勇者とメイドさん その8
国立学院生活編
「なにやらご主人様宛の手紙が届いていました。封からして国立学院からみたいです」
「こっち投げてー。っと」
少し軌道が外れた手紙を難なくキャッチしたご主人様が、素早く手紙に目を通していきます。
「つまりだ。これの内容は、お金とかも用意したげるからうちの学校入らないか? ってやつだ」
「推薦入学させてあげますよ。ってやつですか」
「そ。そういうやつ」
ご主人様は魔王を倒すために、十二歳から旅に出ていました。私含め学校に通っている年齢で、十分に諸々を学ぶことが出来ていないため、ご主人様には悪い話ではなさそうです。
「けどいいや。そんな気はないしこれ捨てといて」
「いえご主人様、先のことを考えればこの話は蹴るべきではないかと」
「いーやいらないね。なんたって俺は、"あの"天才魔法使いに一般教養から何まで叩き込まれたんだからね」
「たまに話に出てくるお仲間の方ですか」
「そうそれ。いまじゃすごい偉い人になってるらしいよ」
ご主人様曰く、魔法使いは頭脳明晰どころではなく、飛び級で十五歳にして旅に出る時には、既に学院の教授レベルだったとか。更に旅の中で多くの、他の学者が知ることの出来ない知識までつけて、存在そのものが国宝級とのこと。
「今更一から有象無象に教わる必要もないしね」
「ではこの手紙は処分しておきます」
降って湧いたご主人様の学院生活は始まりませんでした。
見事にスタートしなかった。