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しれっと背中を洗われて、しれっと前も洗われそうになって~なお、キスもがっつり付属します~

 徐々にゆっくりとぼやけながらも開いていく視界。おぼろげながらもそこで私は何か忘れているのではないだろうかと小さな不安が過りました。

 目の前には真っ白な天井。横を見たらソファーの背もたれの部分、さらに反対側に向けば。


「おはよう、遥。よく眠れた?」


「あぎゃ!?」


 いつから眺めていたのか陽子さんは私と目が合うや否やおはようの挨拶を交わしてきました。

 うっかりしてました……お風呂を沸かそうと思った矢先にがっつり寝てしまうなんて。


 しかも、思い出せば寝ていた場所はソファーの上ではなく陽子さんの膝の上。

 膝枕で無防備にも寝息を立ててしまっていたかもしれません。あっ、ということは。


「かなり疲れが溜まっていたのね。すっごく気持ち良さそうに寝ていたわよ」


「す、すいません。私ってどれぐらい寝ていました?」


「30分過ぎってところじゃない?」


「お風呂今からやってもだいぶ遅くなりそうですね。自分が眠ってしまったばかりになんと不甲斐ない」


「いいよいいよ。あなたの素敵な笑顔をこうして待受画面に貼れただけで買い主としては大いに満足だから。それに風呂なんて既に遥を起こそうと思っていたタイミングで沸かしているからなにも心配いらないよ」


 陽子さんが見せてきたスマホの待受画面には驚くほどにすやすやと安心して寝息をを立てているであろう私の寝顔がばっちりと。

 シャッターの音に全く気づかなかったなんて。普段ならこれくらい近くで音を立てられたら嫌でも気づくのに。

 風呂を沸かしてくれたのはすっごく助かるけど……勝手に撮るのやめてぇぇ。


「盗撮は犯罪です」


「可愛いお人形ちゃんだから問題なしよ。だってあなたはこの飼い主に弱味を握られているのだから」


「……うぅぅぅ、私的利用だけはやめてくださいね。必ず!!」


「はいはい、そう念押ししなくてもいいじゃない」


「不安なんですよ。陽子さん、絶対気分次第でなにか仕出かしそうなので余計に」


「こんなに可愛い寝顔を他人に見せる趣味はないから安心しなさい。私的利用どころかこの写真は個人で楽しむものだから」


 慣れないカラオケで知らず知らずに疲れが蓄積してしまったのかもしれない。

 でも、それにしたって陽子さんの膝はとてつもなく居心地が良かった。


 上機嫌にはにかむ陽子さんから目線を外して私はむくっと身体を起き上がらせた。

 居心地の良かったソファーから離れると同時に膝の上から床に何かが落ちる。

 あれ、こんな所にどうして毛布が?


「毛布掛けてくれていたんですね……ありがとうございます」


「別に大したことじゃないから。あとで身体を冷やされたりでもしたら大変だろうし」

 

 やれやれ、妙なところで素直じゃないですね。お礼を告げただけでいつもの余裕綽々の陽子さんはどこへいったのやら。

 目の前のお姉さんは私と視線を合わせず、両耳がほんのりと赤くなっているところを見ただけでちょっとキュンとする。


 照れ屋さんの素質あり! 口元ゆるゆるの春野陽子さんの表情はプレミアムものです! これは一見の価値があるでしょう!!


