22話 サイコな実験の結末
ボディーガードは気絶。キメラの魔物も退治。
あとはサイコな博士だけだ。
「どうする? おとなしく投降するかい?」
博士の顔からは焦りは感じられなかった。
むしろ余裕と言ってもいい表情……
「最近のガキ共は強いのう。ちょうどいい。《《あの方》》に頼まれた実験の練習台になってもらおう」
「練習台……?」
この状況をひっくり返せるとでも思ってるのか?
……油断は禁物だ。余計な真似はさせない!
「シールちゃん! 奴を止めて!」
「了解~! ジジイだろうが悪人なら問答無用でぶん殴る!」
物騒だが、こういう時はそのほうが助かる。
シールちゃんは博士に殴りかかるが、一歩遅く、奴は何かの注射を自分に刺す。
――すると、倒れたボディーガードと魔物が博士に集まる。
こ、これは……!?
「「悪魔融合」」
博士はボディーガードと魔物も自らの体に取り込むと、巨大化!
アジトの天井を突き破るほどの巨体。部屋は崩壊していく。
岩の瓦礫等々が機械を潰し、エクス達の元にも……
別に落下物程度で死ぬほど魔族はやわではない。
ただ人間のシールちゃんの事も考え、一旦脱出を試みる。
「みんな! にげ、」
「じゃあ、あたしが運ぶ!」
と、シールちゃんは僕をお姫様抱っこする。
は、恥ずかしいのだが……
「小娘! エクスはわたくしが運びますわ!」
ユーノさんは負けじと自力でシールちゃんについていく。彼女もやはりすごいな。
というかお姫様抱っこの取り合いなんてしないで。相手僕ですよ?
崩落するアジトの出口に出ると……
「な、に……?」
アジトを突き破り、何十メートルもの、巨人が僕たちの視界に移った。
巨大化した博士だ。信じられない巨体……
見た目は魔物そのもの。
赤鬼のようないかつい顔に、全身は岩肌。体の構成物質が岩のようになっているのだ。
「「ある男を殺すための研究……これはその最終段階……貴様らで実験してくれる」」
単純な魔力の高さは魔物やボディーガードの倍……いや、それ以上か。
これ、疲弊してる今だとわりと骨が折れるかも……
「ひっさーつ!」
「シールちゃん!?」
シールちゃんは恐れず特攻する!
無茶な! 相手の魔力がわからな……わかるわけないか!
「ラララララ!」
シールちゃんは大ジャンプし、博士の顔面を殴りまくる……が、
「痒いの小娘! ふう!」
口の息でシールちゃんは吹き飛ばされる。僕はすかさずキャッチ。
「シールちゃん大丈夫!?」
「息なんかかけやがってあのジジイ!」
怪我はなさそうだ。
しかし、今のシールちゃんでも倒しきれない相手……
僕も魔力をわりと使ってるし……
ユーノさんと合わせて三人がかりなら……
「「ガキ共ぉ! 実験材料にな、」」
突然だった。
巨大化した博士は……
「「あががががか!」」
いきなり体が真っ二つに両断されたのだ。
激しい水しぶきと共に……
――水!?
ま、まさか……
『シールが心配で見にきたのだけど……グッドタイミングだったみたいだね』
絶大な魔力、水の斬撃……あれほどの存在になった博士を一瞬で始末できる魔族を、僕は一人しか知らない……
美しいロングの髪が風にあおられ、その容姿にはあらゆる女性が虜になる男。
学園最強の名をほしいがままにする、次期魔王候補筆頭……
ワイズ・デュラ……
「お兄ちゃん!」
僕から離れ、ワイズの元に走るシールちゃん。
「あ、待ってシール」
寄ってくる妹を止め、水のレーザーを放つ。
「まだ生きてる」
ワイズは息のある博士にとどめを刺す。
「ぬがああああ!」
水に飲まれ、博士は姿を消した……
水の圧力で消し潰したんだ……
……三人で倒そうとした相手を、いとも簡単に……
やはりこの男……規格外……




