ⅩⅢ この世界での考察
ⅩⅢ この世界での考察
イノブー掃討作戦を続けること7日、倒したイノブーの血を撒くことで、畑での被害が大幅に減ってきた。それに合わせて収穫を街の人総動員でやったおかげで、例年と遜色ない収穫が出来ている。本来であればその後街一番の行事である収穫祭が行われるのだが、グランで大規模戦争の行方が分からない現状では、収穫祭のめどはたっていない。
俺とセリス姉さんのコンビが今回のイノブー殲滅作戦の一番の功労者ということで、街で表彰されることになった。セリス姉さんは街一番の魔法の使い手だし、俺もそれなりの力は持っているから妥当といえば妥当だが、街に応援に駆け付けた兵士には面白く思っていない人間も多い。王国から派遣された兵士たちは、帰国の際どれほどの貢献をしたか報告の義務があり、一般人(俺たちが一般人として扱われるのは少々かわいそうだけど)より貢献が少ないと色々あるらしい。
今回は数百匹のイノブーを倒したおかげで俺の力が大幅にアップした。握力が70キロだったのが130キロ、打撃力が120キロだったのが200キロと上がったが、中でもキック攻撃力が150キロだったのが350キロと大幅に上がった。これはイノブーの場所まで複数同時蹴りの多用が貢献したと思う。日を追うごとに足が疲れにくくなったことと飛び上がれる高さが増してきていることで実感している。
地球、日本にいたころは(地球と行っちゃうあたりドラゴンボールを意識していると思うが)世界一の握力の人間でも200キロいっていなかったと思うが、俺の父親ゼクスは1
トンを超えている。街にある測定器では1トンまでしか測れないため実際の数値は分からないし、ゼクスに他で測らないのか聞いたところ、興味がないとのことだった。ギネス記録のないこの世界で握力がどの位かなんて気にする人間がそういないのだろうけど。それでもこの世界で戦いに身を置こうとしている自分には客観的に分かる数値はありがたいし、励みにもなる。またモンスターを倒すことの恩恵であるレベルアップシステムがなければ魔王と対峙することなんてできないだろうし、レベルが高い人間ほど長寿になる(天使による恩恵)システムのおかげで、年には勝てなかくて負けてしまうなんて昔は強キャラだったといわれることも減っているのだろう。そう考えるとこの世界はがんばる人間は報われる世界でとてもいいんじゃないかとさえ思う。
「用意できた~」
目いっぱい着飾ったセリスが俺の部屋に入ってきた。
「まだ何も準備していないじゃないの~お姉さんが手伝おうかな?」
「いやいや、大丈夫ですから。すぐ準備します。」
セリス姉さんを部屋から追い出した俺は、着替え始めた。昨日はセリス姉さんに負けて一緒にお風呂に入ってしまったのだけど、案の定というか俺の息子が元気になってしまった。息子を隠すように風呂ではふるまっていたけどばれちゃっているよな~。
(回想)
「はい、イクスは前に入りなおさい。」
体を洗った俺に対してセリス姉さんは湯船の先頭に入るよう指示をした。俺が入った後セリス姉さんは湯船の後方に入る。むぎゅーと俺に抱きついてきたセリス姉さんの双乳が俺の背中にくっついていい気持ち、じゃなくて俺の理性をおかしくする。セリス姉さんの双乳は柔らかくて、ヴォリュームがありとてもいいものだけど。
「姉さんといいことする。」
耳元でそう囁いた姉さんの言葉はとても魅力的で、チャームの魔法を唱えているんじゃないかとさえ思ってしまう。セリス姉さんといいことしたいなぁと思うけど、冗談だった場合のダメージが大きすぎる。家族っていつまでも家族じゃない?そんなことを考えているとセリス姉さんの手が俺の体に手を廻した。
「もうすぐお別れだね。」
寂しそうに話す姉さんに、
「姉さんさえよければ、学校を卒業したら一緒に冒険しよう。」
と提案をした。
「そうだね。そのためには学校を早く卒業しなきゃだね。」
セリス姉さんは抱きついている手の力を強めた。あっちの世界でもこっちの世界でも童貞の俺には我慢するのがとてもつらい攻撃だった。。
回想している間に着替えは終わった。
俺には不釣り合いな黒のタキシードを着た俺は姉さんの待つ居間へと降りて行った。