不穏な空気は突然に
身の安全を考えファーストへ帰るのではなくそのまま次の街ホロルルガへと向かう冬樹一行であった。
「それでどうして羽が生えてるんですか?リアさんや」
「魔族だし生えててもおかしくない。」
『肯定』
『一部魔族中でも高位なものや飛行に特化したものは翼を持つように身体が進化しています。』
(はえー、やっぱりリアほどの者となるとそういう物もあるのか)
その話を聞いたがリアと初めて会った時は羽なんて生えてなかったことを思い出し
「所でなんで出会った時は生えてなかったの?」
それに対してリアは「あー」と上向ながら答えた。
「私の羽は魔力が十分じゃ無いと生えない出会った時はギリだったから…
でもこの羽を生やしてる時は周りから魔力を吸えるのだから今は魔力を回復できてるし生やし続けられる」
「え!?」
「ん、無差別に吸ってる訳じゃない冬樹以外を吸ってるから大丈夫。」
「それ本当に大丈夫なんすか…??」
「それに剣にも魔力を与えておいて損は無いし、機動力も高くなるし良いこずくめ」
(羽って結構いいな俺も生やしてみたいなー)
『提案』
『この世界の魔法には、翼をさずける魔法があります。それを見つけてみればどうでしょう』
(えっ!あるの!?割と空って干渉できないゲーム多かったりするけどこの世界は行けるのか)
『肯定』
『この世界の魔法は少し特殊なので問題なく空を飛ぶことが出来るでしょう。ですが取得難易度はかなり高いです。』
「やっぱ、そうそう空には手が届かねぇーもんだなぁ〜」
「?」
「冬樹も飛びたいの?」
「まぁーどちらかいえば飛びたいな。」
「俺が生きてる間に自力で飛ぶことは果たして出来るのだろうか…無理そう」
そんな話をしながら歩いてたらリアがふと思いついたような顔をし背中から冬樹に抱きついた。
「り、リアさん!?いきなりどうしたんですか!?」
「いい景色見せてあげる。」
そう言い、リアは翼を大きく広げ一気に飛んで行った。
その高さは上空300メートル近く飛んでいた。
「どう?」
「めっちゃいい景色…加速は怖かったけど。」
「じゃ、ホロルルガまで真っ直ぐ行くね☆」
リアは翼を畳み、獲物を捕えるはやぶさの様に加速していった。
「あばばばばばば」
その速さは冬樹には早かったように白目を向きながら泡をふきかけていた。
ーーーーー
「は、はぁ…死ぬかと思った…」
「ごめん…楽しんで貰えると思って」
「まぁ…悪くは無かったよ。」
(何か新たな扉が開けそうだったぜ…(絶望))
「とりあえず、俺も装備を整え無くちゃいけないしな」
装備
武器 E.無し
頭 E.無し
胴体 E.アーマプレート(壊滅的)
右腕 E.無し
左腕 E.シールドアーマ(壊滅的)
腰 E.ポーションポーチ(小)
足 E.革の靴(かなり擦り切れている)
装飾 E.無し
アクセ E.無し
Ex1 E.無し
Ex2 E.無し
ーーーーー
とりあえず宿に向かった一行
「おっちゃん、宿いくらだ?」
「1部屋4銅貨だ」
「随分と安いな。」
「お前みたいなボロボロの奴には安くしてるんだ。」
「ここで恩を売れば後で出世払いして貰えるとな。」
「それ…本人に言ったらダメだろ。」
「ふん、そもそもうちの宿はお前みたいなやつを泊める様にあるだから気にすな。」
と話すと宿屋の店主は鍵を投げ201だと言い話は終わりだと言うような素振りで、カウンターから裏方に言ってしまった。
「宿は取ったし、装備でも整えるか〜リアはどうする?」
「私は無闇にギルドとかに顔を出すのはあまり良くないような気がするし残るわ」
「分かった。じゃ、行ってくる」
「ふふ、行ってらっしゃい」
冬樹は装備を整えるため鍛冶屋に向かった。
実はリアの剣を取り戻したあと場所を少し変えて数日そこに滞在していてステータスの整理、傷の修復、魔力の確保などをしていて、そこで川に沈めたアイアンスライムを討伐しその素材を加工してもらおうと考えていた。
「という訳で鍛冶屋に来た訳だが誰もいないのか??」
「おーい誰か居るかー?」
冬樹が呼びかけてもなんの反応も無かった。
人が居ないと思い、鍛冶屋を出て武具屋に向かおうとしたら鍛冶屋を目掛けて走ってくる女の子と激突した。
「ぐ、ぐえぇ…」
「って、てめぇ!どこ見て歩いてんだおら!!」
「えぇ…」
背中にハンマーを背負った女の子は謝りもせずにそのまま鍛冶屋に入っていった。冬樹は少しの間混乱したが鍛冶屋に入るってことはここの人と!?思いもう一度鍛冶屋に入っていった。
「おーい!」
「ん?なんだてぇメェ!まだなんかあんのか!!あ!?」
「なんでそんなに喧嘩腰なのか分からんがここの鍛冶屋の人はいないのか?」
「見たところここに入ってくるってことは何かしら関係あるよな?」
「鍛冶屋の人?あぁあんた客か」
「あぁ客だけどさっきここには誰も居なかったから、ここの人が何処に行ったか教えてくれないか?」
「割と直ぐに武器が欲しくて」
「???」
と話すが、話の意図が見えないのかその女の子は考え込んだ。
がその考えはすぐ解決した。
「てめぇ俺が女だからこの鍛冶屋の知り合いかなんかだと思っただろ。」
「え、違うの?」
「ここの鍛冶屋の店主だよ!俺は!!」
その発言に冬樹は驚きの声を上げ、すぐに謝った。
その後アイアンスライムの事を話無事武器を作ってもらう事になったが、今は忙しいと言われ造りはするが時間はかかると他の武器を貸してくれた。
「あんなに急いで、どうしたんだろ?」
「ま、一応武器は貰ったから一件落着か…」
と紅くイナズマの様に角度のついた剣を見てニコッと笑った。
ーーーーー
「あの剣は…」
建物の影に隠れ冬樹を見て、剣に思い当たる何かがあるように神妙深く見ていたがこれは冬樹の知る由ではない。
また何か厄介事に、巻き込まれるかいなかは女神も知らぬ行方であった。