表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠ナンバーツー!!  作者: メガゴールド
学園に潜む影
46/61

45話  ワイズの努力

『大きく出たなあワイズ!』


 魔王になると宣言したワイズの前に、婿、もとい父と当主の祖父が現れた。

 父は言う。


『現魔王陛下は病に苦しんでるという。いずれ次期魔王を決める選定がおこなわれる可能性はある』

『……』

『だがな、魔王になりたい者などいくらでもいる。現幹部たるゼット殿を筆頭にな』

『あの嫌な雰囲気の人か……』


 ワイズはこの時点でゼット理事長を信用していなかったらしい。

 幼いながら看破する力は優れてたんだろうね。


『お前は確かに優秀だ。でも魔王はトップでなくてはならない。ただ優秀ではなれないんだよ』

『なら、なりますよ。シールのために、家族のために』


 そう言うワイズに灰皿を投げつける父。だが、ワイズは泡のようなものを飛ばし、灰皿が自らに当たることを防ぐ。


『自分のためや他の理由ならいざ知らず、そんな人間のためにだと!? 汚らわしいゴミのためだと?』

『ゴミじゃない。シールです。わたしの大事な妹です』

『貴様……』


『まあ待たんか』


 当主の祖父が間に入る。


『ワシも人間は好かん。その上娘も亡くなった事から、そこの人間を疎ましく思っとる』

『そこの人間じゃないです。あなたの孫ですよ』


 当主にすら意見するワイズ。彼自身幼いながら、父と祖父によほど思うところがあったのだろう。


 祖父は話を続ける。


『だがなワイズ。お前がデュラミス家始まって以来の魔王になるというのなら……ワシとしては言うことはない』

『お義父様!?』

『茨の道だろうが進んでみろ。どうなるか……楽しませてもらうぞ』


 他の子供達を見る当主。


『と、言うことらしい。ワイズが魔王になりさえすれば、お前達も人間を家族として認めてやりなさい』


 ざわつく他の兄妹や親戚の子供一同。バカにするものはいなかった。

 子ども達の中でも、ワイズは天才と有名だったし、ワイズ自身は尊敬する兄だった。

 

 家の教育に、親や当主に言い聞かせられてきた。人間は汚らわしい存在だと。

 それなのにシールを甘やかすワイズ。彼ら彼女らは嫉妬心もあったのだ。大好きな兄がシールにべったりだったから。


 そんな大好きな尊敬する兄がそこまでの覚悟を持つのなら……魔王になるというのなら……子ども達もまた、何も言えなくなった。


 それを見て、改めてワイズは魔王になると決心したという。




 ♢



 その後、婿殿ことワイズの父は後妻をめとる。さらに子どもも生まれ、シールちゃんにとっては血の繋がらない両親と、弟と妹ができた。


 当然ながら後妻、さらに弟と妹すらシールちゃんを冷遇した。

 結局味方はワイズだけだった。


 でも当のシールちゃんは少しずつ明るくなってきていた。長兄かつ慕われてるワイズが味方なため、執拗ないじめなどはされなかったからだ。


 ――そして、


『よーっし! いっけえ!』


 亡くなった母、ティーチィさんがよく見せてくれていたヒーロー番組を、かぶりつくように見て、はまりだしたのもこの頃からだったらしい。


 自分を助けてくれたワイズとヒーローが重なり、ヒーローにシールちゃんは憧れを持つようになったのだ。

 大好きな母が残してくれた物だということもあり、シールちゃんにとってヒーローは自分を救ってくれたものでもあったんだ。

 だからこそ、シールちゃんはヒーローになりたいと思うようになっていた。


 この日シールちゃんは部屋に引きこもり、ヒーロー番組を見ていた。隣にはワイズも一緒。


『ね、お兄ちゃん! すごかったね! 今のシーン!』

『そうだね。特にみんなを助けたところとか……』

『あれ? お兄ちゃん番組見ながら何か描いてた?』


 ワイズの手に筆が握られていた事に気づく。


『あ、ちょ、ちょっとした趣味をね……』


 ワイズは後ろに何かを隠していた。シールちゃんはそれを取り上げると……

 そこにはヒーロー番組を見て楽しむシールちゃんが描かれていたらしい。


『わ、わ! あたしだぁ!』

『ごめんね勝手に描いて……』

『そんなことないよぉ! とっても上手! 絵を描くの好きなの?』

『ん、ま、まあね……』


 ワイズは争い事よりも、絵を描くのが好きだったらしい。

 次期当主と言われてるが、本人は画家なり絵に関する仕事につきたいと思っていたんだとか。


 ワイズは魔王になりたいわけではないと、シールちゃんは察した。


 じゃあ何故魔王になろうとしてる? 自分のせいじゃないかと、シールちゃんは思ったという。


 ワイズにはずっと穏やかに絵を描いていてほしい。誰よりも愛する兄の幸せをシールちゃんは願った。


 ヒーロー番組を再び見る。ヒーローならこんなときどうするか。

 そこでシールちゃんは決心した。

 自分が魔王になれば、自分が強くなれば、ワイズの負担はなくなる。魔王にならなくてもいい。


 ……だからシールちゃんは……夢幻学園に入学したのだという。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