27話 出会い
二番。
聞きたくない言葉だった。
僕はその一番が気になった。何者なのかと。
名家たるリコード家で最強の僕より上の存在……にわかには信じられなかった。
僕はその一位だった奴を調べる事にした。
『わ、わたくしが三位ですってえ!?』
かん高い声が周囲に響いた。
振り返ると、そこには金髪縦ロールの、典型的お嬢様みたいな女性が怒り狂っていた。
魔法の学校の生徒とは思えないような、キラキラのドレスを着飾っており、ここは舞踏会場だったかと勘違いしそうになる。
……まあ、気づかれただろうけど、叫んでるのはもちろん彼女、ユーノ・リリスさんだ。
彼女ともこの日初対面だったんだよね。
「お嬢様お、おちついて!」
お付きの女性がユーノさんをなだめると、
「うるさいですわ婆や!」
「お嬢様! あたくしは婆やなんて年齢ではありません!」
「お付きの者の呼び名はじいやと婆やでしょう?」
「違います!」
婆やと呼ばれてた人、確かに大人ではあるが、年配の方ではない。多分僕の母くらいだと思う。
「化け物のワイズ・デュラミスだけならともかく、まだわたくしの上に誰かがいるなんて……」
この時、ワイズの名を僕は初めて知った。ユーノさんは大声で三位と叫んでたからね。僕が二位な以上、必然的にナンバーワンの名を知れたわけだ。
「なになに……二位はエクス・リコード」
「リコード!?」
ユーノさんが僕の名をつぶやいた時、お付きの方は驚いた表情を見せた。
「お嬢様、そいつにだけは負けないでくださいまし」
「どうしたのいきなり。負けるつもりはないですけども」
「リコード家に嫁いだ友達がいまして……」
それを聞いたとき、当時僕は驚いた。嫁いだ友達というのはおそらく母のエヌエットの事だと思ったからだ。
「彼女、自分の子供を跡継ぎにするという条件で結婚したのに、旦那にその約束を反故にされたんです」
「……それで?」
「そのエクスとは、友人の子供じゃないんです。側室の子で……」
「だから?」
「友人の気持ちを思うと、エクスが憎いんです。なに不自由なく、跡継ぎとして育てられたのだろうし……友人とその子供がかわいそう……」
この人もまた、僕を否定していた。別に何不自由なく育てられたわけではないのにね。
優秀だから認められてただけで、誰にも愛されてなかったからね。ただの跡継ぎってだけだ。
……みんなが僕を愛してくれるというのなら、跡継ぎなんてくれてあげてもいいくらいだよ。
「友人はエクスを憎んでたはずです。気持ち、本当によくわかります。彼女は優しかったから、エクスになにか言ったりはしなかったでしょうけどね」
まあ、兄の病さえなければ、あんなこと言われなかっただろう。
「だから言ってやりたいですよ。お前は母に愛されてなんかない! ざまあみろ! ってね!」
……わかってるんですよそんなこと……
そう、僕は聞き耳たてて心が傷ついていた。
――パァン!
なにかが叩かれる音が響く。
ユーノさんが、女性をひっぱたいたのだ。
「お、お嬢様……?」
「ろくに知りもしない相手に、よくもまあそんな暴言吐こうなんて思いますわね? 最低ですわ」
「え、で、でも」
「でもも、だってもないですわ。親に愛されてないだなんて、そんな事、わたくしの目の黒い内は言わせませんわ」
この時から、僕は彼女に対し好感をもっていたんだと思う。
だから今、この過去を彼女にも話してるんだろうね。
彼女の言葉にこの時……確かに救われたから。