「お風呂沸かしているのなら気にせず先に入ってください。出終わったあとに私も入りますから」  


「いやいや、()()に入るのは可愛いお人形ちゃんからよ。私は()()から入るから」

  

「えー、けど」


「ほらほら、行った行った」


 背中を押されて急かされる。振り返ると陽子さんはひらひらと手を左右に振ってきた。

 こうなると説得も意味をなさないので、早々に切り上げて洗面所へと向かう。


 リビングから出て向かいの奥側。カッターシャツとスカートを下ろす前にお風呂場を覗く。

 おぉ~、しっかりと湯気が立っていますねぇ。これは入るのが楽しみです。

 

 洗面所に戻って、カッターシャツのボタンを一個ずつ取ってかは衣服を剥ぎスカートは中にホックがあるのでそこから芋づる式で下へとするする下ろしてから頭に飾り付けてある赤のブーゲンビリアの髪飾りと靴下も外す。

 

 衣服類は洗濯ネットへ。無論白色のブラジャーとパンツなどの下着も等しく洗濯ネットへ入れてから洗濯機に全部放り込む。

 洗面所の鏡とたまたま目が合う。自分の貧相な裸体を心のなかで嘆きつつお風呂場へ。


 湯気が立っているお湯。かけ湯して分かる丁度いい湯加減。本日も極楽なり。


 さて、湯もほどなくして身体全体に行き渡ったので前の方から洗っていこう。

 リビングには陽子さんを待たせているんだ。いつまでもちんたらとお風呂場でゆっくりしていたら機嫌を損ないかねない。


 バスチェアに座ってお風呂場にあるシャンプーで何滴か手の上に垂らしてからほどよく馴染ませ髪の上から段々と範囲を広げて泡をぶくぶくと広げる。


「はぁ~、気持ちいい」


 よしよし。髪を全体的にシャワーで一旦流してリンスで髪を馴染ませて最後にシャワーで落としたから残りはーー


「は~るか。どう、湯加減は最高だった?」


「……!?」


 ガラッと音を立てたお風呂のドアの先からは私にはない究極の二つの果実と引き締まった腰と艶々の肌をその他……色々とやばいけどまず思うのは。


「あれ、ちょっと無視しないでくれる?」


「まだ入ってる途中ですよ?」


「うん、そうだね」


「あとから入るって言ってましたよね? 思い違いでなければ確かにそう聞いたような気がしましたが」


「だから、律儀に()()から入ったのだけど? 何、文句あるの?」


 またしても言葉遊びの罠に嵌まってしまった。うぅぅぅ、リビングで私をお風呂場に誘導した時からずっと企んでいたとしたら。

 性格の悪い飼い主に抵抗する力もない無力なお人形。あまりの圧力に言葉をなくすとバスタオルすら巻いていない陽子さんはバスチェアに座る私の肩をそっと乗せて。


「ひゃ!?」


「お背中流させて頂いてもいいかしら? 可愛いお人形ちゃん……ふぅ~」


「はにゃあ!?」


 耳元に囁いた甘い誘惑の声にゾクッと身体中が震え上がる。一言もまともな言葉を喋っていないのに私の手元にあるボディスポンジを取り上げ、ボディー専用のソープで泡を膨らませながら……って、本気でやるおつもりですか!?


「あっ、そういえば遥はどっちの方が好み? スポンジでやるかもしくは私が直接手と胸で洗うか」


 手と胸!? もし、そんなことになったらお風呂に入る前にのぼせてしまいます!! 


 入る前に頭が沸騰して最悪倒れてしまう可能性だってなきにしもあらず!! 

 

 一瞬見てしまいましたが陽子さんのおっぱいは相当なデカさ。あれを背中とかに密着……うん、無理。意識すぐ飛ぶと思います。


「せ、せめてスポンジでやってもらえないでしょうか」


「ちっ」


「今のは舌打ちですか?」


「じゃあ痛かったら遠慮なく言ってね」


 質問をあからさまに無視して私の背中にスポンジをくっ付ける陽子さんの手つきは尋常にない心地よさで案外他人に背中を預けるのも悪くないかもしれません。

 逆に手と胸は……精神が平常に保てるかどうか怪しいラインですけど。


 いつの間にか心地よくなっているときに背中をお湯で流される。

 ドバッと派手にではなく徐々に流れるお湯。何回か掛けられていくうちに泡が取れた背中は心なしかすべすべになったような気がします。


「遥、前もやってあげるから振り向いてちょうだい」


「前は自分でやります!!」


「あっ! もうっ!」


 背中はぎりいけます。でも、さすがに同姓でも前は限りなくアウトですよね!? 

