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バイトには様々なトラブルに見舞われながらも徐々に段々とドラッグストアの一人のバイトとして大切に扱われているなぁと実感した7月後半。
先に朝のバイトを終わらせ、帰宅してからシャワーを軽く浴びて旬のマリーゴールドと向日葵などのお花の観察。
そして、二年になって変わった担任からの手厚い宿題にペンを走らせひたすら問題の答えを頭の中で組み立てる今日この頃。
今年も冷房がんがん。生活費についてはお父さんから振り込まれたお金だけでも充分余裕があるので必要な分だけ回して身体を冷やしている最中です。
リビングにはテレビ・丸型と四角型で分かれた机二台・壁に吊るされたデジタル時計など本当に必要な物しか置かれていません。
「はぁ~、うーちゃん遅いなぁ」
さて、ここである悩みが。最近うーちゃんがやたらと精神参っているのか私に会うたびにぎゅうぎゅうしてと口うるさく毎回言うのです。
えっ? 惚けているだけ? そんなことはありません。これは私がただ素直に疲れが溜まっているであろううーちゃんを献身的に癒してあげたいなとかそういう気持ちがいっぱい詰まってるだけです。
ということで、まず最初に思ったのはエッチの頻度を増やすこと。
大体朝とか昼とかお休み前とかお互いヤりたいと思ったときにはどちらか強引に押し倒すかもしくは優しく誘うかの二択でやっているのですが……
「思えば、うーちゃんと顔を会わせて愛し合わなかった日がないかも」
あの時、私が気持ちよくしているときのうーちゃんの表情は到底演技とは思えずむしろ彼女の方が進んでノリノリになってくれるので第一としてエッチが足りなかったとかどうとかそういう問題ではなさそうですね。
だから、頻度を増やすことは別に重要じゃない。むしろ、そのままでもいいでしょう。
下手したらうーちゃんが休みとかに入ったらまず間違いなく朝から夜に掛けて情熱的に愛を語り尽くしているのですからもうそれ以上増やされたら私の体力が持ちません。
「恋人が疲れているときで検索したらなにか解決策とかあるかな?」
自分で考えられないのなら望みはネットの中しかありません。一番確実なのは知恵袋で解決策の募集をしてみるとかそういうやり方が存在しますが……時間を掛けるのはちょっとナンセンスな気がしますねぇ。
私は今まさにうーちゃんの疲れをどっと抜き取ってやりたいって思う気持ちで溢れているのですから。
「ふむふむ……うーん、微妙」
プレゼントをサプライズという形で送って相手を驚かせるとかはなんか違う気がしますね。
だって、それをやるにしても短期バイトが終わって給料を貰ってからとかそんな風に考えているのに……そんなことしたら私の計画が丸潰れです。
かといってマッサージも意味あるのかな? 普段からお風呂の時は順番交代制で全身をありとあらゆる部分でマッサージしているし、これにしたってやる意義を感じないような気がする。
他にも優しい言葉を掛けてほしいとかはいっつも変わりなくやっているし、放っておいてとかは多分戯れ言です。
うーちゃんに限って談じてない、確実にあり得ない。だから、このアドバイスは完全に的を外している。
「……どうすれば」
考えろ、私の少ない頭で考えるんだ。なによりお手軽な方法で案外違和感のはないように作れて、うーちゃんが思わず喜んでくれるような……そんな画期的な方法が。
「あっ! これなら喜んでくれるかも!!」
といっても本人が最初に戸惑うかもしれません。そもそも、上手く設定通りに押し通せるかも私の手腕に掛かっています。
よし、早速実践あるのみ!! 今日も夜遅くにこっちの家に寄ってくれるって事前に聞いてるから……早くうーちゃんの驚いている顔が見たいなぁ、えへへ。
「……いけない! その前に宿題解ける分だけ解いておかないと!」
数学・国語・英語を重点的にお片付け。テレビも付けず、ラジオも付けず代わりにタブレットのスピーカーから溢れる作業用BGMを頼りにペンを時折くるくる回しながら空欄の答えを埋めていく。
分からないときはとにかく無性に空欄を適当にでも埋めたくなるし、分かるときはテンションMAXで天にも昇る気持ちで埋めていき。
そして毎年鳴くことがお仕事のセミの声が途絶えた夜7時。うーちゃんからメッセージが入る。
具体的にはバイトの終わりの目処がついたとのことで、いつも通り2時間くらいしたらこっちの家にご到着するようです。
「わわっ、まずいです!」
宿題に気を取られてしまいましたぁ! 急いで料理に取り掛かりましょう! ご褒美のプリンは……仕方ありません。ここは腹を括って後回しです!!
