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4話  見つけた光

「エンツーてめえ、なんのつもりだ」


 主犯のオーリは、腕を掴む僕をにらみつける。邪魔するなと言いたげだね。

 僕はため息混じりに言う。


「よってたかって、一人の女の子に詰め寄るとか、情けなくないんですか?」


 余談だが、僕は他人には基本敬語で話す。

 身内や仲のいい人にだけは例外的にタメ口を聞くけどね。


 オーリはすっとんきょうな顔をする。


「はぁ? こいつは人間だぞ人間!」


 シールちゃんを指し叫んだ。

 だからなんだと言いたい気分だが、とりあえず話の続きを聞く。


「この魔王候補を、もとい幹部を養成するエリートの学園に、醜く、カスみてえな人間がいるんだぞ!? 排除しようってのは当然のこったろうがよ!」


 そうだそうだと取り巻きの連中も騒ぎだす。


 ……下手にエリート気質な奴はこれだからたちが悪い。

 自分が偉いと勘違いし、下の者を見下す……心底下らないと思う。

 

「わたしはカスじゃない! 強いんだ! 勝手に決めるなブサイク!」


 お、シールちゃんが言い返した。

 オーリはプルプル震えだす。


 どうやらブサイクは禁句だったようだな。

 まあ言ってはなんだが、オーリの見た目は確かに良くはない。

 邪悪さがにじみ出てるようなツラ構えと言えばいいだろうか。


「このゴリラ女! マジで殺す!」

「おっと」


 殴りかかろうとしたから僕は掴んでる腕を強く握る。

 するとこちらに振り向くオーリ。


「離せってんだよエンツー!」

「離したら君、彼女殺すつもりだろ。学園内で私闘、及び殺しはご法度はっとだと知らないのか?」

「知るか! んなもん親父がもみ消すからな!」


 はぁ? なんて奴だ。

 この様子だと今までも問題行動を起こし、親の理事長がもみ消してきたように感じる。


 ……とはいえ僕のほうも力づくで止める行為は私闘の範疇に入りかねない。


 だが言って引き下がるような奴ではない。


「わかったらどけ! 永遠ナンバーツー!」


 オーリは僕に拳を振るう。

 僕はそれを軽くかわし、掴んでない手をオーリの顔面に向ける。


 そして魔力を軽く放った。


 ――ボン! と、爆発音と共にオーリは吹き飛び、学食のテーブルと椅子に激突して壊した。


「がっ……て、てめえ……」


 内申点に響く行為はできればしたくない。

 でもまあ、こういう奴を野放しにする者に、魔王になる資格はないだろうからね。

 汚名をきせられる可能性もあるけど、僕はシールちゃんを助ける側にまわるよ。


「このやろう! 二番の癖によ!」

「二番ですまない。ところで君は一番でしたっけ?」

「うるせえ!」


 オーリは周囲に大きな火の玉を精製する。辺りは熱気に包まれる。

 あらあら、机とか椅子溶けてる……ちゃんと弁償してあげてね。


「知ってんだせエンツー、てめえの魔力属性は金だってな」


 魔力にはそれぞれ属性がある。

 基本五大属性と特質三大属性。

 僕は基本の金。木の属性に強く火の属性に弱い。


 ……要するに奴はこう言いたいんだろうね。

『おれは火だ。てめえの金に相性で有利だ』ってね。


 普通に考えれば確かに不利。


 僕は右手を軽く振るう。

 ――刹那せつな。黄金に輝く数々の武器が精製され、僕の目の前に現れる。

 剣、槍、斧、銃、鞭、鎌、などなど。


「はっ。なんだそんなもん! 全部焼き尽くしてやんよ!」


 オーリが炎を射出する前に、僕は出した武器の一部を飛ばす。


 銃の弾丸が前方の炎を消しとばし、武器の移動経路を作ったあと、鞭を奴の前方に飛ばし、体を縛りつける。


「ぬわっ!?」


 そうして身動きを封じ……


 剣を飛ばす。


「や、やめっ!」


 勢い良く飛んでいく剣。狙いは奴の首。そのまま行けば首を突き刺し、絶命させることだろう。

 

 この武器は魔力で作られたもの。僕の強力な魔力が備わってるわけだ。つまり、魔族にも有効な一撃……


 だが、剣の切っ先がオーリの首すじわずか数ミリで止まる。


 いや止めたんだ。


 こんなことで殺すわけないでしょ。


 オーリは冷や汗をどっとかいて、膝から崩れ落ちるように地べたに倒れ込んだ。


「勝負あり、だね」



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