7話:ルナとレオン
カフェに戻ってからも、私の心はざわついていた。
ルナとレオンさんの言葉…
秘密の部屋…
私の特別な力…
すべてが、まるで夢の中の出来事のように思えた。
でも、ルナを抱きしめると、その温かさが、確かに現実だと教えてくれる。
私は、カウンター席に座り、ルナを膝の上に乗せた。
ルナは、気持ちよさそうに喉をゴロゴロ鳴らしながら、私の腕にすり寄ってきた。
私は、ルナの頭を優しく撫でながら、レオンさんを見つめた。
レオンさんは、カウンターの中で、コーヒーカップを丁寧に磨いていた。
「レオンさん…。」
私は、レオンさんに声をかけた。
レオンさんは、私の声に気づくと、パッと顔を上げて満面の笑みを向けてくれた。
「どうしたんだい、エリア? コーヒー、おかわりでもするかい?」
「えへへ、コーヒーも飲みたいけど…ちょっと、お話が…。」
私は、ルナのこと、秘密の部屋のこと、そして私の力のこと…
何を話せばいいのか迷ったけれど、やっぱり全部話してみようと思った。
「…あの…ルナとレオンさんは…どうして…この猫カフェにいるんですか…?」
私は、レオンさんに尋ねた。
レオンさんは、少し驚いたような表情をした後、ニコッと笑って答えてくれた。
「ルナと出会ったのは…僕がまだ、子どもの頃だったんだ。」
レオンさんは、遠い目をした。
「…その頃、僕は…孤独だった。…友達もいなくて…いつも一人で…。」
レオンさんは、少し寂しそうに言った。
「…そんな時…僕は…ルナと出会ったんだ。」
レオンさんは、ルナを見つめた。
ルナは、レオンさんの視線を感じて、顔を上げた。
そして、レオンさんにすり寄った。
「…ルナは…僕に…たくさんのことを教えてくれた。…優しさ…強さ…そして…希望…。」
レオンさんは、ルナの頭を優しく撫でながら、言った。
「…ルナは…僕にとって…かけがえのない存在なんだ。」
レオンさんは、ルナを抱きしめた。
私は、レオンさんとルナの温かい姿を見て、胸が熱くなった。
「…そして…ルナは…僕に…この猫カフェを開くように…と、言ったんだ。」
レオンさんは、ルナから告げられた言葉を思い出した。
「…ルナは…この猫カフェが…《世界の調和を守るための、大切な場所》…になると、言ったんだ。」
レオンさんは、真剣な表情で言った。
「…でも…どうして…?」
私は、レオンさんに尋ねた。
「どうして、ルナは、レオンさんに…そんなことを…?」
「それは…まだ、僕もよく分からないんだ。…でも、ルナは…きっと、何かを知っているんだと思う。…そして、僕にも…何か…役割があるんだと思う…。」
レオンさんは、少し困ったように笑いながら言った。
「…エリア、正直に言うと、僕も、君と同じで、何がなんだか…さっぱりなんだ。でも、ルナを信じることにしたんだ。だって、ルナは…いつも僕を正しい道に導いてくれるから。」
そう言って、レオンさんは、私の頭をポンと軽く叩いた。
「エリアも、きっと大丈夫だよ。だって、君には、ルナがついてる。それに…僕だって、君の味方だ。だから、一緒に頑張ろう!」
レオンさんは、力強くそう言って、私にウィンクをした。
私は、レオンさんの明るい笑顔を見て、気持ちが楽になった。
ルナは、レオンさんの腕の中で、静かに目を閉じていた。
私は、レオンさんとルナの強い絆を感じた。
そして、私も…
ルナとレオンさんと一緒に…
この猫カフェを守りたい…
そう思った。