「とりあえず野菜。食べ終えたら次来ると思うから」
エスパーダは小人用のザルに入った野菜を渡した。
サイズは能から押し付けられた玉ねぎもザルに入れ、黒星の元に逃げ帰ってきた。
「これしか渡してくれなかった」
玉ねぎの涙もあり、サイズのイジメられて帰ってきた感が半端ない。
「くそ、野菜だけ渡して肉を少ししか渡さない気だな。やる事が姑息だ。要ではないだろうが」
「能が言ってきた。就も……」
「何、許せん。肉を手に入れるんだ」
黒星はアックスの肩に手を置いた。
「肉を奪ってこい」
「私も行こう」
エクスカリパーが話に入ってきた。
「よし、もう一度突撃だ!」
仲間を得て、サイズは強気になった。
「とりあえず火をつけて待っておく。誰か火持ってないか?」
全員が顔を見合わせ、首を横に振り、そして頭を抱えた。
この戦いは準備の段階から負けているのだった。