■74.トリビアの種子No.315 戦艦が沈むには、ミサイル■発が必要。(前)
「トリビアの種子とは、皆さまから送られてきた日常の疑問を調査し、その結果を新たなトリビアとして生み出していくコーナーです。そして新しく生まれたトリビアがどれくらい素晴らしいものなのか、無駄知識の評論家イモリさんに評価していただく場です(八島)」
「よろしくお願いします(イモリ)」
「明日世界が終わるとしても、私はリンゴの木を植えるだろう。高下勝男です(高下)」
「……(無表情のイモリのアップ)」
「ハハハハハハハ(虚無を感じさせる笑いのSE)」
「はい、それではさっそくトリビアの種子を紹介しましょう。
“イモリさん、高下さん、八島さん、こんばんは。”
こんばんは。
“ぼくは戦争映画が好きなのですが先日、現代の軍隊がタイムスリップして、昔の戦艦と戦う映画を見ました。
そこで思ったのですが、昔の戦艦を実際に現代の軍隊がミサイルで攻撃したら撃沈できるのでしょうか。
それとも戦艦は分厚い鉄板でおおわれているので、撃沈できないのでしょうか。
気になって夜も眠れません。
これってトリビアの種子になりませんかね。よろしくお願いします。“
このトリビアの種子、つまりこういうことになります。
戦艦が沈むには、ミサイル……ウンッ発が必要(八島)」
「ハハハハハハハ(笑いのSE)」
「いやあしかしこの番組は……ミサイル!?(イモリ)」
「素人考えだと1発か、2発で沈みそうですけどね(高下)」
「こちらを見て頂ければわかるとおり、今回の戦艦、というのは現代の軍艦とは異なりますね。戦艦大和のような分厚い鉄板で覆われた軍艦です(八島)」
「戦艦は浮いているわけだから、空を飛ぶミサイルで狙っても、海面から上しか壊せないから難しいんじゃないかな(イモリ)」
「戦艦やミサイルの種類にもよりそうですね(高下)」
「そのあたりも気になりますね(イモリ)」
「では見てみましょう。こちらが確認のVTRです(八島)」
◇◆◇
「戦艦とは第二次世界大戦終結の時期まで世界各国で建造された大口径艦砲と、厚い装甲板に護られた軍艦のことである(ナレーション)」
「そしてミサイルとは指定された目標に向かって誘導され、エンジンを積むことで自ら飛翔する種類の兵器のことであるが」
「はたして現代のミサイルによる攻撃で、戦艦を沈めるには何発が必要になるのか」
「元・自衛隊統合幕僚長の火野俊矢氏にお話を伺った」
――Q.戦艦をミサイル攻撃で沈めるには何発必要?
「それは……やってみなければわかりませんねえ(火野)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「あーやっぱり専門家でもわからないんだ(イモリ)」
「日本刀vsピストルのときも同じこと言われましたからね(八島)」
――Q.実際に検証するにはどうすればいい?
「まず戦艦を用意し、海上に浮かべます。それから航空機、あるいは水上艦から誘導弾を発射し、これを攻撃します。かなり危険な実験になるので、観測は無人機を使用するのがいいでしょう(火野)」
「戦艦を用意ってさらっと言いましたよこの人!?(高下)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「実際にやってみた(ナレーション)」
◇◆◇
「火野・元自衛隊統合幕僚長によれば、我々が一般的にイメージする戦艦とは、1906年に進水したイギリスの戦艦『ドレッドノート』以上のものだという(ナレーション)」
「『ドレッドノート』は30センチ砲10門を備え、最大20センチ以上の装甲を有する戦艦である。今回はこれを超える戦艦を実験に使う」
「20センチ!?(高下)」
「厚いねえ(イモリ)」
「まず戦艦を用意する。日本国内、海外の軍事組織に処分予定の戦艦がないかあたってみる」
◇◆◇
「なかった(ナレーション)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
――Q.戦艦が見つからないのですが。
「それはそうでしょうねえ(火野)」
「ええ~っ(高下)」
「最初から教えてくださいよぉ!(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「現在、私が知っている限りで条件にあてはまる戦艦は、日本国総武省が保有する旧米国製戦艦4隻と、旧米国で博物館になっている2隻のみです(火野)」
――Q.異世界なら可能性がある?
