序章・|啓示《はじまり》
※注意
作中、一部パロディや他作品のネタが登場します。苦手な方等いらっしゃいますでしょうから、あらかじめご了承ください。
『――ワタシノコエガキコエマスカ』
「?」
『――ワタシノコエガキコエマスカ?』
「おねえちゃん、だあれ? どこにいるの?」
『こちらです』
「どこ?」
『こっちこっち』
「? ……あ。つんつん」
『やめてください。つつかないでください。まだ芽吹いたばかりで弱いのですから』
「『めぶ』? よくわかんない。つんつん」
『こーら、やめなさい。いい子にしたらいい物をあげますからね』
「いーもの?」
『こちらの果実です。甘くてとーっても美味しいんですよ』
「わーっ!」
『さあ、その実を食すのです。あなたに力を授けてくれますよ』
「でもママが、『しらないひとからたべものをもらっちゃいけません』って」
『あらあら、私は世界樹の精ですよ』
「せかいじゅのせい?」
『そうですよ。“妖精さん”絵本で聞いたことありませんか?』
「ありゅ!」
『ほら、ね? 知らない人ではないでしょう? いつもあなたたちを見守っていたのです』
「ふーん。しょうなんだ」もぐもぐ。
『どうです? 美味しいでしょう?』
「うん! おいちい!」
『そうですか、それはよかった。世界の命運はあなたに懸かっているのですから。あなたには強い子に育ってもらわねばなりません』
「『めーうん』?」
『ええ、そうですよ。いまはわからずともいずれ――』