第一章25 帝は諦めると言わない
________こいつを敵に回すべきではない。
その直感は正しかった。
しかしそれを易々と受け入れていいものかと、当たり前にもそう思う。戦っても到底勝てる相手じゃないからと言っても、相手が生物である以上、必ず死ぬ。即ち、殺せる。
それに、グランは決して負けるつもりを持ち合わせていないのだから、この場では直感なんぞなんの意味も為さない。
ラグラスロは頭を軽く薙ぎ払うように動かしグランを弾き飛ばす。本来であればこの龍の頭はグランの拳に打ち砕かれ動くことすらままならなくなる筈だっあのだが、その予想は露のように弾けて消えた。
「そんな、まさか、これで攻撃が通らないとなると何をすればいいんだい? グランくん、君はまだ貧弱すぎた。君だけじゃない、僕もだ。そして、他の皆が、弱すぎたんだ」
「うっせえ、俺はまだ何も悟っちゃいねぇよ。何をしてでもだ倒す、それだけだ」
諦めるという言葉の語源が「明らかに極める」から来ているとされる説がある。「物事の道理、因果を明らかにし、それを見極めるなどすることで己が状況を理解する」つまり、今自分に何ができて何ができないのかを明確にする、自分が無力であることを見極める、ということである。
グランは自身の様子を鑑みて、あきらめたのだ。それは、負ける運命に降参したのではない、諦めたのではない。
「明らめた」のである。どこかにある自分の勝利への可能性を、明らかに見たのである。
「開幕から俺の腕はズタボロだがよ、進展はあったぜ」
「どこにだよ?! 僕らが負けるという進展があったとは言うまいなグラン!」
「馬鹿言え。よーく見てろ、あいつの額を」
グランはラグラスロの額に装備されているプレートを指さす。それは、グランの故郷アル・ツァーイの紋章が刻まれた古のプレート。
グランはそこを殴ったのだ。だから、そのプレートが盾となって攻撃を阻止したのだと。
否、それは違う。例えグランが違う部位を殴っていたとしてもラグラスロは怯みもしなかったろう。故に、何か別に、龍の額を指さす意味があるのだ。グランの拳を耐えて見せたプレートを指さす理由が他に。
「お、おい、何も起きないじゃないか。どうするんだ!」
「仲間割れとは余裕なことだな愚者ども。我のこの龍の姿に圧倒され困惑するのであれば既に時遅し。即刻、討ち滅ぼされよ」
言うと、ラグラスロはもう一度『エリミネイト』の構えをとり口内から制裁の直線が引かれる。
紛うことなく殺しにかかっているとわかる一撃に、
「お、おい!グラン! なにボケっとしてやがんだ! 躱さないと死ぬぞ!」
フィーストは血相を変え、槍からエネルギーを放出し攻撃の射程から離脱する。
しかし、グランは突っ立ったまま何もせず迫り来る光線を見ているだけ。なぜなら、
「躱す必要が無いんだよ、フィースト。言ったろ、あいつの額を見てみろと」
グランに攻撃が命中する寸前、それはグランを避けるように弾け飛んだ。正確に言うならば、攻撃が中断されたのだ。グランが何かをしたでもなく、魔法を打ち消したでもなく、ラグラスロの方に何か支障が現れたのだ。
「俺はもともと、その気に食わねぇプレートを、俺の故郷のシンボルマークが描かれたそれをお前が付けてるのがかにくわねぇから壊そうと思っただけなんだ。でも、それを実際に殴ったときに、額のそれには膨大な魔力が秘められているのに気付いちまってよ、つまり、これを壊せばお前の力は失われるはずなんだよなぁ」
言うと同時に、ラグラスロの額に付けられた鉄板のようなものに大きく罅が入る。その罅は次第に大きく枝分かれし広がっていくと、砕け散った。
「そうか。まさか、これを取り外す時が再び来ようとは思わなんだ。なかなかどうして、貴様は舞い踊る嵐のようであるな」
「お、おい、グラン。これは、もしかして、勝機が見えてきたってことじゃあ無いのか? 大事そうに身につけていた魔力プレート取れたんでやっと、攻撃が通るかもしれないってことだろ?」
