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永遠ナンバーツー!!  作者: メガゴールド
エクスの過去
31/61

30話  完膚なきまでの敗北

「まあ雨も酷くなってきたしなあ。よしお前ら、校内に入るぞ~」


 教師の指示に従い、生徒達は続々と校舎に向かっていく。


「ワイズ様~」「素敵でした~」


 ワイズの取り巻きが彼を囲いキャアキャア言っている。

 ワイズは軽く礼を言ったあと、僕をチラリと見る。


「面白い能力だったよエクスくん。少なくとも、今まで戦った誰よりも強かった。また挑戦待ってる。これはお世辞なんかじゃない。本心だから」


 そう告げた後、ワイズは取り巻きと共に去っていった。


 同情でも、バカにされてても、本心でも……僕の敗北感はぬぐえない。

 

 僕には自信があった。魔王になる自信が。


 天才と言われ続けてきたから。

 天才だから、ギリギリ家の者達にも最低限の愛をもらってたから。

 だから、魔王になれると……思ってた。

 みんなが期待してくれる力があると、間接的に教えてもらっていたから。


 でも負けた。

 わずかな差とかじゃない。絶対的差だ。


 100%勝てない、次元の違う圧倒的な差。

 

 実力ですら一番になれない僕は……誰にも愛されないんじゃないか?

 僕は恐怖で震えていた。


 一人雨の中……


 いや、他にも一人残ってた人がいた。


「見事な負けっぷりでしたわね。エクス・リコード?」


 この声に聞き覚えがあった。振り返らなくてもわかる。前回僕を救う言葉をくれたユーノさんだ。


 とはいえこの時点では彼女と初対面。あの時は会話したわけではなかったから。

 そうか、彼女も試合を見ていたのかと納得した。


「あなた、わたくしより成績上なのですわよ? それであんな様、許せませんわね」

「……」

「ちょっと、聞いてらっしゃるの?」

「……すいません」


 僕はゆっくりと振り向く。

 

 ――するとユーノさんは……


「かわいい顔……」


 かわいい? 男の僕を侮辱してるのか? そうこの時思った。

 そしてこの時僕は恥ずかしい事に……


 涙を流していた。


「え、な、泣いてらっしゃるの? え、い、言いすぎました!?」

「あ、いや……あ、雨でそう見える……だけですよ」


 そう、僕はとぼけた。

 すると、ユーノさんがこちらを見てボーッと見てる。

 どことなく顔が赤いような……


 熱でも出たか? この雨だし。


「泣き顔……かわいいですわね……い、いじめたい……」

「え?」


 聞き間違いか? なんか変な事呟いてなかったか?


「ふ、フフフ! え、エクス・リコード! 今度はわたくしがあなたに試合を申し込みますわ!」

「え? ああ……あのやられっぷり見て、容易に倒せると思ったとか?」

「いえそうではなく、その、あの、ぐ、グフフ」


 え、なに怖いんだけど。

 笑いを我慢しようとしてるのかなんなのかわからないが……


 恍惚として、ニヤニヤしてる……

 え、お嬢様とは思えない、少し下品な笑顔見せてますが……


「ご、後日、よろしくて!?」

「……いいですよ」


 僕は彼女の一言に救われたし、それくらいお安い御用だ。

 

 それに、僕は完全に魔王になるのをあきらめたわけではない。

 実戦で学べば実力を高める事もできるかもしれないしね。


 あれだけやられた癖にまだ挑む余裕があるのかと、思われるかもしれない。

 でも、僕の存在価値はそれしかない。

 僕はワイズが魔王になるその日までは、魔王になるのを諦めるわけにはいかない。


 兄のため、母のため、自分のために……





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