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2.2 深見の決断

深見は、金子が差し出す起爆スイッチから目が離せなかった。武沢の静かな諦観と、金子の底知れない狂気が、同時に彼の心を揺さぶる。差し迫る爆撃の刻限、そして部下たちの命。彼が下すべき決断は、あまりにも重すぎた。


「ゲームは時間切れになりそうだ」。武沢の言葉が、深見の脳裏にこだまする。この狂った戦場で、自分たちはチェスの駒に過ぎなかったのか。駒として使い捨てにされる前に、自らの手でゲームを終わらせるべきなのか。


深見の視線は、再び武沢に向けられた。彼の目には、かつて自分が信じていた「正義」が、無残にも打ち砕かれた深い悲しみが宿っている。そして、子供を抱きかかえ、命を乞うたあの男の姿が、鮮明に蘇った。この戦場では、民間人も兵士も、ただの標的にすぎない。上層部の思惑と、個人の命。その間で、深見の心は引き裂かれそうだった。


彼はゆっくりと金子の手元に伸びた。起爆スイッチの冷たい感触が、深見の指先に伝わる。この小さなボタン一つで、すべてを終わらせることができる。彼自身の良心をも。


その時、脳裏に、部下たちの顔が浮かんだ。弘道曹長、須藤、そして有里。彼らは、深見の指揮の下、この地獄のような任務を耐え抜いてきた。彼らを、このまま見殺しにすることはできない。武沢の仲間たちも、同じく、何も知らずにこの街に囚われている。


深見は、深く息を吸い込んだ。その決断は、彼自身の魂に永遠の傷を残すだろう。だが、他に道はない。


彼は、起爆スイッチを握りしめた金子を、力強く押し倒した。

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