ラグラスロの漆黒の体躯が、更に影を纏うように暗く染まっていく。影のようなそれは、ポロポロ、ポロポロ、ボロボロと、少しずつ砂のように崩れ始める。黒龍の身体が無数の小さな闇の塊となって宙に浮遊し、もはやそれは龍と表記するのは誤りで、ただの塵も同然だ。
「いやこれは、攻撃が効きすぎたのか? 運良くグランが額をかち割ったおかげで呆気なく勝利を勝ち取ったと見ていいだろうか?」
「……いや、まだ、何か来るぞ。フィースト、気をつけろ」
これで終わりとなるならとても嬉しいことだが、そんなことには勿論ならない。
黒龍だった何かはゆっくりと、再び一つに統合され新たな何かを形成し始める。角のような、棘のようなものから始まり、長い胴、凹凸のある堅殻と、徐々にその全身が一つの生物になっていく。未だどんよりとした影の塊だが、その姿が竜であることは一目瞭然。新たな竜としての姿にフォルムチェンジした、と表現するのがいいだろうか。
「汝が破壊した金属片。それは、汝が壊すべきでないものであった。それは、厄災の始まりを意味する行為であった」
ずっしりとのしかかるような重い声が響き渡る。空気が澱んでいるような感覚に襲われ、酷く居心地が悪い。圧倒的にハームフルな小さな世界がこの城の屋上に形成されてしまったかよようだ。
竜がその翼を大きく羽ばたかせるとそれを覆う闇が弾き飛び、真の姿が露わになる。
前腕と翼が一体化し、戦闘に特化したような二足歩行。ひと回り小さくなった体躯とは裏腹に、莫大なエネルギーを内に秘めており、溢れ出た一部が雷のようにバチバチと竜鱗の表面を走っている。
「かの金属片は、かつてデアヒメルと交戦した際に用いられた、我が魔力の一部を封印するためのもの。よって、この度我に付けられた枷が外れたことで、我は、本来の完全なる力を取り戻したということよ」
「本当はあれを壊すべきでなかったと……そしてこれが、お前の、本気の姿……」
「は、ははっ、まさかグランの渾身の一撃が逆に相手を覚醒させるとは思わなんだぁ。どうするつもりだ……っておい」
「ッじぁぁああああああっ!! 」
フィーストが横を見た時には既にグランはそこになく、彼は危険を顧みることなく力を込めて加速しながら竜に突っ込んでいた。ジグザグと雷のように、相手を惑わせるように進み、グランの攻撃が目下の脅威に命中するかと思われたが、
「これほどまでの力差を目で体感しながらも向かってくる様は果敢でも勇猛でもない、愚かなのだ、汝は愚者なり」
軽く、埃を払うように軽く腕を振るとグランは真横に飛ばされていた。
それに負けじと何度も何度もグランは果敢にも竜へと向かう。だがやはりそれらは全て塵と化す。天に向かって弾かれ、地に叩き落とされ、左に、右に、後ろに、と言ったように、あらゆる方向へ叩かれる。
勇猛にも何度も諦めず敵に向かうのは、まず相手のことを知るためである。
何が言いたいのかというとつまり、
「______今だっ!」
またまた拳を竜に向けると、相手もまたまたその翼腕でグランを軽くあしらう_____と思われたが、グランはジャストタイミングで翼を下に避け、拳を上に振り上げる。
何が言いたいのかというとつまり、相手の行動を分析し、どのタイミングで攻撃が来るかを測っていたのである。よってグランは見事に攻撃を回避、刹那の隙をついて攻撃へと転じることができた。
「この我が愚者に遅れをとると思ったか。凡骨は無駄に足掻くことはできても成し遂げることはできぬよ」
「ぐぅはぁッ!!」
攻撃が命中すると思われたが、竜はもう片方の手でその攻撃を受け止めグランの腕を掴むと、もう片方の手で腹部を目にも止まらぬ速さで連打する。そして、掴んだ腕を振り回し遠心力を利用してグランをぶん投げる。
「くそっ! グラン! それはまずい、その速さで吹っ飛んだら城外まで出ていってしまうぞ!」
フィーストは抱えた槍から魔力を放出させ宙を飛びグランを追う。