「そうですね(火野)」
「と、いうわけで(ナレーション)」
◇◆◇
「異世界へ行ってみた(ナレーション)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「一路、異世界に向かうスタッフ(ナレーション)」
「ついに番組初の異世界ですよ!(高下)」
「なんかこれだけでドキュメンタリー番組作れそうじゃないですか!(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「現地で活動する日本国総武省や環境省など関係各所との調整を図り、」
「異世界の戦艦2隻を対象とする実験許可が下りた」
「おおー(3人)」
◇◆◇
「今回、実験に使うのは異世界の某所で建造された戦艦、『勝利』『革命』である(ナレーション)」
「双方ともに35センチ砲10門を備えており、装甲の厚さは側面最大30センチ、甲板最大20センチ。基準となる『ドレッドノート』を超えている」
「そしてこの『勝利』と『革命』に撃ち込むミサイルは、こちらのハープーン」
「ハープーンは日本をはじめ、多くの旧西側諸国が採用しているミサイルである。重量は500kg以上、射程は100kmを超える。価格は1発、1億5000万円」
「1億5000万……(イモリ)」
「頼む! 1発で沈んでくれぇ!(八島)」
「これ10発とか耐えられたらやばいやつですよ!(高下)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「次にこのハープーンを持っており、協力してくれる民間軍事会社を探す。戦艦を撃沈するために、何発のハープーンが必要になるかわからないため、今回は複数社に依頼することにした」
◇◆◇
「エントリーNo.1(ナレーション)」
「今回は戦艦が原子力発電所に向かってくると、それぐらいの覚悟でやります(担当者)」
「日本原子力防護システム警備 (ナレーション)」
「日本原子力防護システム警備は、SECOMや東京電力の関連企業であり、日本国内、ひいては海外の原子力発電所の警備を主な事業としている民間軍事会社である」
――Q.戦艦は撃沈できる?
「はい。我々はどんな過酷な状況でも、原子力発電所、作業員、その周辺で暮らす人々を守ります。相手が何であろうと、必ずミッションを達成します(日防担当者)」
「覚悟がすごいよね(イモリ)」
「原発を守るだけのことはありますね(八島)」
◇◆◇
「エントリーNo.2(ナレーション)」
「船は必ず沈みます。沈められない船はありません(担当者)」
「ロジスティクス郵船 (ナレーション)」
「ロジスティクス郵船は日本企業として海上貨物取扱量1位を誇る企業であり、海賊対策として警備部門を備えている」
――Q.戦艦は撃沈できる?
「私の経験上、海賊の艦艇はハープーン1発あるいは2発で沈みます。戦艦もおそらく数発で撃沈できるのではないでしょうか(郵船担当者)」
「私の経験上!(イモリ)」
「2発で沈んでも3億ですよ! 3億!(高下)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「エントリーNo.3(ナレーション)」
「我々は利潤の追求ではなく、国家防衛を掲げる企業です。日本国を脅かす存在を、決して許しません(担当者)」
「三菱重工警備 (ナレーション)」
「三菱重工警備は、日本の艦艇を建造する三菱重工業株式会社の関連企業であり、日本政府からの業務委託を受けることもある民間軍事会社である」
――Q.戦艦は撃沈できる?
「正直に申し上げるとミサイルによる撃沈は、困難だと思われます。戦艦『武蔵』は15発以上の爆弾が直撃しましたが、戦闘を継続出来ました。『武蔵』が撃沈されたのは、魚雷攻撃による浸水が原因といわれていますが、その魚雷も20発以上の命中が必要でした。ハープーンだと、20発くらいは耐えられてしまうのではないでしょうか(重工担当者)」
「さっきの人とは評価が正反対だ(高下)」
「軍艦を作っているところだからね(イモリ)」
「説得力が違いますね(八島)」
◇◆◇
「実験は次のように行う(ナレーション)」
「戦艦の出現を待ち」
「捜索チームが戦艦を発見したら、協力企業から成る検証チームが出動」
「戦艦から約80km離れた空域から、ハープーンを1発ずつ発射」
「無人航空機から成る撮影観測チームが、本数をカウント」
「戦艦の傾斜が修復不可能な域に達する、もしくは爆発等で艦体が切断されて大部分が沈む、あるいは艦体の一部が着底し、戦闘続行が不可能となったら、今回は撃沈とみなし、その時点での命中本数を記録する」
「事前に、担当者同士による打ち合わせ」
「よろしくお願いいたします(担当者3名)」
「姿勢もカチッとしててプロだねえ(イモリ)」
「打ち合わせは半日以上かけられた(ナレーション)」
「日防さんはハリアーですか!(重工担当者)」
「ええ、災害時に長大な滑走路が使えないケースが考えられるので(日防担当者)」
「私どものところは航続距離重視のP-3Cですね。三菱さんは……F-4EJ改2010スーパーファントム!? 渋いな~(郵船担当者)」
「本当はF-2・Super-Kaiを持ってきたかったんですけどね(重工担当者)」
「ちょっとちょっと! 全然関係ない話で盛り上がってませんかこれ!(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「打ち合わせの数日後、ついに戦艦が現れたとの一報 (ナレーション)」
「検証開始 (ナレーション)」
◇◆◇
(CM)
◇◆◇
CM明けは2月7日(日)を予定しております。




