44話 デュラミス家の過去
シールちゃんは、自らの過去を語ってくれた。
事の内容は、僕が代弁させてもらう。
シールちゃんは魔族と人の間に生まれた混血。それは学園でも周知の事実。
彼女の人であるゆえの、学園での扱いの悪さ……それはデュラミス家でも同じだったという。
デュラミス家には両親と兄妹だけでなく、親戚も多く住んでいたらしい。
……シールちゃんはそんな身内から常に冷遇されてきていたのだという。
幼い時から、彼女の味方はごくわずかしかいなかった。
その事を過去を踏まえて話始めてくれた……
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デュラミス家の当主はシールちゃんの祖父にあたる人物。
祖父は子供に長いこと恵まれなかったという。
そして、ついに生まれた一人の子供は女の子だった。
それがシールちゃんの母、ティーチィさんだったという。
女の子でも当主にするのは問題はなかった。だが、婿となる者には相応の人物をたてようと祖父は考えていたらしい。
そしてティーチィさんはその選ばれた方と結婚。その方との間に何人か子供をもうけるも……
ティーチィさんは突然家出。祖父は唯一の子供ゆえに、必死で探し回ったらしい。
そしてティーチィさんは見つかった。
人間界で。
その上ティーチィさんは人との間に子供を授かっていた。それが……シールちゃん。
ティーチィさんは家のためとはいえ、婿となった方を愛せなかったらしい。
何もかもに嫌気がさし、昔から興味のあったという人間界に旅行気分で向かった。
そこである人物に出会った。
ティーチィさんは種族の違う人間に恋をしたという。
そして人間界で暮らすことを決意した。その愛した男性と共に。
だが、デュラミス家に発見され、シールちゃん共々連れ戻された……
人間界で過ごしてた時間はごくわずか。でもシールちゃんはその時がとても幸せだったと記憶していたらしい。
シールちゃんは人間の血を持つ。それゆえに、家の者からゴミのように見られていたという。
祖父ですら。
勝手に連れ戻したというのに、シールちゃんを冷遇した祖父は頭おかしいと思う。娘が可愛かっただけなんだろうね。
他の兄妹や親戚はこぞってシールちゃんをいじめたらしい。そして完全に心を閉ざしてしまった。
信頼できるのは母のティーチィさんだけ。
だが、すぐにティーチィさんは病に倒れ亡くなった。
シールちゃんの味方はいなくなってしまったのだ。
そんな時……英才教育を受けるため、他国に勉強に行っていた兄、ワイズが帰ってきたという。母の死を知って。
ワイズは葬式で初めてシールちゃんと対面した。それと同時に家族からいじめられてる事も知る。
ワイズはシールちゃんと会うと手を差し出したという。
『はじめまして。ワイズです。君のお兄さんだよ。よろしくねシール』
笑顔で微笑みかけるワイズに、亡くなった母の面影を感じたシールちゃん。
それからは常にワイズはシールちゃんの隣にいてくれたらしい。
『ワイズ兄ぃ! 何でそんな汚らわしい奴庇うんだ!』
『そうよそうよ! デュラミス家の恥なのよ!』
他の兄妹や親戚一同に非難されようが、ワイズは……
『シールはわたし達の家族じゃないか。みんな、仲良くしようよ』
そんな兄妹達を説得しようとしていた。
『ふざけるな! そんな奴生んだからお母様は亡くなったんだ!』
『そうよ人間なんて汚らわしい奴を生んだから呪われたのよ!』
自分を生んだから母は死んだのかと、シールちゃんはこの時思ったという。
『そんな事実はない。人の血に呪いなんてない。わたしは調べた』
ワイズは、大事な妹であるシールちゃんを守るため、人間に害があるのかどうかなど、人間について詳しく調べたらしい。
全ては差別意識をなくし、シールちゃんが家族みんなと仲良くできるようにするために。
ワイズにとって、シールちゃんだけでなく、他の家族も大事だった。
――だから、みんなに仲良くなってほしかったのだという。
『そんなの信じられるもんか! ワイズ兄ぃは嘘ついてる! 人間は呪われてるんだ! だからお母様は!』
『嘘なんかじゃない。調べたんだ』
『信用できるか! 偉大なる魔王様の言葉でもない限り、そんなでたらめ信じられない!』
それを聞いたワイズは……意を決するように言う。
『じゃあ、わたしは魔王になる。人間にそんなものないと証明する。シールは汚らわしくなんてない。わたしの大事な妹と証明するために』
それを聞いたシールは……嬉しさのあまり泣きじゃくり、ワイズに抱きついたという。
それからシールちゃんにとって、ワイズは誰よりも愛する存在になったらしい。