何とかグランを受け止めるも、その勢いは止まらずフィーストごと何メートルか後ろへ後退させられてしまう。こんな速さで放り出されてはたまったもんじゃないとつくづく思う。
「あいつ、あんな化け物だったってのかよ。おい、グラン? 何か策があるんだろうな。いや、僕も腹を括るしかない。策がなくてもやるしかない」
「……とり、あえずだ、この城は狭い……まずは、もう少し広い場所、例えば、お前と戦ったあの場所とかに場所を移そうぜ……」
「……ああ、分かった。移動してる間に自分に回復魔法でも掛けておいてくれよ!」
グランに被害が及ばない最速のスピードでフィーストは槍を飛ばす。目指すは昨日彼らが激戦を繰り広げた、大きな戦闘跡の残るあの森である。
移動中、グランは言われた通り中級回復魔法『シファ』を自分に使う。以前まで初級の治癒力増強魔法しか覚えていなかったのでこの成長はとても役立つ。
しかし、いくら回復速度が上がったからと言って受けた被害量を全て取り除くことはできない。取り除くにしては余りにもダメージがでかすぎる。
「彼奴ら、逃げよったか? 或いは、ただ戦地を変えたいだけなのか……どちらにしろ我、このリゲイリアスが彼奴らを逃すなどと言う真似をする訳もないがな」
言うと、先程までラグラスロだった竜、リゲイリアスは2人を追う為飛び立つ。その姿は竜鱗を走るエネルギーの奔流が相まって小さな衣を羽織っているように見える。
莫大すぎる力が追って来ていることをフィーストは背中から感じたが、敢えて後ろを振り向くことはしなかった。恐怖のために振り向けなかった訳じゃない。振り向いて見てしまったら恐れをなしてしまうかもと考えたからだ。
「僕はつい最近敗北したばかりなんだ。敗北を知ってしまった、敗北の怖さを、喪失感を知ってしまった。だからもう、負けたくないんだ。グラン、僕は一度だけ、この戦いでだけだが、君を信頼しよう。僕を、君と勝たせてくれ」
「一度だけって、そこまで嫌われてるのか……でも、いいぜ……あの竜は確実に滅する。弑する。一緒にな」
微かな、消え入りそうな声量でグランが返す。全く回復が被ダメージに追いつかず、普段通りの会話がままならない。
「もう着くよ。後ろであいつも追ってきてる。すぐにここまでやって来る筈だ。準備は……良くないだろうけどね」
鬱蒼と生い茂る森の中に抉られた大地が露見する。
古城に代わって新たな戦地に到着すると、グランは膝を地につけ苦しそうに回復を続ける。そして、少し遅れて竜もこの地に到着し、
「ラグラスロ様、いや、ラグラスロ。僕は反旗を翻す! 無茶な事をしていると、愚かであることは重々承知の上だ!この日を以って僕らはこの世界から邪悪を根絶する!」
「ラグラスロとは我が偽りの名。今の名をリゲイリアス。この世界の統制者として、謀反者及び失踪者は根絶する」
フィーストはグランを一瞥し、未だ戦線復帰できそうにないことを確認すると、青光りする神槍トロフィーを構え、そこに魔力を一点集中させる。フィーストは1人で、ましてやグラン無しで目の前の災厄を打ち払えるなどとは考えていない。せめてもの、彼なりの時間稼ぎだ。
「グランには何故か効果が無かったが、あの時の暴走した僕の力を、今度は理性を以ってしてお前にぶつけてやる」
「塵芥から出るものもまた塵芥。全てを受け止め、汝の精神を粉々に打ち砕くと約束しよう」
「要らない約束はお断りだね!解放、トロフィー!魔力量は十分!いくぞ!『超魔力厄災』ッ!」
詠唱すると、神槍トロフィーから無尽蔵の光の集合体が慈悲なしに直線を描く。以前の『超魔力厄災』のような、球を成すように広がり周囲をも巻き込む無秩序な大爆発とは違い、トロフィーの「光線を放出する」という特徴を最大限まで発揮した至極の光線が空気を裂く。
「『エリミネイト』」
しかしリゲイリアスは毎度の如く『エリミネイト』でそれに応戦。全力の光の猛威が呆気なく押し返される。
