Ⅰ 不幸な出来事
Ⅰ 不幸な出来事
「今週のジャンプ面白かったな。」
「ああ、鬼滅の〇熱かったな。」
「ああ、〇津子かわいかったな。」
「かわいくて強い妹っていいよねぁ~太ももに挟まれたいよ。」
高校の帰り道、友人と今日発売された漫画雑誌を読みながら、夢中にマンガのことを話しながなら楽しく帰っていた俺たちは、交差点で信号待ちをしていた。
「きゃあ~~~」
「よけろ~~~」
と大きな声が聞こえて漫画を見るのをやめて顔を上げた時には、高速で自分めがけて突っ込んでくるHV車が間近に迫っていた。
ドンという音ともに俺の記憶が途切れた。
目を覚ますとそこは真っ白に輝く神殿の中だった。白く神々しく背中に羽のある天使と思われる者たちが通路の両脇に整列している。その先を見上げると、数段高いところの豪華で神々しい椅子に座っている天使は、整列している天使より大きな羽をもっており、とても綺麗で威厳があった。
「ようこそ、わが神殿へ。私は7つのヴァンタジオの1つ、風を司どる天使フィン=ベルフェル よろしくね、できたてほやほやの死んだ人。」
「やっぱり死んだんですね。はは、なんだか実感がわかないわ。」
「あなたの世界でいまはやっているプ〇ウスアタックで死んじゃったのよ。最近その手の死者が多くて私も大変なのよ。はああっ。」
深いため息をつくてから話をつづけた。
「でも心配しないでね、運転手任意保険かけているみたいだから、ご両親の老後は安心よ。まああなたが働いて親孝行するよりは良かったんじゃないかな。」
ところどころ嫌なこと言ってくる天使は、ロングの白髪、碧眼がとても澄んでいる美少女の姿をしてものすごく目立つが、お胸の方は少々控えめだった。
「ちょっといまエロい目で私を見なかった。」
「ケフンケフン、そんなことないですよ、天使様。」
「ふ~んまあいいけどね。私のことはフィンと呼んでくれて構わないわ。その方が親しみがわくでしょう。」
いやいやいや、そんな偉そうな椅子に座って話しかけてきて親しみなんてちっともわきませんて。
「あなたには二つの未来が待っています。どちらか一つ選んでください。一つは新しい命を授かって、新しい人生を歩むこと。もう一つは別の星で記憶を持ったまま新しい命を授かること。さあどちらにしますか?」
「あの別の星で記憶を持ったまま行けるのはなぜなんですか?」
「ちょっとばかり大変なほしなの。少々魔神や魔王やがでるだけよ。新しい星に行くと今なら特殊能力をあげちゃいます。」
魔神や魔王がでるというのは気になるが、特殊能力というのが少し気になる。
「どんな能力を貰えるんですか?」
「あなたに合わせたカスタマイズ能力です。なんと・・・」
「なんと?」
「日本の漫画がいつでも読めちゃいます。」
「へっ?」
「すごくない?ねぇすごくない。ただでなんでも読み放題って漫〇村よりすごくない?」
え~~~~~~
「あの漫画は大好きですけど、それでどうやって魔王や魔人のいるところで生きれっていうんですか?」
「ああうん。それだけじゃだめだよね。」
しばらく沈黙が続いた。
「うん、漫画で使われている必殺技が使えるってのはどうかな?」
「漫画で使われている必殺技ですか?」
「そう、か〇はめはとか使えたら素敵じゃない?」
「か〇はめはいいっすね。自分が漫画の主人公になれるのって憧れていました。」
「いいでしょう?でも気を付けてね。か〇はめはとか使っちゃうと著作権ていう私より強い力でやられちゃう可能性あるからね、はめはめはとかアレンジしてね。頭で漫画のイメージ描ければ声に出すのは別の言葉でもいいし、なんなら声に出さなくて大丈夫よ。」
はめはめはってもうそれ18禁の同人誌にでてきそうな必殺技だよ。あと声に出さなくていいって漫画のお約束なくなちゃってね。
「どうどうどう?いい提案でしょう。どうする?」
「なんで新しい星だけ優遇されているのですか?」
「さっきもいったけど魔王や魔人が強くて人類が脅かされているのよ。そこで私の上司が地球でかわいそうな亡くなり方した人をスカウトして地球とは別の星セブンスターに行ってもらっているってわけ。過酷な環境な分特典を付けているってわけ。アンダースタンド?」
「かわいそうな亡くなり方って、俺そんなにかわいそうな死に方だったんですか。」
「あなたが漫画読んでいなければ助かった可能性あるのよね。あとあなたの死体の上に読んでいた漫画のページが降り注いだんだけど、女の子のパンツが書かれているページがあなたの顔にちょうど乗っかってね。」
「あなた結構な人に写真撮られて拡散されたのよね。変態マンガ読んでいたから自業自得だとか、女の子のおパンツ見て本当の昇天とか。」
「いやもういいです。これ以上聞くと立ち直れなさそうです。」
「でどうするの?」
「新しい星セブンスターに行きます。」
「そうそれは良かったわ。では転生の準備を始めます。」
スクっと立ち上がったフィルは
「じゃあがんばってね。私もノルマをこなせて助かりました。ありがとう。」
「ちょっと待って、ノルマってなんだよ~~~~~」
光が俺を包んでいき、やがて俺は意識を失った。