57話 決戦始まる
最初に手合わせした時、武器の大量生成はワイズの水の速度に負け潰された。
ならば速度を上げるために武器の生成を少なくする。だがそうすると手数が足りない。
そんな弱点を露呈した。
※29話参照。
そして考えた手だては圧倒的身体能力による接近戦。
シールちゃんから受け取った今ならそれができる!
――試合開始のゴングが鳴る。
その瞬間、ワイズの水魔法による攻撃が放たれる。魔方陣の展開、魔力を送る速度、魔法を放つ瞬間……それら全てをこなすのに一秒かからない圧倒的速度。
僕はそれを、受け取った身体能力による足の速さで回避する。
「――!」
躱されると思っていなかったワイズは一瞬戸惑う。僕はその隙を逃さない。走りながら武器を生成。生み出した剣でワイズに切りかかる。
ワイズもまた水の剣を生成。
迎え撃ちにくる。
僕はそのまままっすぐ切りかか……りはしない。
急な方向転換を繰り返し、ワイズの周囲を徘徊。そのあまりの速度に観客席から声が流れる。
『分身!?』『エクスが何人にも見えますわ!』『速すぎて追えない!』『ワイズ様~!?』
その速度に、みんなは分身したかのように見えているらしい。無論分身なんてしてないよ?
超高速で動いてるだけさ。
もしワイズもそのように僕を見ているのなら……付け入る隙はある!
僕は分身が全て一斉に切りかかるように見せかけながら……ワイズに剣を振るう。
ワイズは振り向き、本物の僕の斬撃を剣で受け止めた!
……さすがだ。やはり見きってたか。
しかもそれだけじゃない……
わかってはいても、ワイズは念には念をいれていた。
分身にも水魔法で全て攻撃して射貫いていたのだ。
万が一も考えて、最良の攻撃をすることもできる……本当に末恐ろしいね彼は。
僕はまたも翻弄するように動き回っては切る。だが防がれる。
全て防がれてはいる。
でも、あのワイズが防戦一方になってるようにも見える。彼は僕の攻撃を受けるだけになってるからね。
やはり圧倒的速度による接近戦は、唯一の対抗策だったのかもしれない。
いくらワイズの魔法発動が早いとしても、接近戦による圧倒的攻撃の連打の前では、そう簡単に魔法は放てない。
いけ……
――瞬間、ワイズの指先から水のレーザーのようなものが発射された! 僕は即座に首を動かし回避!
やはり油断なんてできない!
あのレーザー、貫通力はかなりのものだ。魔力の鉄板を軽く貫くほどの貫通性能を感じた。僕の体を貫く程度容易だ。
そんな魔法を僕の攻撃を防ぎながらカウンターのように合わせてくる……一瞬たりとも油断できない!
怒涛の連撃、ワイズの水魔法の抵抗……それらがつづいていく。
観客席も静かに、息をのむように観戦してくれてることが伺えた。
これだけの速度でも、まだ一撃を加えられないなんてね……本当に恐ろしい奴だよ。こんなの初見で対応なんてできないよ普通。
その上攻撃までしてくるんだからね……
攻撃?
僕ははっとする。
奴の水魔法は回避した後どうなる?
答えはただの水となり、辺りに散らばる。
そして水たまりになる。
気づいた時にはすでにワイズの攻撃が始まっていた。
水たまりから水流が発生!
辺り一面から放出されてきた!
本来ならここで水にのまれ、距離を離されて……その後の連続魔法でノックダウンになることだろう。
でも、今の僕は前とは違う!
察したことで、僕は対抗策を放っていた。
僕もね、ただ動きまわって攻撃していたわけじゃないんだよ。
僕は動きながら見えない魔方陣をセットしていた。
それらを今発動!
魔方陣は姿をあらわし、そこから大量の武器が生成される!
武器の数々はワイズの水流から僕を守る。
「ほぅ……」
ワイズは関心した表情を見せた。
その余裕……まだつづくかな?
僕は今まで武器を大量生成した状態で君に挑めなかった。その前に水に潰されていたからね。
でも今、それがかなった!
ワイズの超速の水魔法に対抗できる手数が揃ったんだ!
――そして、僕の連続攻撃に手一杯なこの隙に、この大量の武器の一斉攻撃……果たして……
防げるかな!
「黄金幻想武具」
受けてみろ!
僕の新必殺技!
放たれた黄金の武器の一斉攻撃。
ワイズは僕の連続攻撃をいなしながら、魔法の準備……
もちろんさせないよ!
一瞬の隙も与えてなるものか!
遠隔の水たまりからの水流程度なら、この黄金幻想武具は止められない!
水流をぶち抜き、全ての武器がワイズをとらえる……
――勝てる!
全ての武器がワイズをとらえ、魔力の爆発が起きる。
周囲には煙があふれ、辺りの視界は見えなくなった……
……結果は……