「味しめてそればっかり使ってんじゃねぇ……!! ちょっとくらい、攻撃を喰らいやがれぇぇぇッ!」
高らかに叫び、天を轟かす。音がこだまして響き渡る。すると、まるでその願いが神に届いたかのように、押し返されていた『超魔力厄災』は勢いを取り戻し、
「なんと、げに驚いた」
それが、初めてリゲイリアスにその魔法攻撃が到達した瞬間であった。達成感はなく疲労感も全て忘れ、命中したという事実だけを認識、反芻する。
「__________」
誰も喋らない、喋れない、動けない。
いや、それはフィーストだけだった。動けないのも喋れないのも、そもそも知覚することを放棄してただ無意識位に固まっていたから。
魔力エネルギーがほぼ空になったことによる空洞がフィーストに即刻悪影響を与え始めていた。悪影響自体は時が経てば自ずと回復するのだが、何よりも問題なのは、戦闘中にその作用が発生してしまうこと。
「__________」
フィーストには聞こえていないし見えていないようだが、リゲイリアスは確かに彼の目の前で「おわりだ」と呟いた。
そして、その鉤爪が彼の喉元に突き刺さる______
「__________」
「__________」
「__________はっ! 」
フィーストが意識を取り戻したとき、目の前には衝撃の瞬間がその眼に映り込む。グランがリゲイリアスに傷を与えたその瞬間を。
「ボケっとしてんなよ。竜も、そこの男も」
武器を片手に振りかぶったその攻撃が、フィーストの目の前で竜の首に突き刺さっている。攻撃が通っている。
そしてグランが強引に一回転してそこを切り裂き、素早く敵から距離をとる。
「は?」
思わずフィーストは阿呆らしい声を口に出してしまう。それほどに驚くべき、少量ではあるものの、あのリゲイリアスから血が噴き出し一瞬竜がよろめくという驚天的な事象に。
なぜグランの武器で血が噴き出す程のダメージを与えられたのか、それはすぐに理解できた。
「竜には必ず逆鱗ってのがあるんだよ。どうやらお前、ラグラスロだった時と逆鱗の位置は変わらないらしいな? 俺らの故郷では竜にあったらまずは逆鱗を探せと教えられてきたんだ。だから、初めてお前に会ったその時から俺はお前の逆鱗の位置を知っていたんだぜ」
「逆鱗、だって? 確かにそこは弱点かも知れないが……触れられた竜はどんな個体であろうと……」
「ああ、怒り狂う、かもな」
弱々しくもハッキリした意識を保っているらしい。グランはそんな過酷な状況下で正確に状況を判断している。何が正しいかなんてもはや分からないけれども、竜が怒り狂うだろうことだけは念頭に置かなくてはいけないと、それだけが両者の頭の中を支配する。
「逆鱗……我を悩ませる最大のタネがそれであった。それだけが我の弱点であった。故に、その位置だけは悟られまいとしておったが……邂逅の時点でそれは無駄となっていたか」
「なんだよ、暴れないのか?」
「むず痒い、激しい悪感情が疼く。自我を失うほどにだ。しかし、我はそれをするような劣等種ではない!」
言いながらリゲイリアスは翼腕を広ると身の毛もよだつ乾きの突風が吹き荒れる。身体中を駆け巡る悪感情とやらを打ち払う為の竜なりの行動だろう。
「ここまで我と渡り合った者との戦いは2度目だ。その餞別として、我は汝らに敬意を以って命を刈り取ろう」
言うとリゲイリアスは突然、勢いよく天高く舞い上がりグラン達の方を向くと、大きく翼を広げる。
両者の距離は遠いはずなのに、空気が激しくざわめいてあたかも近くにいるように錯覚してしまう。そして、大気を震わす阿鼻叫喚なその空間に1つ、また1つと、数多の極光が空一面に広がり、天から差す光は天使の祝福のようであるのに、実際は地の底にあるべき地獄の力が空にある。
「あれが、全てあいつの魔法ってことかよ……」
「日和るなよ、俺は『諦め』ちゃぁいねぇんだぜ。死ななければ勝てる。そう俺は分析、『明らめている』んだからな」
