十一話 肉を食べます
十一話 肉を食べます
焼いた肉を小皿に置いてあげて、エスパーダ所有の焼肉のタレをかける。
スミス姉妹は自分達所有の箸で食べた。
「うまい」
「コロポックル社のタレだね」
「私、コロポックル社の社員」
「そうだった」
「要さんの居候だけじゃなかった」
エスパーダはまた黙ってしまう。
「エスパーダも食べて」
気を遣って声を掛けた。が、マダムの鼻の前に立ちはだかる。
「私は先ですわ」
「母さん」
「彼女ホスト側な。客と一緒に楽しんではいけないのよ」
そう言い、かに肉を催促する。シールドもどっちかと言えばマダムよりなのか、いつ肉を受け取っても良い体勢になっている。
「ごめんね、エスパーダ」
要はマダム達を優先した。二人はすぐ引き下がり、すぐ食べる。
その後、エスパーダに肉を渡したが、反応が薄かった。
「要、後で話がある」
そう言われて、会話が終わった。怒ってる? 先にマダム達に渡したから? まあ、エスパーダも秘密兵器を食べてくれれば、機嫌もなおるだろう。 要はえへの気遣いもそこそこに、サイズ達の様子を伺った。能がちょっかいをかけていた。
「焼けてる?」
「あげないよ」
サイズの反応はそっけない。そして網の上にあった肉を紙皿に移す。
「タレだ」
黒星はエスパーダの物とは違うタレをサイズに渡した。
「あい」
サイズはタレを掛けて、肉を食べる。熱かったのかハフハフしてから、幸せそうな顔をした。
「おいしい!」
「そうだろう。焼肉は自分で焼いたほうがうまいんだ」
「そうなのかなぁ? 私はお兄ちゃんに焼いてもらうほうが楽だと思うけど」
「能は自分で肉を焼いた事がないからそんな事言うんだよ。おいしいよ」
「あれあれ、
サイズは黒星の味方をするの? 好きなの?」
「好きって?」
「黒星が」
「そんな事ないもん! 私、就が好きだもん」
「そうだ。俺は子供には好かれない」
「私、子供じゃないもん!」
「じゃぁ、好かれてんじゃないの?」
「そんな事はないだろう。人望はあるほうだと思うが」
黒星がサイズを見ると顔を背けていた。
「なんか、面白そうな事起きてる」
「ヒューヒュー」
騒ぎを聞きつけたスミス姉妹が近付いてくる。
恥ずかしいのかサイズはスミス姉妹を追いかけ始めた。




