ⅩⅧ 危機
ⅩⅧ 危機
ルルララは身長30センチほどの羽が生えた妖精種であり、知性と魔力に優れており普通は人と共に生活することはないのだが、かっての冒険で父ゼクスと母エリスと仲良くなり共に魔王と戦った仲間である。
「どうしたの?」
「うんとね、え~とね、〇△□●△■」
「ちょっと落ち着こう、ルルララ。」
「は~は~は~、うん落ち着いた。」
俺の肩で休みを取っていたルルララは、白髪の長い髪が風でなびき、俺の鼻をくすぐり思わずくしゃみが出そうになる。
「あのね大変なの、オーガが出たんだよ。」
「オーガだって。」
思わず身を乗り出す。
「わわわわわっ、イクス危ないんだよ。ルルララ落ちるところだったよ。」
オーガ種は多種いるモンスターだが総じて強いモンスターであり、中級から魔王の幹部クラスまで幅広い種類がいて、人類の脅威のモンスターの1つである。
「ごめん、ルルララ。」
「ううん、ゴブリンと戦っていた兵士たちがオーガと戦っているんだよ。何人も怪我人がでて、エリス治療で大変なの。でねでねルルララに二人を呼んできてって頼まれたの。」
「ありがとうルルララ、姉さん急いで戻ろう。」
「ええ。」
「じゃあルルララ俺につかまってくれ。」
「じゃあここに入っているね~」
ルルララは俺の胸元に入って頭だけ出していた。
「ルルララそこはないんじゃないの?ううん、私が入りたい、違うルナホーク乗るのに邪魔でしょ!」
「大丈夫だよね~、イクス。よくここに入ってルナホーク乗っているものね~」
「えっ、そうなの。イクスそうなの?」
「まあルナホークで出かけるときはルルララは服の中に入ってるかな。」
「ねえ~だからだいじょうぶでしょ~さあ早く帰らないと~エリスが待っているよ。」
「むぅ~。」
ダンダンとセリス姉さんが地面を蹴っている。姉さんは俺が女性と仲良くしているといい顔しないんだけどルルララは免除してほしいなと思っているが口に出して言えるわけがなかった。
「ルナホーク、家までお願いするよ。」
ポンポンとこめかみのあたりをなでると、ぶるるるる~とご機嫌にいなないた。
「ねえねえセリス機嫌わるいねぇ~、イクス何かやっちゃったの?」
いやいや、どちらかというとルルララのせいだよ。ルルララはハイピクシーの特性なのか天真爛漫で歌もうまくうちの家族だけでなく、ラウドの人たちに愛されている。(注セリスを除く)
「どんな様子なの?」
「う~ん、けが人がね一杯運ばれてきてエリス大変そうなの。」
「オーガの種類は分かっているの?」
「うん、スネークオーガだって。とても強いモンスターだからどうしようかって話し合っていたよ~」
これは本当に大変なことだ。スネークオーガはオーガと同等の力を持っているが、腕が自在に伸びるため自由自在に攻撃してくる。さらにオーガよりも素早い身のこなしをしている上級モンスターで、ラウドに出没したことは今まで一度もないはずだ。そしてその特性のため剣士との相性は最悪だ。今回援軍に来た兵士は全員剣士のはずだ。
「どうしたの~、黙っちゃったよ。にらめっこするの?」
「ルナホーク乗ってにらめっこしたら危ないよ。ふふふっ。」
ルルララの的外れな会話に思わず笑ってしまう。
「大丈夫?」
「ごめんルルララ。ちょっと考え事してて。スネークオーガどうやって倒そうか考えていたんだ。」
「そうなんだ~、でもエリスが戦うみたいだよ~」
「えっ、そうなの。」
「うん、怪我している兵隊さんの治療が終わったら行くみたいだよ。」
「そうか、早く戻らないとな。」
姉さんが乗っているルナユウナと並んで走りながら、ルルララから聞いた話を説明した。
「スピード上げて帰ってもいいかな」
「もちろん。」
セリス姉さんも真剣な顔でこちらを見ている。
「ルナホーク、スピードアップお願いするよ。」
トントンとルナホークのたてがみに合図を送る。ヒヒヒーン!ルナホークはいななきスピードアップする。俺は前傾姿勢になりルナホークのたてがみに抱きついた。
「ルルララ、風が痛かったら服の中にもぐっていてね。」
「う~ん大丈夫だよ。」
ルルララは俺の服をぎゅっと掴んでいる。エリス母さん、一人で行かないでくれよ。