開戦
「…なんだアイツら、渓谷から出てきたと思ったら1番弱そうな奴を1人にしやがった…。」
「どいつもこいつも俺を舐めやがってぇ…女2人にカッコつけてきたのかぁ!?あぁイライラするんだよォそういう奴があぁ1番よォ!!」
「計画なんてェどうでもいいぶち殺してやる今すぐに!!」
「この鎌のサビにしてやるよォ!!!」
ーーーーーー
「探索して10分は立ったな…どうだフィオ?」
『反応』
『検知できません、未だに森の中ではなにかに妨害されて周りの状況を把握できません…。』
「そうか」
「!」
グシャッ!!
突然真横から鎌が投げつけられ前髪をかすって隣の木に刺さった。
一瞬の反応で良けれなかったら鎌に顔面を切り裂かれていただろう。
「っ!出てきやがったか!」
冬樹は飛んできた方向に武器をかまえた。
だが敵は見えなかった。
冬樹は嫌な予感を直感で感じ取りその鎌を直ぐに見た。
そこには鎌を持ったフードを深く被ったローブを着た人物がいた。
「よォ、俺の名はザラキ」
「そして、てめぇみたいな奴をぶっ殺す男だァ」
「不意打ちしてくる癖に、自己紹介してくれるなんておもしれぇ奴だな。」
そう言って鎌を振りかぶって襲いかかってきた
「くっ!!」
縦に思っきり振られた鎌を両手を使って剣で受け止める。
だがザラキは両手の空いた冬樹の空いた腹を思いっきり蹴っ飛ばした。
「うらァァァ!!」
「ぐっ、」
冬樹はぶっ飛ばされ木にぶつかりその勢いで頭をぶつけて頭から血が出てしまう。
「オラァ!!」
ザラキは攻撃の手を止めず鎌を横に振り木もろとも切り裂いた。
「あっぶねぇ…」
間一髪で避けた冬樹だが、相手の攻撃は想像よりも重かったようで剣を持つ手が少し痺れている。
「惜しかったなぁ、まぁ俺はこうして生きてるがな!!」
「あぁ?言うじゃねぇか、そんな満身創痍見てぇなつらしやがってんのによォ!」
「あぁ見ててイライラしてきたァ!!!」
「しねぇぇ!!- 死の鎌 -」
ザラキがおもっきり何も無い場所で鎌を振り下ろす。
「ぐっはああぁ!?」
冬樹は突然肩から腹までおもっきり切り裂かれた様な傷が出来血が吹き出る。
そして、そのまま前のめりに倒れた。
(くそ痛てぇ…、まだヘルスは残ってる…ゲームみたいな世界じゃ無かったら即死だったな…、HP概念があって良かったぜ。)
『危険』
『バットステータス 流血状態がついています、持続的に体力が減り続けます。』
『即座に状態異常を回復し、そのまま体力を回復してください。』
(あぁ…意識がっ…)
倒れた冬樹を見てザラキはつまらなさそうな顔をしていた。
「へ、言う割にはあっさり死んじまった見てェだな」
「後は、あの女たちだけだな。」
ーーーーー
(名を名乗れ)
(?)
(名を名乗れ)
(なんだ…ここは…誰が俺を呼んでる?)
冬樹は途切れた意識の中なにかの声に反応する
名を名乗れと
(俺は神凪冬樹)
(力が欲しいか?)
(今目の前にいる者を消す力が)
(パワーアップイベントか?何処でイベントフラグを回収したんだ?)
(とにかく、持っておいて損は無いだろ)
(あぁ、寄越せ力を)
(そうか…受け取るがよい)
ーーーーーー
『起きてください!直ちに!』
『HP限界値です!このままだと死にます!!』
(あぁ、フィオ安心しろ。)
『否定』
『安心出来る状態…こ、これは…?』
ざーざーっとフィオとの会話も聞こえなくなった頃。
冬樹は立ち上がり自分とは別方向に向かおうとしてるザラキを呼び止めた。
「おい、何処に行こうとしてんだ?」
「まだ俺は生きてるぞ。」
「へ〜、よく生きてるじゃねェか」
「女神に感謝を」
冬樹は謎の空間から取り出した自分でも分からない金のリンゴを持って
そしてそれを、食べた。
その奇怪な行動に、ザラキは呆然と立っていた
冬樹はリンゴを食べ飲み込んだ瞬間
先程まで黒かった髪がさっーっと色を変え真っ白に、目は紅く染まっていた。
そして剣からイバラのようなものが生えでてきて冬樹の左手に絡みつきそこから血が出てくる。
その血は剣がまるで吸ってるようだった。
その一連の出来事が終わった瞬間
冬樹はザラキが動いたと認識する前にザラキの首を跳ね飛ばした。
その首から大量の血飛沫が吹き出す。
だがその血は剣に引き込まれるように空中を舞剣に吸い込まれて行った。
冬樹が剣を死体に刺し剣に血を吸わせていると
木の影から新たな人物が出てきた。
「これはこれは予想外だ。」
その人物は手を叩きながら冬樹に近づいて言った。
「お前が追放されし女神エリスの使徒だったとは。」
「私もねリア様の為に、君を殺すことにしたんだけど、これは世界のために殺さなくちゃ行けなくなったね。」
「リア?お前誰だ。」
リアの名前を出され、先程まで興味のなかった話にピクリと反応を示した。
「私は、リア様の忠誠な側近。」
「ベルフォメットと、申します。」
「なら、魔王の所のやつか…」
「そうですね、ぜひリア様を取り戻したいのですが」
その言葉に、冬樹は剣を引き抜き
戦闘の構えに入った。
「リアは渡さねぇ、特に力を封印しやがった奴の所にはなぁ!!」
「極大魔法」
「ジオテンペスト!!!」
その一撃は轟音を轟かせ地面をえぐりとり周りの木々を吹き飛ばす程高い威力だった。
その轟音はまるで冬樹とベルフォメットの開戦の合図のようだった。