18話 シール・デュラミス大暴れ
この村に限らず、周辺の村全てが野盗の被害を受けてるらしい。
放っておいたら村人全員の命が危ない……
ということで、なりふり構わずいきなりアジトに殴り込みに行く事にした。
「え? さ、作戦とか……考えないのかの?」
村長さんが疑問をもつ。
「相手は大勢おるんですぞ? それなのにいきなり殴り込み? それもこのお嬢さんだけで?」
「ええ」
「そんな無茶な! 一人なんて殺られに行くようなもの! それも女の子が……」
「もしもの時は僕らが助けますし」
「いやだから! 三人くらいじゃ……」
う~んそう簡単に納得してくれなさそうだ。
でも、女の子だから危ないと言ってくれる優しい人の意見を無視するのもな。とはいえ余裕なんだよねハッキリ言って。
ならシールちゃんの実力を見せれればいいんだけど……
「「きゃあ~!」」
――悲鳴!
僕達は悲鳴のした方角へ走る。
そこには見るからに山賊です! みたいな格好をしたマッチョのヒゲ野郎が村人達を襲っていた。
「おらおら金目の物だしな。でなけりゃ……」
「ひいいい!」
……一目見ただけでわかる。雑魚だ。
弱者を踏みにじる盗賊っていうのは見るだけで不快だね。
それにこいつ、油断しすぎだろ。一人で来たみたいだ。
こういう後先考えず自らの欲望に忠実な奴は早死にするんだよ。
まあいい。シールちゃんの力を見せつける機会だ。
「シールちゃん。選んで」
「え?」
僕は瞬時に金属性魔力で作り上げた、武器の類いを見せる。
「これらは魔力を秘めた武器。魔導転移使わなくても、この武器で攻撃すれば魔族を倒せる。よほどの相手ならそうはいかないけど……」
あの程度の賊なら問題はない。
「じゃあこの剣ね」
シールちゃんは剣を手に取ると、賊に特攻!
速い!
目にも止まらぬ速さで賊の腕を……切り落とした。
「へ? へえええええええ!?」
賊に至っては落とされる瞬間まで何が起きたかわからなかったろうね。
「えい」
かわいい掛け声で賊を連続で切りまくる。おお……かわいい顔して容赦ない。
「あぎゃあ!」
血にまみれて倒れる賊。
シールちゃんは再起不能に切った賊の首すじに剣を向ける。
「殺していいんだよねぇ?」
物騒な発言……
彼女の正義が、こういう輩を許せないんだろうね。
「いいんじゃないですの? その後死体もってアジトに行って見せしめとして賊に見せるのもありですわね」
ユーノさんもなかなか過激発言。
この二人は虫も殺せないみたいな、か弱い系女の子とは真逆な存在なのかもね。
まあ頼りになるからいいんだけど。
「とりあえず、アジトの情報吐かせよう。罠とかあるかもしれないからね」
僕は倒れてる賊に顔を近づけ、笑顔で問う。
「教えてくれるよね?」
♢
「正義の味方! シール・デュラミス見参!」
アジトのドアを突き飛ばし、正々堂々殴り込みにかかるシールちゃん。
「な、なんだぁ!」「襲撃か!?」
「ガキじゃねえか!」
「はーっはっは! 子供だとなめてかかるからお前達は破れるのだ! 正義のヒーロー! シールちゃんの伝説が今始まる!」
何で語り部口調?
「野郎なめた口を! かかれ!」
まあ結果は見えてる。僕の与えた武器で倒せる程度の相手なら、シールちゃんの身体能力を考えてみれば……
相手が百人いようが敵じゃない。
「ぎゃああ!」「ぬわあた!」「助けて……」「ひきゃあ!」
かかってくる賊共は、シールちゃんの華麗なる剣技で切り捨てられていく。
誰もシールちゃんに触れる事すら出来ずに……絶命していく。流れ作業のように。
「あ! 忘れてた! スーパーローリング……」
あ、技名か。この子はとりあえず技叫びたいんだね。かわいい。
「やはり……ゴリラですわね。あの背丈と細さのどこにあんなパワーが……」
ユーノさんから見ても、シールちゃんの身体能力には驚愕している。
魔力は最低でも身体能力は最強。彼女と組んだ僕も最強……
に、なれればいいけど……




