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Ⅳ ゼクス

Ⅳ ゼクス




 「よう、怪我はどうだ?」

 「指が全部折れちゃったんだけど、母さんが全部繋げてくれたよ。当分安静って固定されちゃって動かないけど。」

 「あの攻撃はあまり使うなよ。お前の斬撃が通用しないやつにあの攻撃は無意味だぞ。」

 「うん、わかっているよ。対ゼクス戦の切り札だっただけ。」

 「ふん、うまい連撃だったぞ。目くらましからの攻撃は弾道が全部は見えなかった。うん。あの目くらましは有効だな、俺が教えて欲しいくらいだ。」

 「えへへ、ありがとう。」

 「ところでどこであんな技を覚えた。見たことがないぞ。」

 「俺には前世の記憶があるって父さんにいったことあるよね。」

 「ああ、何回も聞いているな。」

 「生まれてくる前、風の天使フィンに会ってね、前世で読んだ本に書いてある技を念じると使える能力を授けてもらったんだ。でも弱点があって自分の体が耐えられない強い技を使っちゃうと今みたいに骨折したりするんだ。」

 「自分の息子じゃなかったら信じられない話だな。信用できる相手以外話すなよ。悪用されるとまずいからな。この世界の理に反する技だろ?普通は自分が鍛えてレベルが上がったら新しい技を覚えたり、今まで使っていた技の強さが上がるだろう。お前のはレベルが1でもレベル100にならないと使えない技が使えてしまうってことだろ。悪用されたら危ないし、お前自身が異端ということで捕まってしまう心配があるからな。」

 「そのことは肝に銘じておくよ。」

 「ああそうしてくれ。ところで天使フィンはいい女だったか?」

 「とっても美人ですよ。長い銀髪で碧眼でとても神々しかったです。でも親身になって聞いてくれるような感じじゃなかったのであまり好きではないです。エリス母さんみたいな方が好きです。」

 「はははっ。せっかく天使様に会えたのにそれじゃ天使様に怒られそうだな。」

 ゼクスは大きく笑い、グイっとイクスの頭を掴むとイクスの耳に自分の口元を近づけた。

 「エリスはやらないぞ。」

 「そんなの分かっていますよ‼」

 語尾を強めに返事をした。

 「はははっ、分かっているなら良し。」

 「お前は治るまで無理するなよ。治ったら協会に連れて行ってやる。」

 「本当ですか?ありがとうございます。」

 協会というのは冒険者協会といい、冒険者への仕事の依頼や怪我や亡くなった場合の補償を行っている。

 「じゃあ詳しいことはまた今度な。」

 「ええお願いします。」

 



 「もう油断したでしょ。まだ一緒に暮らしたかったのに。」

 「悪かったよ。だが油断はしてないさ。あの連撃は中々のものだったろ?」

 「そうですけど。でも瞬歩を使えばよけれたでしょ。」

 「瞬歩を使えばイクスの攻撃は全部よけれたさ。だがそれはずるいじゃないか。正々堂々と迎え撃ちたかったのさ。」

 「あ~あ来年はセリスが魔術学校行くし、家も寂しくなっちゃいでしょ。」

 「あいつには報告しに何度も帰ってこさせるさ。それぐらいの礼儀がなけりゃ協会に圧力かけるってな。」

 「そこまでいわれたら何も言い返せないじゃない~」

 「エリスに新しい家族ができて寂しくならないように努力するからさ。」

 チュッとエリスの首元にキスをした。

 「そんなのでごまされないんだから。」

 エリスの声が甘くなっていく。

 夜の帳が更けていくが、二人の夜はまだまだ終わらなそうだ。


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