西の洞窟
冬樹がテントに無事に帰ってきたところ
「戻ったぞ〜リア」
「うん、おかえりなさい」
このやり取りが初めてとは思えないほど自然な感覚な事に少し安心感を覚えたが感覚で人祓いの魔法が切れてることに気づいた。
「なんか来たりとかしなかったか?」
「!…」
(…まさか、ベルフォメットの存在を確認した?そ、そんなはずはないと思うけど…あの時のベルフォメットは少なくとも私がかろうじて存在を気づいた程には隠密スキルを使っていた。)
「そ、それより明日ここを立たない?」
「うーん、そうだな確かに龍が来たりしたからギルドの奴らが調査に来るかもしれないしな。後…」
「招かれざる客が来るかもしれないしね。」
(俺の人払いの効果も大したことは無いだろうまだレベルも低いしな。早く事を済ませたい気持ちはよくわかる。)
「う、うん」
(や、やっぱり気づいてる…す、凄い会った時はレベルも低かったけどそんな事気にしないで龍とゆう間に戦ったり私を助けてくれた。)
「すごいなぁ」
「ん?」
少し頬を赤らめるリアを横目に早速何かを作る為に素材をそさくさとカバンの中から出していた冬樹。
…その後
夜、冬樹が乾燥した葉っぱと糸を合成して葉っぱの枕を作り上げそれをリアに使ってもらって2人は夜を共にした。
ーーーーー
「ベルフォメット様リア様を襲った冒険者を全員殺してきました。」
「ふむふむ、良くやったあの子には早く魔力を戻して貰わないといけないからね…少なくとも今は彼は生かしといていいだろうメンタル面は私はどうにもならないからね。」
「それで?報告はまだあるよね?」
「はい、預言者ダリア・ノアが中央ヴィクトール国が禁術に手を出す未来が見えたと言っております。」
「禁術…?」
「はい、まだなんの効果があるのかいつなのかは分からないと本人は言ってました。」
「…不確定の未来視、預言者加護を持つダークエルフ…ダリア・ノアその者が見た未来は確実に世界に影響させる程の未来か。」
ベルフォメットは不敵な笑みを零しながら何かを見つめていた。
ーーーーー
翌日 早朝
「んんっ…ふぁぁ…朝ね」
「あぁ、おはようリア」
「!っお、おはよう…びっくりした起きてたんだね」
「少しスキルの整理と買ってきた魔法書を読んでいたんだ。」
「寝てないの?」
「いや、中々慣れない環境だったから少し早く起きただけだ、しっかり休んではいるよ。」
(今までベットで寝てたし乾草も無かったしで背中が痛い…)
「準備が出来たら声をかけてくれ、俺もいつでも行けるように準備する。」
「分かった少し水浴びしてくる。」
「あー、これを持ってくといい。」
そう言いカバンの中から葉の繊維と木の樹液と羊の毛を合成した物を取り出した。
「タオル?ありがとう。」
「即興で作ったものだ使い捨てだが抜けたままは良くないしな」
(ふふふ、なんだか真剣に魔法書を読む姿かっこよく見えてきゃう。)
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。」
ニコニコと水浴びに行ったリアと初めてあった頃苦しそうな顔をしてたリアが笑ってくれた事に少し安堵した冬樹であった。
お互いに準備が出来、西の洞窟へ向かっている最中。
『忘却』
『私のこと忘れてませんよね?』
(なんだ、いきなり…)
『いえ、半日喋ってないと忘れ去られたのかと思っただけです。』
(なんだなんだ〜デレ期か〜??)
『怒り』
『ムカつくので黙っててください。』
否定はしないんだな可愛いヤツめと思いながらふふふと笑う冬樹であった
なお横で見ていたリアはまた1人で何かしてる発作かな…?などと思いまた少し引いていた。
そんな道中の移動もありつつ無事2人は西の洞窟に着いた。
「ついた見たいだな。」
「うん」
ザァーっと大きく流れる滝を見て圧倒的なスケールから冬樹でも分かる魔素が濃くなったという感覚でこの滝の裏に洞窟があると確信していた。
「着いてきて」
と右手を上げ短く詠唱をリアがするとたちまち滝が縦に割れた。
冬樹は驚愕して声も出ない所だがリアに手を引っ張られ滝の奥へと入っていった。
「す、すごいなリアはあんな滝を真っ2つに割るなんて!」
「わ、私の予想だけど、冬樹はすぐ私の力に追いつくと思うよ///」
目を輝かせながら褒めてくる冬樹に対して少し照れながら本音を言うリアであった。
『不快』
『さっさと進んで下さい。』
(な、なんだよいきなりー)
そんなやり取りをしながら早速洞窟の中へ入っていった。
「以外と広いなぁ」
「ここは本来ダンジョンだったの…」
「ダンジョン…ダンジョン!?」
「うん、でもここの奥に私の剣を封印したの」
「また、そりゃどうして?」
「あの剣は私の魔力を吸って成長し育っていったそして私と剣どちらとも強大になったわ」
「だが父はそれを許さなかった。」
「父は私をいずれ封印するのは薄々気づいていたでも剣は破壊されるかもしれなかった、だから守ろうとして魔族からしたら辺境の地のダンジョンに隠した。」
「だけど魔力が大き過ぎてここの魔物は逃げ出した。そしてただの洞窟になった。」
と話終わったあとにリアは気づいた。冬樹が全く魔力酔いや魔力中毒などに全くなっていない事に。
(…どうして?ダンジョン中の魔物が逃げ出すような程の魔力が漂っているのに…)
「大切な剣なんだな。」
さっきまでとは違う真剣な顔付きで言う冬樹を見て無用な詮索は良くないと思い直すリアはこう返した。
「うん、すっごい大切な剣。」
『報告』
『魔素の濃度が急激に上がってます』
「!」
ドゴッン!!!!!と大きな音ともに近くの壁が砕け散った。
「お、お前は…リ、リア!?」
「…」
そこには強大な魔力を放つ剣を持つリアと瓜二つの見た目を持つ者がいた。
「リアこれは?」
「魔力が形をもって出てきたみたいね」
「リア…私を封印した報いを…受けろ!!」
「待って!貴方を封印したのは訳が…っ」
剣は話を遮って攻撃を仕掛けてきた。
「まずはあの剣を止めないとな!」
「分かった。」
冬樹は氷魔法と合成術で作り出した氷の剣を作り、リアは魔法を構えた。
「行くぞ!!」
「アクセラレーション!」
行動強化魔法で一瞬にして剣の前に距離を詰め氷剣で攻撃した
がパキンッと氷剣を真っ二つに割れた。
「そんな攻撃っ効かない!!」
(確かに、魔王も恐れる力俺なんかは足元にも及ばないか…)
「アブソリュートレイ!!」
「っ!」
剣が冬樹にトドメを刺そうとした所にリアが攻撃魔法でそれを妨害した。
「聞いて!」
「私は貴方と話をしたい。」
「私は貴方と話すことは無いっ!!」
鋭い言葉と攻撃を返してきた。
「危ない!」
「アークシールド!」
剣の軌道を逸らしリアには攻撃は届かなかった、その隙にリアは剣のリアの姿の懐へ入り
「量子魔法!」
「クアンタムダイブ!!」
剣とリアは洞窟の床をぶち抜いてさらに地下へ落ちて行った。
『報告』
『だいぶ深く落ちたようです私の感知範囲外から離れた様です』
「くっ…」
「それでも、行くぞ!」
「うぉぉおおおお!!」
叫びながら冬樹は穴へと落ちて行った。




