十話 彼が肉を焼きます
十話 彼が肉を焼きます
「肉切れたよ」
要はみんなに告げていた。
黒星以外、群がるように小人達が押しかける。それをなんとかエスパーダが押さえている。
「サイズ達優先ね。あんた達は要が焼いた物食べるんでしょ?」
確かにそうなので、スミス姉妹は沈黙した。だがマダムは引き下がらない。
「なぜ、あなたが指図しているんですの?」
「ここは私の家でもあるんです」
「あなた、全然料理してないじゃない」
「それは私達の役割分担で……」
「ただいるだけの人なんて、居候と同じじゃない」
エスパーダの反論が止まった。
言い負かしたと思ったようで、マダムは引き下がった。
クレーム処理も立派な仕事だが、エスパーダにはむいてないように見える。
「今から焼きますから」
要は自分から注意を引くように言った。
「やった」
「早く早く」
スミス姉妹はをはしゃぎ出した。
まずはエスパーダに肉を預けて、サイズ達の分を渡してもらう。
受け取った肉を乗せた人間用の小皿を持って、サイズが慎重に歩いていく。
「俺に任せろ」
「サイズ、落とさないように私に任せてくれ」
「イヤ!」
サイズは頑強に自分が持つと主張した。アックスとエクスカリパーは見守る事にしたようだ。
持っていくと、肉を黒星に渡した。
「よし、良くやった」
「えへへへ」
「まず野菜をなんとかしてからだ」
「あい」
サイズの手から肉が離れた事に、アックスとエクスカリパーは安堵していた。
要はスミス姉妹に急かされ、肉を焼く。焼いてあげた野菜には手もつけられず、彼女達の皿に残ってる。能の作戦は失敗したようだ。




