十二話 彼が秘密兵器を出しました
十二話 彼が秘密兵器を出しました
要は缶チューハイを飲みながら、肉を焼いていく。他人の肉を焼くだけで食べてる暇がない。それに秘密兵器もあるし、お腹いっぱいにしたくない。
小人達や能と就に肉を与えて腹を満たしてやった。
みんな黙って、争うように食べてくれる。野菜は良い隠れ蓑になっていた。皆、肉に注意がいっている。秘密兵器まで腹の持つやつはいないだろう。
「ふう」
「お腹いっぱい」
まず、スミス姉妹が満腹になった。
次にシールド、そして最後はマダムがお腹いっぱいのアピールする。
要の任務は終了したのだ。
「まだだ。まだ終わらんよ」
能が側で呟く。
「すいません、俺等も食べたいんです」
就が言う。彼もかなみに対して遠慮がなくなってきた。能の影響だ。悪いほうの。
要は肉を焼きつつ、サイズ達の音声に気を配った。能が余計な事をしたせいで、サイズは黙ってしまった。それでも肉を焼いているのは微笑ましいが、ムードメーカーが黙ると気まずそうだ。
要はスミス姉妹に様子を見てくるように頼んだ。満腹の二人は重い足取りで近付いていく。
「僕等はもう食べ終わったよ」
「サイズがまだ食べ足りないのかな?」
「うるさい!」
「おーこわ」
「何怒ってるんだか」
火に油と注いでしまったようで、人選を誤ったと反省する要。
「やめろ。何を怒ってるんだ?」
黒星はサイズをたしなめる。
「師匠は私の事どう思ってる?」
「子供だと思っている」
優しさではなく、誠実さで彼女応えている。だが、子供には難しいだろう。
「黒星殿!」
「お前の事は好きだ。だがお前の好きと俺の好きは違う」
「俺とおんなじ、ってえ!」
どうやらアックスをエクスカリパーが殴ったようだ。
「貴様とサイズの初恋を一緒にするな」
「初恋?」
意外そうなサイズの声。
「私は就が……でも、こっちのほうが悲しい」
シクシクと泣いていた。
「ありゃダメだ」
「マジ過ぎていじれない」
スミス姉妹は呆れて戻ってきた。
「あなた達も恋すれば分かるわ」
「それはハードルが高い」
「まず僕等の見分けがつかないとね」
もっともな意見が返ってきた。
「母さん」
「これはサイズが乗り越えなくてはならないのよ」
要は能達に肉を渡した後、秘密兵器を取り出した。サーロインステーキの肉を。




