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勇者とメイドさん その29
ネタを捻り出す。
「そろそろ梅雨入りかな」
「ジメジメしてきますね」
「外出も億劫になるし」
こうして雨の日が増えてくると、梅雨が近づいていることが実感出来る。何も無ければ家でゆっくり過ごすに限る。
「部屋干しだと洗濯物も生乾きになるので、この季節は好きではないです」
「雨で山が緩くなって土砂崩れも起きるし、ほんとデメリットしかないよね」
「いや、そうでもありませんよ。降水量の少ない地域では、かなりありがたがられているとかそうでないとか」
「価値観の相違ってやつね。この辺じゃ水には困ってないし」
振り続ける雨を後目に室内干しをするメイドさんは、どこか悲しげな表情。生乾きの臭いは嫌いだからわからなくもないけど。
「恵みの雨。何かしら使えないかな」
「汚いので専門的な技術がない限りは、精々農作物の水やりくらいじゃないですかね」
「もったいない精神が刺激される」
「そんなこと言ってもダメなものはダメですよ」
あと湿度が原因か虫が湧くのも面倒だったり。
「川沿いは虫が大量に湧くから近寄れないし」
「際限ないので不便ですよね」
「歩くだけでも湿度高いせいで汗かくし」
「こうして見ると害しかありませんね」
どうやら人は梅雨に対抗出来ないように作られているらしい。悲しい。
その日の夕飯はステーキだった。
何しようかな。




