表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠ナンバーツー!!  作者: メガゴールド
エクスの過去
27/61

26話  魔王になる理由

 母はそう叫んだ後、すぐにはっとしていた。

 言いすぎたと思ってくれたんだと思う。優しい人だから。


 ずっと隠してくれてたんだ母は。

 一番大事な兄と、愛してない僕への扱いを同じように見せて……

 だから僕は同じくらい愛されてると勘違いしてた。


 滑稽だよね。


 母にすら愛されてない僕は、一体誰に愛されてるというのか……

 幼いながら僕はそう悩んだ。


『病気になったのがオレでよかったよ』


 兄さんは咳き込みながら僕に言った。母さんが僕に言った事を知ってたのかはわからないが、僕と二人の時にそう言ってくれた。


『お前はリコード家の大事な跡取り! オレとは大事さが違うんだからさ!』


 僕はそう思えなかった。

 むしろ僕の価値はそれしかないのではないか? そう思っていたから。


 人となりを評価されてる兄と違い、跡取りとしての血、能力の高さ。僕の価値はそれだけ。


 そう考えると怖くなった。


 落ちぶれたとき、僕の周りには誰もいなくなるんじゃないかと。


 母さんに至っては、本当は兄さんに跡を継いでもらいたかったんだろうと今なら思う。

 大事な息子の立場を奪う僕は、母さんにとっては敵なんだ。だから僕の事が嫌いなんだ。愛せないんだと。


 兄さんだって、嫉妬心あってもおかしくない。僕の存在が兄さんの全てを奪ったとも言えるし……


 でも、僕は家督を譲るわけにはいかなかった。

 だって僕の価値はそれしかないから。優秀な事しか価値はないから。


 天才じゃない僕に、価値はないから。


 


 ♢




 その後、僕はある話を耳にした。

 魔王の座についたものには、ある絶大な魔法を会得することができると。


 絶大な魔法。それだけでは抽象的でピンとこない。

 

 ただその話を聞いた病状に伏してる兄さんは一言……


『それでオレの病治ったりしてな』


 一生病に苦しみ、いつ死ぬかもわからない兄さんにとって、藁にもすがる希望になるかもしれない。僕はそう思った。


 兄さんは冗談半分で言ったと思う。

 でも、魔王の魔法……

 それは常識の範疇を越えるもののはず……


 どちらにせよ、魔王になって家を大きくし、兄さんの治療をもっと良いものにするつもりではあったんだ。


 その魔法の事も含め、魔王の座を求める理由ができた。


 そう。僕は兄さんのために魔王になることを決意したんだ。

 それなら母さんも僕を息子として認めてくれるかもしれない。

 みんなが僕を好きになってくれるかもしれない。


 まあつまり、結局は自分のためなんだけどね。


 失望するかい?


 


 ♢



 

 それから数年後……

 理由はどうあれ、僕は魔王になることを望んだ。

 家の者達はこぞって応援した。お前ならできるだとか言ってね。


 まあ、リコード家始まって以来の天才と言われてたからね。期待はされてた。


 兄さんには特に励まされた。


『エクス! 頑張れよ……兄ちゃん、影ながら応援してるからな!』


 そして母とはあれ以来気まずい関係となっていた。でも、夢幻学園入学の時には少し声をかけてもらった。


『え、エクス。身体には……気をつけてね』


 僕は頷く事しかできなかった。


 もう母をトラウマのように感じていたからかもしれない。


 昔のようには……戻れなかった。



 そして夢幻学園に僕は入学した。自信はあった。

 入学前から僕は魔法の教育は受けており、家の誰よりも強かった。当主の父よりもだ。


 だから入学試験もトップ通過間違いなし。そう、思ってた。


 僕の魔力や魔法の制度を記録した試験官は僕に言いはなった。


『素晴らしいよ君! 新入生で二番目の好成績だ!』


 ……二番目の?


 僕にはその言葉が信じられなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