表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/380

勇者とメイドさん その5

ペット回

「ねえメイドさん、この子飼いたいんだけど……」


「ご主人様、誰ですかそれ」


「最近巷で噂の聖女様とやら」


「どうせまたお世話しないんでしょう? あった場所に戻してきてください」



 気分転換にちょっと散歩に出たら、徒歩十分くらいの道端に『勇者様拾ってください』と書かれたダンボールに入ってスヤスヤ寝てたから、ダメ元で拾ってきたけど、メイドさんの許可がもらえなかったので仕方なく戻してきた。ちくしょう。




「前の金魚もカブトムシも買ったはいいものの、結局お世話ほとんど任せっきりでしたよね。責任もってお世話出来ないうちは、ペット禁止ですって言いましたよね」


「いや、今回は名指しだったから……」


「名指しだからってなんですか。より一層ご主人様によるお世話が求められているってだけですよ。それも考えて拾わないできてください」


「……はい」



 メイドさんの正論に返す言葉もないのが辛いところ。やはり前科は重かったか。


「じゃあメイドさんはいらないの? ペット」


「お世話が面倒なのでいりません。まあご主人様にさせられましたが」


「……」



 この手の話になると、メイドさんが少し不機嫌になるのはそういう理由があったのか。ちょっと申し訳ないことしたかな。


「じゃ、お花育てよう?」


「急にどうしたんですか」


「ほら、お花なら朝晩水あげるだけだからさ、管理も楽だし癒しにもなるよ? メイドさんもお花好きだよね?」


「本音は?」


「メイドさんへの申し訳なさからです……」


「……わかりました。水あげるくらいですよ。ちゃんとやってくださいね」



 メイドさんが不機嫌からいつもの調子に戻ったので一安心。とりあえず鉢植えと土と種を買いに行くとするか。道中に拾ってくださいが落ちていても無視しなければ……。



「で、我慢出来たんですか?」


「途中に聖女様とその隣に、目を潤ませた剣聖の息子も『拾ってください』してたけど、メイドさんのこと考えて我慢してきた」


「さすがはご主人様です。偉いですね(ナデナデ」



 褒められた。よく考えると思春期の少年少女ほど扱いに難しいものはないし、すぐ面倒になってお世話放棄が目に見えてる。拾った聖女返してきて正解だったかも。




 その日の夕飯は餃子だった。

お世話できない系勇者

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