「よっ! ほっ! あぁ、大変だ! 大変だ!」
洗濯物を全部家に取り込んでさっさと衣類をタンスにしまって、カーテンを全部閉めて……それから変な冷や汗かきながら調理開始!!
夜はお疲れだろうから今日は肉料理とかでスタミナを取れるように調整しておきつつ、鉄分も心配だからなんとなくほうれん草とかおひたしにしておいて。
炊飯器のスイッチは……よし、今押しましたよ!! 何回か米を研いで、その上で綺麗な水をぴったり入れているのでこれで間違いなくふっくらとしたお米が出来上がることでしょう!
ドタドタとリビングのキッチンであたふたしながらもうーちゃんが帰ってくるまでせわしなく動きます!
それそれ! あっ、そーれ! いや、フライパンで炒め物をすると間違いなく顔中に汗かきますね。
冷房とかガンガンに冷やしているのに全く持って不思議でございます。
「るーちゃん! ただいまぁ~!」
おっと、いきなりリビングに入られてしまいましたか。まだ心の準備が出来ていなかったのですが……
「あれ? るーちゃん、なんで無視するの?」
完成した食材を盛り付けたお皿を台所近くのテーブルに配置しながら、ここで少しばかり間を置く。
どうしよ……今にもうーちゃんが泣き出しそうな勢いです。無視しただけでしょげるとかメンタル危ういどころの問題ではありませんが私が救ってあげなければ誰が救うというのですか!!
女の子には恥ずかしくて恥ずかしくて身悶えそうになろうとも、愛する人のためならやってやらなければいけないときがあるのです!!
じゃあ、いくよ? うーちゃん? 私、覚悟決めるから!!
「お」
「お?」
「お帰りぃぃ! 陽子お姉ちゃああん!!」
「……!?!?!??!」
うわぁ、滅茶苦茶驚いてますね。しかも、目がキョロキョロ動いていて眺めているだけでもとっても面白い反応をしてくれます。
これは大成功といっても過言ではないのでは? 少なくとも掴みは完璧だと思います。
あとは余計な先入観を持たれないように今日限りは陽子さんの妹として押しきってしまいましょう!!
「遅かったね。随分と待ちくたびたれんだから!」
「え、いや……えっ?」
「陽子お姉ちゃん。鳩が豆鉄砲を食らったような顔してないで早く手を洗ってきてよ。じゃないと料理が冷めちゃうから」
「あっ、うん……分かったよ、るーちゃん」
「るーちゃんって呼ぶのはやめてっていつも言ってるでしょ。毎回遥って呼んでって何回言えば理解してくれるわけ?」
「ご、ごめんなさい……遥。手、洗ってきます」
とぼとぼと去っていく陽子さんを眺めて、私は深く後悔しました。
妹キャラ出だしから間違えたぁぁ!! なんでよりにもよって生意気な妹みたいなのが生まれるの!? ここはあくまでも陽子さんの疲れを癒せるような甘えん坊の妹を演じるべきだったのに。
あぁぁぁぁ、これはあれですか? 今さら反省したところでもう遅い!! って奴なんですかね?
「お待たせ、遥。晩御飯作ってくれてありがとうね」
「う、うん。どういたしまして」
確実に落ち込んでいます。しまった……やってしまいました。うーちゃんにはいつでも笑っていてほしいのに、よりにもよって変な気を回したせいで。
食事に関してはあまり言いたくありません。まぁ、いつも通り美味しいとは言ってくれるのですがもはやお通夜状態。
汚名返上できますか? ここから巻き返せるでしょうか?
「陽子お姉ちゃん」
「ん?」
「今日も仕事で疲れたよね?」
「まぁ……疲れたと言えば疲れたかな」
「じゃあ、おいでよ。私がたっぷり疲れ取ってあげるから」
食後。私ができる限り食器やらなにやら片付けて、うーちゃんをソファーへ優先的に座らせて。
それからしれっと私もうーちゃんの隣に座って誘いをかけてみます。
反応が薄すぎてなんだか私の方が泣けてきました。ダメ、めげちゃダメ。
「ねぇ、遥」
「うん?」
しがみつくように抱きつくうーちゃんの居心地は大層素晴らしきもので。
お風呂に入らずともうーちゃん特有の甘~い香りが鼻をくすぐって、今日は暖かい心で迎え入れようと思ったのに思わず衝動的にしがみついてしまいました。
もう、この際しらを切って桜色の髪を撫で下ろしつつ毛先を一本一本で鼻に近づけます。
ふぁ~、うーちゃんの髪……大好き! 香りも色も辛抱なりません!
