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ⅩⅣ 表彰

ⅩⅣ 表彰


 居間には、ゼクス以外の家族全員が揃っていた。

 「遅いよっ。」

 「むぅ。」

 イリスとアクスに同時に言われた。さすがは双子は息もあっているな。

 「ごめんね。」

 「さあ行きましょう。セリスとイクスの晴れ舞台ですからね~」

 エリス母さんは上機嫌に話しかけてきたが、母さんの機嫌が悪いところなんてほとんど見たことがなかった。本当にいい母親だと思う。俺は前世の母親も割といい母親だとは思うが、仕事で嫌なことがあったかはその日の態度で分かっらりしていた。

 町の中心に天使教の教会と町役場が並んで建っているが、町役場より天使教の教会の方が豪華な造りなのは天使教が人々に根付いている証だろう。ラウドの国教は天使教フィン派のためフィンの銅像が協会の中心に鎮座している。

 町役場に入ると100名ほどの人間が立っていて、歓声と拍手が上がった。ワ~という声がこだまする中、俺とセリス姉さんは町長が立っている壇上へと案内された。

 「皆の者静粛に。」

 ワ~と上がっていた歓声がピタリと止まり、町長の演説が始まった。

 「皆の知っての通り、ここにいるイクス君とセリス君は英雄ゼクスさんの子供である。その彼らがイノブーを退治に尽力を尽くしてくれた。街の者たち、駆け付けてくれた兵士たち、様々な人間たちの努力によってイノブーの殲滅をやってくれていたわけだが、とりわけ彼ら二人による功績が大きい。その功績を称えて、街と協会協力のもと、表彰式の開催することをここに宣言する。」

 ワ~と先ほどにもまして声援が上がる。

 「協会ラウド支部長のオバー=ニクソンです。この度のイノブー殲滅作戦は皆様の活躍のおかげで成功しました。特に優れた成績を挙げられたイクスさん、セリスさんの表彰をしたいと思います。では町長こちらへ。」

 「イクスくん、セリスさんイノブー殲滅作戦で多大な貢献をしたことに対して、ラウド及び協会を代表して感謝をお送りします。」

 セリスとイクスは表彰状をそれぞれ片手ずつだして受け取った。

 「お二人が討伐したイノブー肉を皆さんで食べて欲しいとの申し出があり、今回の食事はイノブー料理がふんだんにふるまわれます。二人に感謝をして食べるように。」

 町長の説明が終わると同時に大きな歓声が上がった。

 「当り前のことをしただけだと思っていたけど、これだけ褒められると悪い気しないね。」

 耳元でセリス姉さんが囁いた。

 「うん、いいことしたって実感がわくよ。」

 あちらの世界にいたときにこんなに褒めてもらったことはない。こんなに褒めてもらうには、万引き犯を捕まえたとかない限り無理だと思うが、そんな出来事に巻き込まれることもないだろうし、そんな場面に出くわしたらあっけにとられて何もできなかったと思う。運が悪いことにプ〇ウスに轢かれちゃったけど。英雄の息子として生まれ、天使から恩恵を受けた今だからこそ活躍でいていることは肝に銘じておこうと思った。調子に乗ると死んでしまうからな。あと童貞のまま二回死ぬのはご勘弁願いたいところだ。

パチパチパチと拍手をしながら近寄ってきた大きな男が二人。185センチはある温和そうな男が話しかけてきた。

 「おめでとう、イクス君とセリスさん。僕はライト=ドルツというんだ。よろしくね。それにしても見事な討伐数だね、あんな数討伐されたら俺たち兵士の立場がないよ。」

 「魔法使いと剣士の組み合わせが良かったんですかね。遠距離と近距離両方対応できますから。」

 「なるほどねぇ、兵士たちだけの僕たちにはまねできないってことか。ところでイノブーの後に来るであろうモンスターのことは聞いてる?」

 「ええ、二足歩行系のモンスターが押し寄せてくるかもって。」

 「聞いているんだね、あいつらはイノブーと比べたら賢いよ。多種多様な攻撃方法を持っているから気を付けてね。君たちと話したい人がたくさんいるみたいだからこれくらいにしておくよ。次は負けないよ。」 

 「次は負けないからな。」

 もう一人の男は負け惜しみを言いながら去って行った。

 「ああいう分かりやすい男の方が対処しやすいわ。ライトのような奴の方が実際は何を考えているのか分からないから気を付けないとね。」

 「今の会話だけで、いいやつか悪いやつか分かるの?」

 「女の勘ってやつよ。まあ気を付けておくのに越したことはないでしょ。イクスは姉さんが守ってあげるからね。」

 「うん、ありがとう。」

 本当は俺の方が守ってやるっていいたいけど、セリス姉さんの方が強いのは間違いないので素直に返事をすることにした。

 むぎゅっと大きな双乳に俺の手をはさんではにかんでいる姉さんはやっぱりかわいい。うん、がんばろう!新たな決意を胸に・・・(胸に挟まっているのは俺の腕だけど)


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