零章・|伝承《Folklore》
――数年後。
「ねー、なんでわたしにはママがいないの?」
「……ほら、おいで。抱っこしてあげる」
「ん」
「ごらん。あそこにおおきな樹が見えるだろう?」
「わーっ! おっきい……!」
「ママはね、世界を救うためにこの世界を支える世界樹となったんだよ」
「ふ~ん。それじゃあ、あの木がママなの?」
「ああ、そうだ……きっと、そうだ。……ああしてみんなのことを見守ってくれているのさ。だから……ママがいなくとも、淋しくないだろう……?」
――命を賭しても変えられぬ理がある。生涯を費やしてもどうにもできぬ理がある。たとえそれがどれだけ理不尽な理でも、人間はそれを諦観し、唇を噛んででも生きていくことしかできない。
このふざけた素晴らしき世界は、今日も誰かの犠牲の下に成り立っている。
~fin~
我ながら拙い文章かとは思いますが、最後までお読みくださりありがとうございます。
アルファポリスのほうでは作品の最後に私の大好きな楽曲である『ラ・ピュセル』(作詞:orange、作曲・編曲:Dios/シグナルP、歌:巡音ルカ)(敬称略)の歌詞を一部抜粋し載せておりましたが、こちらでは問題になる可能性を考え、除外しております。
直接掲載することはできませんが、とても素敵な歌詞・楽曲ですので、気になった方はぜひ、一度、Dios/シグナルP様作曲・orange様作詞の『ラ・ピュセル』をお聞きください。
※当該楽曲に感銘及びインスピレーションを受けたことは紛れもない事実ですが、楽曲をイメージして執筆した二次創作ではなく、あくまでも完全オリジナルのストーリーとなっております。(私ごときが畏れ多きシグナルP様の楽曲で二次創作をするなど、大変烏滸がましいことです)
※本作品と当該楽曲の作者は別人で、なんら関連性がありません。誤解されませんようにお願いいたします。
↓外部サイトで恐縮ですが、本作品の元となった掌編小説です。(作者は私自身です)↓
https://monogatary.com/episode/449268