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永遠ナンバーツー!!  作者: メガゴールド
エクスの過去
30/61

29話  VSワイズ

「よろしく頼むよ」

「……はい」


 ワイズと僕は軽く握手をしてから、距離をとる。


 教師の合図が出た瞬間、手合わせが始まる……


 相手は水の使い手ということはわかっていた。

 水……相性でいえば別に良くも悪くもない。

 逆をいえば、相性で言い訳ができないわけだ。


 水属性と戦った経験はない。

 

 水というと、防御に優れてるイメージ。こちらが攻めて攻めて攻めまくり突破口をこじ開ければいい。

 ……などと僕は考えていた。


「二人とも、始めろ!」


 教師の一声が出た瞬間、僕は先手必勝。魔法陣から武器を精製……


「遅い」


 一瞬で魔法陣から召還した武器の類いが、ワイズの放たれた水流に飲まれ、圧力で潰された。


 その上……

 

 僕の首筋に、水の刃が突きつけられていた。


「勝負ありかな?」


「「きゃああ!」」「「ワイズ様素敵!」」


 女子生徒達の黄色い声援が響き渡る。しかし、この時の僕はその声援が耳に入っていなかった。

 それだけショックだったんだ。手も足も出なかったことが。


 そんな僕を見てにやつく教師は一言。


「エクス・リコード。もう一度やるか?」


 この時僕はもう一度戦うチャンスをもらえた事に喜び、頷いた。

 今度はさっきのようにはいかないと思ったから。


 今にして思えば、教師は自分の敗北の恥を、みんなから消すために、僕に何度も挑戦させたのだと思う。

 これから何度も負ける事になる、僕のほうがみんなの記憶に残るからだ。


 その後の試合……


 次は召還速度を早めるために、僕は武器の数を減らした。

 大量精製よりも、単体召還のほうが速度が早いからだ。


 そして僕は少ない武器を飛ばして攻撃。

 しかし、手数が少ないため、奴の水であっさりと弾き飛ばされる。


 手数を増やすのは、奴の攻撃速度に反応できず潰される。手数を減らせば奴の防御を貫けない……


 ならば接近戦……

 だがそれはダメだった。

 

 僕の唯一にして最大の弱点、それは身体能力は並み以下ということだ。

 剣に魔力を集中し接近戦を仕掛けても、並みの身体能力では……


 ()()()()()()()()()()()()()()……


 ワイズは水の弾丸を放ってきた。

 僕は盾を精製し、防ぐ……


 通用しないのに、ワイズは何発も何発も水の弾丸を放つ。


 辺りは水びたしになり、水たまりが周囲に……


 それが奴の狙いだった。


「チェックメイト」


 辺りの水たまりから水流が放たれる。

 水たまりは僕の周囲に大量にある。つまり、全方向から水流が襲ってきたのだ。


 防げるはずもない……


 僕は水に飲まれ敗北。


「まだやるだろ? エクス・リコード」


 教師にのせられ、僕は何度も何度も挑んだ。

 何故か?

 僕には強さしかないから。高い魔力しかないから。


 強くない僕はリコード家に必要ない。魔王になれない僕は必要ない。


 ()()()()()()()()()()()()()……


「ダッセエ。あいつ何回負けるんだよ」


 周囲の生徒達の雑音が聞こえてくる。


「笑えてくるなあいつ!」

「なんでも全部二位だったらしいぜ成績!」

「マジかよ! つまりこんだけワイズに負けるのもその証拠か!」

「永遠の二番手だな!」

「ははは! ()()()()()()()()ってか!」

「略してエンツーだな!」


 僕は……精神的にも、身体的にも疲弊してきていた。


 その後、僕の精神状態をあらわすかのように、冷たい雨が降ってくる。


「もうやめておいたほうがいい」


 ワイズの発言。僕はバカにされたと思った。


「な、なめるな……僕は、まだ……」

「雨は私の完全なる味方。万が一にも敗北はありえない」

「ふざけ!」


 ワイズは魔力を振るうと、上空から水の矢や槍が目の前に落下してくる。

 恐怖でつい、僕は尻もちをつく。


「水たまりすら僕は操った。雨が降ればどうなるか、賢い君ならわかるだろ?」


 ……勝てない。僕は敗北を認めるしかなかった……


「おいおい()()()()。もうあきらめるのか~情けない奴だなあ~」


 教師はニヤニヤしながら僕をバカにしてきた。

 この時やっと僕は教師の意図に気づいた。

 周りの生徒達は僕を指差して笑っていた。

 二番だのエンツーだのと言いながら……


「うるさい」


 ワイズが小さく言い放つと、生徒達の暴言は止まった。


「エクスくん。ここまでにしよう。私は少し疲れた」


 嘘だ。僕がこれ以上恥をかかせないように、ワイズはそんな事を言ったんだ。


 僕は頷いた。

 情けない事に……僕の心は折れていたから……


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