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20話  それぞれの戦い

「敵となるのは、あのボディーガードと魔物かな」


 おそらく博士とか言われてるサイコなおっさんは戦えないだろう。

 ゆえに、この一人と一匹が主な敵……


 賊とは魔力が違う。遠目で見るだけでわかる。


 まだ戦闘に不馴れなシールちゃんは、何してくるかわからない魔物よりもボディーガードを相手させようか。


「シールちゃんはあの魔族を。僕とユーノさんで魔物をやりましょう」

「OKぇ~」

「……え?」


 ユーノさんが振り向く。なぜか顔を赤らめて。


「わたくしとエクスが?」

「はい。なにか不都合が?」

「そうではありませんわ! こ、これはつまりは、初めてのきょ、共同作業ということですわよね!」

「……?」


 まあ、一緒に戦うのは初めてだし……


「そうですね」

「ほ、ホホホホ! それはもう、その、あの、おほほほほほ!」


 え、なに? 急に笑い出して……

 情緒大丈夫ですか? 少し怖いですよ?


「わたくしとエクスがわたくしとエクスがわたくしとエクスがわたくしとエクスがわたくしとエクスが」

「うわあ、なに? 呪文でも唱えてるのかなこのデブお嬢」


 こうして話してる隙を、奴らが見逃すはずはなかった。

 ボディーガードがまず動いてきた!


 僕はすかさず……


「【魔導転移】」


 秘術でシールちゃんに魔力を受け渡す。

 ボディーガードの豪腕がシールちゃんを狙うも、彼女はそれをいとも簡単に受け止める!

 

 衝撃で地面のタイルが割れる。


「やるな小娘。どうだ? 我らと組む気はないか?」

「戯れ言ぉ!」


 シールちゃんの膝蹴りがボディーガードの顎を砕く!


「このシール・デュラミス! いかなる事があろうとも! 悪には屈したりなどせん! うわははは!」


 ……よし、とりあえず一人で大丈夫そうだ。


「ところでエクス」

「なんですユーノさん」

「あなたのその秘術、さっき聞きましたけど……」


 道中、【魔導転移】の事はユーノさんには話していた。

 家の隠された秘術、おいそれと教えていいのかって疑問もあるだろう。


 普通はダメだ。だからこの二人以外に教える気はない。


 組むシールちゃんはともかく、ユーノさんに教えたのは……信用してるから、かな。

 良い人だし。


「あなた、魔力をあの小娘に与えたのですわよね?」

「はい」

「――って事はその分、あなたはパワーダウンしてるのでは?」

「はい」

「いや、はいって!」


 そりゃあ当然与えた分魔力はなくなりますよ。至極当然のこと。

 僕がユーノさんと共に戦うのを選んだのは、魔力の減った状態で戦うのはキツそうだからだ。


「まあでも安心してください。足手まといにはならないようにしますし、なんなら僕が盾にでもなるんで」


 そう僕は彼女の前に立つ。


「え、好き……」

「――? どうも」

「あ! いやその……お、オホホホホ! 魔物退治と行きますわよエクス! わたくしの奴隷のように働きなさい! オホホホホ!」

「フフ。仰せのままにお嬢様」


 僕はいつものように、大量の武器を精製する。

 するとようやくキメラのような魔物が動き出す。


 そうだな……まずは、


 檻にでも閉じ込めようか。


 魔物の真上に、大きな鉄格子付きの檻を精製し、落とす!


 魔物はまんまと檻の中に閉じ込められる。鉄格子を噛んだり爪で切ろうとしたり暴れだす。


 やはり知性はなさそうだ。


 僕が瞬時に出した武器に気をとられ、それのどれかでかかってくると思ってたんだろうね。

 これはただのブラフ。

 真上の檻に気づかせないためのね。


「さすがですわねエクス。ではわたくしは!」


 地面のタイルが瞬く間に剥がれ、手裏剣のように魔物に向けて飛んでいく。


 ユーノさんの地属性魔法の一つ、岩石操作アースロック

 石などの地面に類するものを操り、魔力を込めて放つ彼女の十八番だ。


 タイルの数々が、鉄格子の隙間から魔物を突き刺す!

 魔物は呻き怒り出す。


 まあ、このまま閉じ込めてはおけないだろうからね。

 ユーノさんとうまいコンビプレーして、シールちゃんの手助けだ。

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