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天才だった自分に出来ること  作者: 海純/六郎
第一章 小学生編
51/56

46.紙の音

 矢上先生のテスト4回目。

 普段通りに()()()()()()()始まった。

 俺は今回ある仕掛けを作った。

 テストで良い点を取らせるための方法だ。

 それが上手くいくか、どうかは分からないが多分成功するだろう。

 俺はそれを確かめるために机に付しながらテストの問題を解いていく。

 まず普通に授業でやった基礎の所、此処は簡単に終わらせた。

 次に応用の部分、此処も簡単に最初から答えが分かっていたかのように俺は解ききった。

 俺は鼻唄を歌い出してしまいそうな位にテストを順調に進めていった。

 後ろからも、今までのテストよりも鉛筆と紙が擦れる音が聞こえてくる。

 ━━よし、順調に出来ているみたいだな

 俺は問題を解き進める。

 中学生レベルの漢字が出てきたが、これは普段使うような漢字だったから簡単だった。

 中学生レベルの問題は続く。

 算数ではなく数学の計算問題が出てきたが俺にとっては簡単だ。

 だが、此処にたどり着いて要るであろう生徒の中には鉛筆を机の上に置いたまま固まっている者もいた。

 彼方此方からコロンッと机に鉛筆が転がる音が聞こえてくる。

 俺の後ろの席辺りからは、鉛筆が止まる気配がしない、それどころか紙と鉛筆の擦れる音が増し、書く速度が早くなっている程だった。

 俺はぼけっとしながら問題を解き、テストを裏返して鉛筆を置く。

 目をつむり音だけに集中する。

 最後列を含め教室の数ヶ所からはしっかりと問題を解く音が聞こえる。

 俺の机の近くで足音が聞こえる。

 俺は目を開けて、足音がした方を見る。

 するとそこには目を丸くして突っ立っている矢上先生の姿があった。

 ━━やっぱりそうなるよな

 俺はニヤリと笑い又目をつむる。

 音は次第に収まってくる。

 テストを解き終わった者が出てきたからだろう。

 更に音は小さくなっていき、音が失くなると同時にテストが終わった。

 矢上先生は少し震えた声で、終わりの話をして授業が終わる。


「いやー、進一流石だな」


 授業が終わったと同時に雄大が言ってくる。

 雄大は俺に話しかけながらカラカラと鉛筆を掴み片付けている。


「全然だよ。今回は何時もより簡単だったろ」


「あぁ、凄く」


 雄大はそう言ってニコッと笑った。

 今回のテストは前回に比べて問題事態の難易度は上がっていたが有るもののお陰でテストとしての難易度は下がっていた。

 俺は一度筆箱を取りにロッカーの方に向かう。

 筆箱に筆記用具を閉まった後にロッカーに入っているランドセルからクリアファイルを出して、そこに挟んである4枚のプリントを出した。

 俺はその4枚を見比べて、ニヤリと又笑いプリントをしまう。


「進一君、流石だね。あっさり解けちゃったよ」


 詩織がそう言って此方にピースしてきた。

 窓から入ってきている光と合間ってとても輝いていた。


「進一、今回簡単に解けたよ~」


 心が詩織の後ろから言ってくる。

 ━━良かったアレが役に立って

 正直役に立つかどうかは賭けだったが今回は見事にはまった。

 後は、弥生がどうなっているかだな。

 俺はフゥと息を吐いた。


「進一どうしたの?」


 心が顔を近づけて言ってくる。

 俺は半歩下がって


「明日の席替えどうなるかなって思っただけ」


 と言った。

 すると、詩織も心も「そうだね」と話している。

 そして、その後に帰りの時間が終わり、今日は直ぐに帰った。

 明日の朝が楽しみだ。

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