 すかさずお断りして、私の手首から手を出そうとしていた陽子さんが構えるスポンジを取り上げて上から下へ満遍なく洗うことに。


 その間、背後でずっと沈黙を貫いているであろう陽子さんが怖い。

 洗っている途中でなにかが起きるのではないかと思いましたが、そうでもなく最終的には全ての身体を洗い落としてお風呂……へ入る前にちょっと試してみましょう。


「よ、陽子さん。私もお背中流しましょうか?」


「あら、やってくれるの? じゃあ、お願いするね」


「任せてください」


「ついでに背中が終わったら前の身体も入念に洗ーー」


「それは断固却下します」


 思わず誘導されそうになったけど言葉の力で即停止。残念そうにしていますが私は無の心で陽子さんの背中をスポンジでゆっくりと泡立てる。

 考えるな、感じるな。決してそのすべすべで透き通った白い肌と後ろから絶え間なく見える首もとが素敵だと思ってはいけない、そう思っては。

 

「ありがとう、遥。残りは私がやっておくから先に湯船に浸かってて」


「はい、わかりました!」


 背中を洗い終えて、ほっと一息。けれど……まだ試練はありました。

 それは私が湯船に使っている間を見計らって自然とお風呂に入ってきたこと。


 勿論一緒にいたらもれなく間違いなく危ない目に遭いかねないので出ようとしましたとも。


 しかし、頭が回る陽子さんはそれすら許さない。だって、しれっとした表情で入浴した瞬間に私の首元に手を回して容赦なく舌を自分の口元に入れてきたんですよ。


 こんなのどうやって逃げたらいいんですか? もう逃げようがないと思いませんか? 


 やめてください………そんな綺麗な目でいつまでも見つめられたら。


 私の理性が壊れちゃうから!! あぁ、駄目! もう止められない!


「んんっ……んむ、んぁ、よう、こ、しゃ、んんッ!」


「はぁ……んっ、じゅぱ、ちゅっ、んむ……んっ、はるか!」


「んんんんッ!? ぁ……はあ、んっ、んふ、んんっ」


「んぅっ……ふぅ……んじゅる……んぐ、ん、んちゅ……ちゅぱ……れろ」


「んちゅ……んっ、ちゅ、んはぁ……んふぅ……んぁ」


「はぁ、はぁ……はぁむ、んっ、んんっ……ちゅる……じゅるる……ちゅ、ちゅ」


「れろ……ちゅぱ……ようこ……さ……ん……んんっ、んちゅ、んふぅ」


「じゅる……んっ、んっ、んー……ちゅ、ちゅぱ……んくっ……ちゅぷ、ちゅぷ……んはぁ……ぁ……んむっ」


 壁際に押された私はつくづく陽子さんの舌で快楽に溺れて。


 がっつりと身体を密着しあう乱れたお風呂場。お互いに裸というのも相まって唇を交互に入れ合う度に続くラリーは更に続いていく。


 途中で唾液が口に漏れても陽子さんの勢いはやまない。同様に飼い主でもありお姉さんでもある陽子さんの口元から唾液が溢れようが私も簡単には止まらない。


 ぐちょぐちょに交ざり合う舌の合戦。ぐちゃぐちゃに肌を擦り合わせて乱れ合う姿はどう見たってアダルティーだ。

 下手したらR18行き。けど、誰もいないのなら……誰も見ないのなら私は陽子さんの攻めに応えるだけだ。

 お姉さんが求めるのであれば求められよう。飼い主の要求に応えるのはお人形ちゃんとしては当然のことですから。


「んっ……ちゅ……あふぅ……んんっ……れろ」


「んむっ……ぁ……んっ」

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