「私なんかに気を遣わないでいいから、るーちゃんは無理しないでるーちゃんらしくいてよ」
「……へ?」
「今日無理してるでしょ? なんか妹みたいな設定作ってさ」
あらら。折角癒してあげようと思ったのに変に心配されてしまったら元も子もないような気がしてきましたね。
私も言われてすぐ向いていないなって気づいたので諦めることにします。
妹経験がない以上こういうのは無理しない方がよさそうです。
「……ははっ、やっぱりバレちゃいましたか?」
「なんか時折声震えてたよ? 食事を取ってたときから」
「そ、それはうーちゃんに嫌われたと思ったから」
「ふっ、嫌うわけないじゃない。こんなにも愛しているのに」
「愛しているのは私の方です。好きという気持ちはうーちゃんよりも負けません!」
「負けないのは私の方だよ? だって毎日毎日るーちゃんのことしか頭にないもん」
私のことばっかり考えているなんて……とんでもない好かれっぷり。
こんなにも愛されていることが心の底から嬉しくなる。あぁ、堪らなく好きです……ほんとに。
「ご、ごめんね……うーちゃん。お疲れだったから今日は妹プレイであやしてみようと思ったのに、逆に落ち込ませてしまって本当にごめんなさい」
「謝らないで、るーちゃん。こんなことをさせたのは私にも責任があるんだから」
「うーちゃん」
「るーちゃん」
「あ、あのね……言いづらいんだけど」
「うん、なになに?」
「た、たまにはその……うーちゃんじゃなくて陽子さんって呼んでもいい?」
「なんで? うーちゃんって呼ぶのイヤになっちゃった?」
「そうじゃないんだけど、時々陽子さんって呼んで甘えたいの……とにかく甘えたいんです!! いっつも甘えられてばっかじゃイヤ!! 私も甘えたい甘えたい!!」
迷惑だろうと知りません。至近距離でも許されるなら頬すりすりしたり、お腹に顔を近づけてぐりぐりしたりおっぱいの弾力に浸ったりなんでもしても構いませんよね?
もう、全部ただいま現在進行中ですが、なにか!?
だって、好きなんだもん! うーちゃんが隣にいるだけでストレスなんて全部吹っ飛ぶだもん! 知らない知らない! これから時々甘えてやるんだから!!
「あはは、甘えられているのは悪い気がしないなぁ。でも、たまには……いいかも」
「ほっ、よかった」
「ねぇ……時々でもいいから陽子お姉ちゃんって呼んでみてよ♪」
「えっ」
「あれ……好きなの。自分が本当にお姉ちゃんになった気がして」
「ふーん、へぇー」
「えっ……な、なに?」
ふふふっ、なーんだ。意外と気に入っていたんですね……お姉ちゃんって呼ばれるの。
以前姉妹プレイで一度お姉さんって呼んでみたらお姉ちゃんって強制的に修正を要求されたから呼び方に随分なこだわりがあるんだなとか呑気に思っていましたが……なるほど、ちょっといいこと思い付きましたよ。
「陽子お姉ちゃん……ぺろ……れろ……ちゅ」
「あひゃ!? んはぁぁ……」
こんなに至近距離で抱き合っていたら耳元で囁きつつ舐めることなんて造作もないことです。
お風呂に入ってからお互い満足するまで気持ちよくなってきましたが……おねだしするうーちゃんの表情が堪らなくいとおしくなったので我慢はやめます。
本日は妹になりきってお姉ちゃんを貪りましょう。無抵抗で気持ちいいのか耳に舌を入れようと口に舌を入れようと声を漏らすお姉ちゃんは……あぁ、最高に頭がおかしくなりそう!!
「お姉ちゃん……好き。お姉ちゃん……愛してる……んむっ……じゅるるる」
「ん、んん、んんっ……んんんんッ……はぁ……ぁ……遥、私も愛して……んふぅ……んはぁ」
抵抗してこない……上下のシャツとジーンズともれなく下着も全部脱がしてやりましょう。
あぁ、今日の下着の色は黒で統一したんですね。これはこれで素敵ですよ。けれどエッチするときにこんなのあっても愛し合えないのでちょっとどっかに投げときますね。
そんなにとろけた表情で見つめてこないでくださいよ。いつもの凛々しい表情はどこへ行っちゃったんですか?
「気持ちよくしてあげるね」
「うん」
「陽子お姉ちゃん……陽子お姉ちゃああん!」
「はぁ……はぁ……んふぅ……あぁん……遥! はるかぁぁぁ! ……もっと……もっとぉぉ!」
試しに私がどうなってみたらどうなるか? 予想以上に燃えてしまいました。多分お互いの気持ちが静まるまで火は消せません。
だから……だから、もっともっと一緒に楽しみましょ? 陽子お姉ちゃん♪




