表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/380

勇者とメイドさん その2

奇数回で勇者視点

偶数回でメイドさん視点

「特に野菜が安くなってるのが助かります」


「その価格そんな安かったっけ」


「いえ、魔王が生きてた時に比べればの話です」



 いつものように、チラシを片手に買いに行く品を選んでいるところ、ご主人様が興味を示されました。


 魔王。それは世界中に負の影響を与える魔の王。いつからそんな存在が生まれるようになったのかは、解明されていませんが、無視を続ければ手下を放ち、人の世を壊す存在。それに対抗できる存在が勇者。どちらもこの世界の神が作ったのでしょう。でなければそう都合よく脆弱な人如きが、あの強大な存在に勝てるわけが無い。


 それはそうと、魔王は草木や野菜も腐らせる。壊血病などから、野菜不足でも人を減らそうとでもしているのですかね。そのせいか魔王が生きている間は、野菜の流通量が減少し、もやし以外軒並み価格が高騰していました。


「やはりもやしは正義ですね」


「ああ、そういや魔王倒しに行く途中も、どこも不自然にもやしだけ安かったね」


「もはや神の介入を疑える域まで来てますから」


「さすがに神とはいえそんなことしないんじゃ……」



 明らかに高値の他の野菜の中、異様な安値かつ大量に積まれたもやしパック。売りきっても、次の日にはまた安値で山積み。一体どこから流れ込んでいるのでしょうね。


挿絵(By みてみん)



「今回ももやし多めにですかね」


「いつも不思議に思ってるんだけどさ、もやし多めに買ってくるけど、どこに消えてるの?」


「もちろんご主人様と私に半分ずつ収まってますが」


「えっ、普段見てる分にはかなりあったけど」



 ……夜中は耐え難い空腹に襲われるんですよね。


「他の野菜の価格も下降傾向です。これもご主人様のおかげですね」


「別に野菜のために戦ってたんじゃないけどなぁ」


「そういう側面もあるってことです」


「何があって魔王に、野菜を腐らせるオプションがついたのかね」



 そんなことを話している内に、メモも完成しました。支度をして家を出るとしましょう。


「ご主人様、聞きそびれていたのですが、数日前の巨大なオークに関してはどうなりましたか」


「ん? あれね、到着した時は幸いにも被害は軽微だったよ。けどまたこんなことがあってもまずいし、俺が常にすぐ出れるとも限らないから、王様に手練のパーティ配置の提案とか適当にしといたよ」


「被害が少ないのなら喜ばしいことですね。しかし何が原因なのでしょう」


「そのあたりは魔術の専門家に任せるしかないさ。オークが出没した近辺を、城お抱えの魔術師が何やら調査してたしね」



 それもそうです。ご主人様は魔術に精通している方という訳では無い。聞いてもわからなくて当然というもの。私はただご主人様のお世話をするのみ。


「んじゃいってらっしゃい」


「はい、行ってまいりますご主人様」




 今日ももやしは山積みされていました。

もやしは正義

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