二話 みんな集まりました
二話 みんな集まりました
要達が準備をしていると、遅れて黒星とアックスがやってきた。ハトには小さな七輪やら、トングが積み込まれている。なので飛ばずに歩いて入ってきた。
「焼肉なんて人間に焼かせれば良いだろ」
「そうはいかない。好みの焼き加減は人それぞれ。人間と小人族では大きく違うもののだ」
黒星は偉そうな事を言っているが、肉を持ってきてはいない。それは要達の肉を頼っているという事に他ならない。
「よく焼けば腹は壊さないだろ」
「だからお前はバカ舌なんだ。俺がうまい肉を食わしてやる」
「師匠、私の分は?」
サイズが話に加わる。
「なんだ。戦闘服なんか着て。何と戦う気だ?」
「焼肉は戦いなんだよ」
教育の成果を披露する。
「じゃあ、敵の肉は焼かん」
「えーっ⁉︎ 師匠、焼いてくれないの? 味方でしょ」
「お前の中の味方は誰だ?」
「私と師匠。要もかな。敵はライトハンドとレフトハンド。能や就も敵だから」
なんとも都合の良い組み分けだ。焼いてくれそうな人物を味方に引き入れて、奪おうとする者は全て敵というわけだ。
「おい、俺は……?」
「捕虜?」
首を傾げながら答えた。
アックスはうなだれた。
「俺、貴族なのに」
「大丈夫だ、アックス。捕虜には人権がある。な」
「人権?」
聞き返され、アックスだけでなく黒星も頭を抱えた。
「良いか。捕まってるからって、飯をやらなかったりしてはいけないんだ。分かるな」
「そうなの?」
サイズはみんなに向けて尋ねる。
「あのね、私カツカレー食べてたでしょ。捕まってたのに」
「あ、そういえば」
「だから捕まえてる人にもご飯あげなきゃいけないの。世界のルールなの」
「だったら捕虜要らなくない? 食べる量増えてるし」
「それはやっちゃいけない。宿守応該さえもやらなかった事だ」
就にたしなめられ、サイズはしゅんとなった。
「アックスは仲間だ。捕虜じゃない」
黒星に言われ、アックスを見上げる。
「仲間?」
「そうだ。ハイマースに乗せてやったろ」
「ハイマース、仲間。アックス……仲間?」
アックスに真剣な顔で聞いていた。
みんなアックスに対してぞんざいな扱いをしたため、サイズが味方認定出来なくなっていた。要はやりすぎたとは思ったが、罪悪感は抱かなかった。アックスはエスパーダを狙っていたのだ。それが過去になっても、許さない。いや、忘れないのだ。
とりあえず、何もしないでいると、マダムとシールドが到着した。