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永遠ナンバーツー!!  作者: メガゴールド
エクスの過去
33/61

32話  シールの答え

――――――――――――――――――――


「……とまあ、僕の過去はこんな感じで、」

「ズズ……」

「家族のため、いや、」

「ズズズ……」

「結局は自分のために魔王になろうとしてるだけなんだ」

「ズズズズ……!」


 ……隣でユーノさんが鼻水すする音が鳴り響いている。

 ちらりと見ると……大量の涙を流してくしゃくしゃになってるユーノさんが見えた。

 

 か、感動してくれていたのか?


 ま、まあいい。話を続けよう。


「ワイズとは違い、誰かに愛されたいがため、情けない理由だよね。失望させちゃ」

「な、何を言うんですの!」


 ユーノさんがテーブルを強く叩く。


「失望だなんてそんな! む、むしろわたくしは、その……」


 モジモジしだすユーノさん。

 とりあえず涙を拭いてもらおう。

 僕はハンカチを渡す。


「どうぞ、鼻かんでもよいので」

「な、何を! わたくしは泣いてもないし! 鼻なんてたらしてませんわ! わ、笑いながら聞いてたんですからね!」

「そうですね。じゃあその顔についた水拭いてください」

「あ、あらあ? 誰かに水かけられたみたいですわね!」


 そう強がりを言うと、ユーノさんは僕のハンカチを受け取り涙を拭いて……


 チーンと、大きな音をたてて鼻水を出しきる。


 グチョグチョになったハンカチを見て、少し申し訳なさそうにするユーノさん。


「す、すみません。ハンカチ、洗って返しますわ」

「いえ、差し上げますよ」

「そんな! そういうわけには……と、ところでこれってエクスだけが使ってる私物ですの?」

「ええまあ」

「そ、そう……ぐ、グヘ。グヘへ」


 ……急に笑い出してどうしました?


 ――って、問題はシールちゃんだ。彼女がどう思ったのか……



 ――?


「グーグー……」


 ……鼻提灯はなちょうちん膨らませながら、シールちゃんは寝入っていた。


「あ、れ? 終わった? 話長かったから……」


 かわいく目をこする。

 ……あまり目をこすっちゃダメだよ。


「小娘! エクスの話聞いてなかったんですの!? 許せませんわ!」

「いや聞いてたよ~お母さんから酷いこと言われたとか、お兄ちゃんに負けたとことか」


 重要な部分は聞いててくれたならよかったが……

 この様子だとイマイチ心をつかめてなさそうだな……


「あたしもさぁ~家では居場所なかったからわかるよ」


 そうだ、シールちゃんは魔力もなく、人間の血を引いていて冷遇されてるんだよな。僕と似てるところはある。

 僕も魔力がろくになかったら……扱いは酷かったかもしれない。

 愛こそなくても、いじめなどは受けてはいなかったからね……


 でもシールちゃんは違う。

 もしかしたら、シールちゃんの方が酷い過去があるかもしれない……


「お兄ちゃん以外はあたしの事ぉ、ゴミみたいに扱う連中ばかりだったし。メイドとかですらね」

「……嫌な事思い出させたならごめん」

「あ、責めてるわけじゃないよぉ? ただ、あたしとしては自分の事みたいに思えて逆にかわいそうとかは思わなかっただけ」

「――?」

「あたしは自分をかわいそうとは思わないから。お兄ちゃんがいたし、この逆境を跳ね返し、あたしは正義のヒーローになってやるって思ってるから!」


 ……すごいなシールちゃんは。

 彼女は僕より恵まれない中、へこたれず、頑張ってきたわけか……

 この強い精神力も、彼女の魅力なのかもしれない。


「そして、お兄ちゃんにいつまでもおんぶにだっこじゃいられないとは思ってたのぉ。お兄ちゃんに、あたしのカッコいいところ見てほしい」

「……じゃあもしかして……」

「うん。相棒として、あたしと組んでくれる? エクスさん」


 ……彼女は僕の唯一の希望。

 シールちゃんと共に戦えれば……あきらめそうになっていた、ナンバーワンを目指せるかもしれない。だから僕は彼女にこだわった。

 

 ……なに泣きそうになってる。

 これでもまだワイズに勝てるとは限らないんだ。これからなんだからな。


「ありがとうシールちゃん。これからよろしく」


 僕はシールちゃんに手を差し出し、握手する。

 彼女はニコニコ笑顔を見せてくれた。僕もつられて少し微笑んだ。


 ……隣では自分の扇子に噛みついてるユーノさんがいた。


「キイイイ小娘小娘小娘小娘!」


 今日この日、僕とシールちゃんの最強コンビが結成された。

 ワイズに勝つための希望を僕は手に入れたんだ。




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