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Ⅴ 約束

Ⅴ 約束




 ちゅんちゅん、朝を告げる小鳥の鳴き声に混ざってピューヒョロロロと聞きなれない鳥の鳴き声が響き渡った。バサバサバサ、鳥はイクスの住む家へと降り立った。

 「ご苦労さん、エッジ。妻の手料理食べてってくれ。」

 ピュロロロロ~

 ゼクスの片腕にとまったエッジは嬉しそうに声を上げた。

 「エッジ、いらっしゃい。」

 ピュロロロロ~

 居間に用意された止まり木にエッジはとまり、羽を整え始めた。エッジと呼ばれるこの鳥はファルコンと呼ばれる鳥と似ているが、天使フィンの祝福をうけ世界中のどんな鳥よりも速く、遠くへ飛べる鳥フィン・ファルコンと呼ばれる特別な鳥だった。体調1メートルと体躯が大きく、銀色に輝く羽を持つエッジは、天使フィンが遣わした鳥といわれているが、誰もがそう納得する容姿だった。希少種であるフィン・ファルコンで伝達を受ける人間は王族、有力貴族、英雄など特別な人間に限られている。

 「エッジ、お疲れ様。おなか減ったでしょう、これ食べてね。」

 エッジの前に生肉と清水を置いた。

 ピュロロロロ~と礼をいい、エッジは食事を始めた。

 「エッジ、手紙を貰うよ。」

 足に結ばれた手紙を取り出し、ゼクスは呪文を唱えた。手紙には特別な術式が施されていて、プロテクトを外さないと読めない仕様となっている。

 「う~ん。」

 「何が書いてあったの?」

 「緊急要請だ。魔王エグゼスがグレン国へ侵攻を始めたらしい。」

 「グレンは山で囲まれていて侵攻されにくかったわよね。」

 「どうやったかは分からないが、山を越えての侵攻らしい。山側の防衛は手薄で一気に攻め込まれているとの話だ。」

 「大丈夫なの?」

 「ははっ、英雄ゼクスを信じて待っていてくれ。朝食を食べたら出発の準備を進めるよ。」

 「分かったわ、すぐに朝食用意しますね。」

 「おはよう、お父さんが先に起きているなんて珍しいわね。」

 「おはようセリス。エッジに起こされたようなもんさ。」

 ピュロロ

 「そう、戦いに行くのね。」

 「ああ、朝食を済ませたらグレンへ出かける。」

 「随分遠いね。」

 「ああ、大規模な戦になりそうだ。まあそう長くはかからないさ。」

 ゼクスのような英雄は敵の将軍など力を持つ敵を討伐または退散させるのが目的で、敵の殲滅作戦に帯同する必要がないため、希少種捕獲や希少なアイテムの入手のような案件より早くクエストを終わらせることが多い。

 「おはよう~」

 イリスがアクスの手を引き居間に入ってきた。

 「おはよう、イリス、アクス。」

 「もう結局イクスが最後だし、起きてこないじゃない。起こしてくるね!」

 

 「でりゃっ。」

 セリスは布団にくるまっていびきをかいているイクスの上に飛び乗った。

 「グフォ。」

 「起きろイクス、父さんが出かけちゃうよ。」

 「え、え、父さん出かけちゃうの。」

 「緊急要請が来たみたい。」

 「ちょっと父さんに聞いてくる。」

 

 「おはよう、みんな。父さん出かけちゃうの?」

 「ああ、グレンに行くよ。心配するな、お前のことはちゃんと考えてある。俺の知り合いがお前を迎えに来るからそれまではここで待機だ。エリスと一緒に家族を守れよ。」

 「うん、わかっているよ。」

 「そうか、全員そろったしご飯にしましょうね。」

 イリスの掛け声でいつもよりにぎやかな朝食が始まった。


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