24話 リコード家の秘密
「なんと、なんとお礼を言ってよいか……」
「ええ~そんなに大金くださるんですかぁ~」
「へ?」
「そうだよねぇ~あいつらほっておいたら被害すごかったろうしねぇ~」
「うぐっ」
こらシールちゃん。弱みに付け入るような事言っちゃダメだよ。
「村長さん、この子の言うことはお気になさらず。依頼料はすでに学園に振り込まれてるようですし」
「ほっ。ありがとうございます」
村長さんはほっと胸をなでおろす。
学園にくる依頼の代金は学園の資金になるだけで、僕らがもらえるのは内申点と学園内通貨だけなんだからね。
たかるような事はダメだよ。
「それにしても学園ナンバーワンのワイズ殿が来てくださるとは……」
村長と村人達の視線は次期魔王、ワイズに集まる。
「いえ。私はほんの少し手を貸しただけで……」
「またまたご謙遜を!」「サインください!」「将来雇ってください!」「結婚してください!」「投げキッスしてください!」
特に女性に囲まれだすワイズ。
まあ、こうなるか。学園の外でも人気者だしね。
「ねえ兄ちゃん」
ん? 僕? 一人の鼻水垂らした幼い子供が話しかけてきた。
僕はティッシュで子供の鼻を拭いてあげながら問う。
「なんです?」
「兄ちゃんって、永遠ナンバーツー?」
……つい、ずっこけそうになったよ。
不名誉なあだ名は村にも……
「なんじゃと! ナンバーワンと永遠ナンバーツーが揃い踏みだったとは!」
あのですね村長、永遠つけないで永遠。
♢
その後、夜も更けてきたので僕達は村長のご厚意に甘え、泊まらせてもらうことになった。
「きったねえ布団ですわね。わたくしにこんな布団をかけて寝ろと?」
……ユーノさん、我慢してください。というか汚くないですよ。
村の宿で最高のおもてなしと、みんな別々の部屋を用意してもらったのだから、あまり文句はつけないであげて……
まあ、僕たちは大貴族だから、これでも不満に思うのは仕方ないといえば仕方ないんだけど……
特にユーノさんは学園にも私物持ち込んで、優雅に暮らしてるらしいし。
まだ寝るには早い時間なため、僕たちは集まってコーヒーを頂いていた。
ワイズは夜風に当たってくると外に出ていた。
……今ならチャンス。
僕はシールちゃんに、もう一度頼む事にした。
「シールちゃん。僕の力使ってどうでした? 気分は?」
「うん楽しかった!」
甘いコーヒーをニコニコで飲むシールちゃん。とても満足そう。
「こうして僕と組めば最下位脱出も可能。だから……」
「いいんだけどぉ。何でエクスさんは魔王になりたいの?」
「――!?」
「何か絶対魔王になりたい理由あるの? あたしのために魔王になりたいお兄ちゃんみたいに」
……事情か。
そうだね。組んでほしいというのなら、僕の事を話さないのはフェアじゃない。
「わかった。僕の事……いろいろ話しますよ。過去や、魔王になりたい事について。大したことじゃないですけどね……」
「興味深いですわね!」
……ユーノさんが食いついてきた。
「あ、わ、わたくしはお、お邪魔かしら……?」
場違いかと、あたふたしだすが……まあ、ユーノさんならかまわない。
「いいですよ。ユーノさんなら特別に」
「特別!? それはつまりわたくしが好きと!? 本当ですわね! 言質とりますわよ! 責任とる覚悟あるのですわね!」
……?
なぜ興奮するかのように……
責任ってなんの?
「エクスさんはやくぅ!」
シールちゃんがテーブルを揺らす。
「あ、うん。じゃあ話しますよ」
……まず、どこから話すべきかな……
順を追って……昔の事から……語るとしようかな。