「グラン、それはどう言う意味だ。やっぱりお前は、何か秘策があるんだな? 僕の『超魔力厄災』を超える秘策が」
「いいや、俺はお前のその魔法以上の威力は多分出せないだろうね。でも、きっと……」
歯切れの悪いグランに怪訝な顔をするフィースト。しかしグランはそれに気付かず、ただひたすらに天を飛ぶ竜ばかりに集中している。
それを見て、フィーストは自分にだけ聞こえる声で言う。
「僕は今無力だ。あいつも無力だ。でも……」
それと同時に、星のように空に散りばめれた極光の雨が降り始める。
「でも………僕は、生きたい。一度死んだけど、今は生きてる。だから……」
俯いた顔を両手でパチンッ!と叩いて強引に上げる。手も挙げる。そして、言う。
「『デアヒメル』!」「『カタフのアミュレット』!」
同時に2人は魔法を詠唱。そして、激しい雷雨が地を穿ち環境を破壊し生物をも征伐し始めると、それは効果を発揮する。
まず『デアヒメル』で殆どの魔力雨を発散させ、その魔力をグランとフィーストで配分。発散させきれなかった攻撃を『カタフのアミュレット』で防護。止むことを知らない雨はいとも簡単に対処され、逆にみるみる力が湧き上がってくる。
「な、なんなんだこの魔法は?! 力が、流れ込んでくる!」
「彼奴が魔力を使う限り俺らはこうして突っ立ってるだけで元気になれるって寸法だ。どれ、1つこっちから仕掛けてやるか」
「何をやるって? まさかここから魔法でも撃って攻撃しようとでも?」
「……あの竜、早くも気付いたらしいな。明らかに強い殺意が近づいて来てる。なるなら今しかない、今みたいに、同時に魔法を放つんだ。いいか、同時に、だぞ」
今いる地点からでは竜の姿が霧に紛れて見えないが、グランが殺意の方向を指差してくれるので狙いは容易に定められた。そして、ひと呼吸して、放つ。
「『オリロート』」「『超魔力厄災』」
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荒廃した大地。そこにあった緑は無惨に散りクレーターが形成されていた。そんな過酷な自然下に生息する生物はおらず、ただただ不毛な大地が一面に広がるだけの場所。
そこにいる、たった3つの生命。
満身創痍でなす術なく、ただ寝転がることしかできない。立ち上がること能わず苦しみもがき苦しむあなたが2つ。
「我が堅殻を打ち破るとは意外であったが、接近戦となればそれも無意味も同然。ご苦労だった」
そして、全身に少しずつ傷を負うも何食わぬ顔でその2つを見下す命が1つ。それがリゲイリアスである。
『オリロート』の影響でその竜の身体を消えることのない炎がまとわりついているが、「ふんぬっ!」と力を入れると呆気なくその炎は消えてしまう。
「消えない炎とはまた一風変わった力であるが、魔力密度が貧弱すぎるな。これでは消すのも容易い。消えない炎ではなく、消えにくい炎であるな」
「は……ははっ……傷をつけられたってのは、進展だったんじゃないか?……いや、こんなのが世界を越えて暴れ回るなんてそんな、それこそ世界の終わり……だめだ、だめなのになんで動かないんだよ」
「どんな手段を使ってでも、勝たなければ……いけない」
ズシン、ズシンと、竜が少しずつ近寄ってくる。戦いは、「勇者」たちの敗北という形で終焉を迎えるのだ。妹との再会を果たし、強敵をも仲間に引き入れ、でもそんな幸運がいつまでも続くわけがないと、そして、幸運の分だけ不幸が不意にやってくる。
「ここまで辿り着いたことに敬意を表し、我に立ち向かったことを寛容な心で受け止めよう。ご苦労であった」
そして最後に、
「デアヒメル」
とだけ呟き、世界の改変を試みた勇者、グラナード・スマクラフティーはぎゅっと拳を握りしめ、深い眠りについた。
ちょっとばかし、悩みが一つ。
戦闘の描写の仕方を知りたい、と。
毎回似たような戦いになって、同じことばっか書いているように感じる訳さね。
アドバイスをくださると嬉しいです。
お願い申し上げます。




