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永遠ナンバーツー!!  作者: メガゴールド
学園に潜む影
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46話  ワイズの胸中

 ある時、シールちゃんはワイズに尋ねた。


「お兄ちゃんはなんであたしの味方でいてくれるの?」


 素朴な疑問だった。

 もちろんとても感謝はしているだろう。でも世間一般では、魔族は人を嫌っている。差別意識の多い者のほうが多い。

 

 むしろその差別意識が全くないワイズのほうが、珍しいまであるだろうからね。


「特にこのお家の人たちってみんなそうじゃん。メイドさん達ですらあたしを気味悪がってるしぃ」

「簡単だよ。妹だからさ」


 ワイズは軽く微笑みかけたという。


「わたしはそもそも争いが嫌いだ。差別というのも、誰かを傷つけ争いの種になるもの。だからそんなものもちたくないんだ」


 それを聞かされた僕も同意見だった。

 差別するものされるもの。そんな関係を続ける限り、いつか火種になるかもしれない。

 人間は弱いから争いになっても魔族が勝つだろう。でも、一方的な虐殺だって争いの結果だ。

 ワイズは戦争も虐殺も嫌なんだ。だから差別意識なんてものは下らないと思ってるんだろう。


 それにワイズは跡取りゆえの学もある。人間に呪いだなんだと暴言吐いた他の兄妹達と違い、そんなものはないと思える知識がある。そこも大きいのだと思う。


「でもねシール。最初は君のことをあまり気に止めてはいなかったんだ」

「そうなのぉ?」

「うん。勝手に出てった母が連れてきた子だったし」


 他の兄妹は幼いゆえに、母であるティーチィさんがいなくなってた時間をあまり覚えてはいなかったらしい。物心ついた時に母がいなかった子もいるだろうし。


 でも長兄のワイズは違う。ティーチィさんが突然いなくなったことをよく覚えていた。


 彼にとってティーチィさんは、夫達だけでなく、ワイズという子どもを捨て、他の人の元に走ったようにしか見えなかった事だろう。


「最初は母も旅行気分だったんだと思う。だけど愛する人を見つけたとはいえ、旦那と子どもがいるのに帰らない選択したわけだからね」

「……」

「まあ父上はあんなだし、愛想尽きるのもおかしな話ではないよ。でもわたしと他の兄妹達もいたんだ。愛されてなかったんじゃと邪推するよね」

「そんなことないよぉ!」

「……かもね。実際に下の兄妹達は母が亡くなった時みんな泣いてたし、帰ってきてからは可愛がってもらえたのかもね」


 ティーチィさんが死んだのはシールちゃんのせいだなどと他の兄妹が言ってたらしいし、慕われてたのは間違いないんだろうね。

 一時的にほったらかしにされてたのは事実だけど。


「わたしは他の兄妹達のように、素直になれなかった。母が家に連れ戻された時、僕は他国に留学していた。その際、母は何通も手紙を送ってきた。ろくに見もしなかったけどね」

「悪いのは母様だしぃ」

「わたしも今さら何の用だと思ってた。わたしが優秀だから今になって母親(づら)してきたんだと勘違いもしてた」


 愛されてないと……思ってたんだろうねワイズは。

 僕は母様に愛されてると思ってたけど、そうではなかった。でもワイズはその逆だったのかも……


「あまりにもしつこく送ってきたからわたしは一度、怒りの手紙を返した。すると母は反応があった事を喜んでいたようだった。そして謝罪をひたすら書いていた」

「お兄ちゃん達置いてったこと、後悔してたのかな?」

「多分ね。家に戻ればシールとその父、二人と離ればなれになると、わかってたからできなかったのだろうけど」


 やはり、ワイズは愛されてたんだね。僕とは違って……


「会いたいという母に、わたしは素直になれなかった。そして……亡くなった」

「それで家に戻ってきたんだよね」

「うん。すると兄妹達は泣きじゃくってた。嫌ってたのはわたしだけだったんだと察した。愚かだと思ったよ」

「そんなこと……」

「そして、シールと出会った」

「――!」

「母の忘れ形見、母への謝罪の念もあり、君に優しくしたんだと思うよ。()()()()


 それがワイズが最初からシールちゃんに優しかった理由……自責の念……


「んーん。そんな理由なくてもお兄ちゃんはあたしを助けてくれたと思う」


 そう言われるとワイズは少し驚いた表情を見せたという。

 そしてシールちゃんは笑顔で言う。


「お兄ちゃん……好き! 結婚して!」

「はは……ありがとう」


 そんな二人の絆のお話だった。



――――――――――――――――――――


 そして現在に戻る。

 

「そんな優しくて、大好きなお兄ちゃんを殺そうとするなんて! 理事長ぶっ飛ばしたい! 手伝ってね!」


 拳を震わせるシールちゃん。

 人質さえどうにかできれば、僕としてもそうしたいところだ。


 ……話が終わると、僕たちは理事長の屋敷の前にたどり着いていた。



 


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